彼の話《8》
ゲームの目的は何かって?いきなり核心ついてくるね。
まあいいよ、教えてあげよう。
僕の目的は『彼女』を救ってあげたい。それだけだ。
そのために、まずはあの世界の『彼女』を助けようと思ってね。
でもただ助けるだけじゃだめだ。
どんなに僕が頑張って手助けしても、それは一時的なものであって最終的には、最後の物語までには……『彼女』自身が変わらないと意味がない。
ほら、テレビとかで野生動物の救助の話よくやっているだろう?
例えば鳥とか。怪我して飛べなくなったところを保護して、色々手を尽くすけど最後は自力で飛んで森に帰らせる。
だから僕もそう。たまに支えてあげたりしながら、彼女なりの道を見つけてくれるのを待っている。
そのための『ゲーム』でもあるしね。
ほら、あんまり堅いと続かないだろう?
彼女なりに結論が出るまでそれなりに時間が掛かる。山登りとかマラソンみたいなもんだよ、
だからじっくりゆっくり……ね。
あとゲームにしたのはもう一つの理由があって。そうそう、りっくんの話ね。
実は彼が酔ってたからっていう……あ、これはバラしたらりっくん怒るかな。まぁいいよね、今いないし。
ある日、りっくんが『彼女』の後をつけているのを見かけたんだ。
魔界のプロジェクトの話はもうその時聞いていたから、なるほど彼女に狙いを定めたんだなって僕はすぐわかったんだけど、手出しはさせたくなかった。
けど、遊んでばっかの僕なんかより彼の方が断然賢いから、そのまま話しかけたって阻止できない。
そこで彼に声をかけて僕の家で飲もうって誘ったんだよ。
ずっと悪魔界にいた彼と久々の再会で飲みたかったっていうのもあるけど、酔わせてなんとかうまくごまかせないかと思ってさ。
色々昔の懐かしい話とかしてすごい盛り上がったんだよ。いつもしかめっ面のりっくんもあの日はピンク色のほっぺたになりながら上機嫌だった。
そこでタイミング見計らって、切り出したんだよ『彼女』の事。
そしたらやっぱり俺の邪魔をする気かって怒り始めたから……いやそうじゃない、これは『ゲーム』の誘いだよって言って。ただすんなり力を得るだけじゃつまらないだろう?だから遊んでみよう、世界を壊すか維持するかその人間に決めさせようって。
彼は酔ってたのもあってあっさりいいだろうって言ってくれた。まさかそんなので自分が負けるわけないだろうって顔でね。
それで僕らはゲームで勝負することになった訳さ。
僕対『彼女』とりっくん。そういう勝負であり、ゲームだ。
まだまだ先長いからね、君もゆっくり見守ってくれるとうれしいな。




