№2 聡明なる?王女、シャロット=ディオラ
シャロットの策。
王城で開かれた、あな煌びやかな晩餐会、その余韻冷めらぬ中、玉座の間にてシャロット、ディオラ王、アーサー皇子の極秘の3者会談が行われていた。
№2 聡明なる?王女、シャロット=ディオラ
アタシは何者にも囚われない。
この決意は幼少期から変わらない。
目の前にしている相手が、誰であろうとも・・・だ。
「くっ」
アタシの決意も少しばかり、ぐらつきそうになる。
アーサー=バーンという男、さすがアタシの夫に名乗り出るほどの者である。
美しいブロンドの髪、その顔は整っており、美丈夫、背も高く、身のこなしもエレガント、まさに否の打ちようのない男だった。
全く隙がない。
だが、アタシにはアタシの生き方がある。
「こ度の縁談、嬉しく思います。次期バーン王朝・・・皇帝アーサー殿」
父は慇懃にアーサーに首を垂れると、笑顔を見せご機嫌で言った。
さもありなん、ここウエストサンガイア大地の二分の一は、第二バーン王朝の掌中にあるのだから、弱小の国ディオラではとても太刀打ちできない相手だ。
しかし、軍門に降るとなると、いずれ王国は公国と化す。
それもアタシは見過ごすことのできない事・・・。
アーサーは口を開ける度に、歯が光る。
これはどういう仕組みなのだろう。
私だけが、そう見えているのだろうか・・・まぁ、どうでもいいが、そんな事は。
口を開け、歯がキラリと光り、彼は話し出す。
「こちらこそ、お義父上、シャロット姫を我が妻に迎えられること、真に至上の喜び」
「おお、左様ですか」
「ええ、私としては、偽らぬ愛の証として、シャロット王女の将来の皇后の地位を約束します」
・・・ふん、后だと当然であろう。
アタシほどの女性が嫁ぐんだぞ、分かっているじゃないか・・・ちょっ、何ニヤついているんだアタシ・・・まんざらでもないのかアタシ。
アーサーが私の方を見る・・・やっぱりイケメンだ。
「シャロット姫・・・ここで、婚約の儀を交わしておきたいのだが」
「は・・・・・・」
いけない、いけない!あやうく頷きそうになっちゃった。
ダメっ、アタシ。
アタシの決心は揺るがないのよ。
「実は・・・」
アタシは二人に話を切り出す。
「何だ、どうしたシャロット」
順調に運んでいた縁談が、アタシの一言で怪しいものとなり、父は戸惑いを見せている。
「申されよ」
アーサーの瞳が冷たく光って見えた。
「はい・・・アタシ、求婚されています」
「なっ!・・・聞いてないぞ!そんな話!」
父の怒号が飛ぶ。
「最近、急に申し込まれましたので・・・」
「馬鹿な・・・この私が寝取られるというのか、いやまだシャロットは我が物になっていないが・・・しかし、それは認められない・・・認められない」
アーサーは独り言をぶつぶつと言っている。
「認められない。一体誰だ!」
「・・・英雄、ルーラン=コォジィ殿」
アタシは息を飲み、一気にその名を言った。
「・・・英雄・・・だと」
アーサーの口端が歪んだのが見えた。
アーサー大いに怒る。




