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【急募】学園で死体を処理する方法【男性一名】

 2人の学生が初夏の屋上にいた。


 1人は白銀の髪の美しい少女。


 もう1人は黒髪の平凡な少年。


「裏のありそうな事件だけど、表面上は解決ということになったわ。でも姉様は専門の調査部隊を立ち上げる準備をしているし、私も協力するつもりだからまだこれからね」


 少女が言った。


「ほどほどにね」


 少年が言った。


「というわけであなたの容疑は晴れたわ。迷惑かけたわね」


「それはいいんだけどさ」


 2人の間に風が通り抜けた。少女のスカートが揺れて、白い脚があらわになる。


「クソ暑いから中に入らない?」


 天気のいい本日は、真昼の太陽が燦々と照りつけてくる。 二人の足から濃い影が伸びて、遠くからはもう夏虫の声が聞こえてくる。


「待って。二点、言っておきたい事があって」


「ここで?」


「ここで」


 少女は目を細めて青い空を見上げた。


「一点目、一応感謝の言葉を言っておこうと思って。前に、私の剣が好きって言ってくれたでしょ。遅くなったけど、ありがとう」


「いいよ、別に」


「ようやく自分の剣が好きになれたの。あなたのおかげじゃないけれど」


「一言余計だとは思わない?」


「事実だから」


 2人の視線がぶつかった。先に視線を外したのは少年だった。


「まぁでも、好きになれたんならよかったんじゃない」


「そうね、よかったわ」

 

 少女は微笑んだ。


「それで二点目は?」


「これまで付き合っているふりをしてきた訳だけど、今回の事件でゼノンが死んでくれたから」


「僕はようやくお役御免って訳だ」


「そこで一つ提案なんだけれど」


 少女はどこか言い辛そうに言葉を探す。


「もし、あなたさえ良ければ……」


 少女の赤い瞳がキョロキョロする。


「もう少しこの関係を続けてみないかなって」


 少しだけ、小さな声で少女は言った。


 少年は爽やかに微笑んだ。


「お断りだ」


 中指を突き立てて、少年は言った。


 少女がスラリと剣を抜いた。




 夕方、この屋上に訪れた生徒はそこで大量の血痕を発見する。


 しかし多量の血が流れているにもかかわらず、遺体は付近に見当たらなかった。生徒や学園関係者を調べても、重傷者や行方不明者は存在せず事件は迷宮入りとなる。


 後に、この事件は『死体のない殺人事件』として学園七不思議になるのだった。



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― 新着の感想 ―
無差別通り魔殺人犯彼女ww いや、一応ターゲットは限定されているのか
[良い点] 生産性のない批判をしていたやつが退会済みユーザーになっていて気分がいい
[一言] 鉄拳制裁でお星様になる的なアレ、いいですよね。 地味になろうでは少ない描写な気がしますが、ギャグパートに論理的で生々しい描写はいらんと思うので振り切ってくれるのは好ましいです。
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