款冬華(ふきのはなさく)
頭が痛い。
寒さが厳しくなる中、チカの頭痛も激しく彼女を悩ませるようになっていた。この頭痛はなぜか午前〇時をまたいでも治らない。寄せては引く頭痛の波に翻弄されて、チカはここ数日寝込みっぱなしであった。
そんなチカを心配してか、アマネを除く五人は代わる代わる様子見に部屋をおとなってくれる。その気持ちをありがたく思うも、上手くそれは言葉にできない。起き上がるのも億劫で仕方がない。
そしてアマネはチカが目を覚ますといつもベッドの横に置かれた椅子に座っている。チカの額に浮かんだ脂汗を丁寧に拭い、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれている。
ときおり、なにごとかを話しかけられるも、チカは満足に返事もできない状態だ。今が何日で、朝なのか夜なのかも判別がつかない。
ただ頭が割れるような頭痛に苦悶し、何度も意識を飛ばしては起きる。地獄の責め苦とはこのようなものなのかもしれない、とチカは思った。
意識のあるあいだに食事をとり、アマネに支えられてトイレへ入る。それでかろうじて生きながらえ、人間としての尊厳は守られているような状況だった。
「チカ」
アマネがチカの名前を呼んだ。重い瞼を開ければ、アマネが泣きそうな顔でチカを覗き込んでいる。いつも仏頂面で、難しい顔をしてばかりいるアマネには珍しいことだ。
珍しいけれど――チカはそんなアマネの顔を見たことがある。
そう、見たことがあるのだ。
記憶を探っても、そんな顔を見たことはないはずなのに。
あるはずなのに。
ガンガン。頭蓋骨の内側から、割れるような痛みがチカを襲う。
頭が痛い。




