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第三十九話 莉緒とドライブデート!?中編

莉緒の930SCはそのまま暫く、街中を駆け抜けていた。この車を上手く手懐けている莉緒の腕前もさることながら、この930SCは37年前の車とは思えないほどスムーズに動いていた。アイドリングもバラつかず安定していてるし、エンジンはスムーズに回っていて、振動も皆無。乗り心地も良くてとても40年近く前の車とは思えなかった。


「莉緒、こりゃ凄いね・・・・。エンジンもスムーズで静かだし、ほんとに新車みたい。」


そういうと、莉緒はニカっと笑った。


「でしょ!オーバーホールした時に全部完璧にバランスとって調律してあるから、ある意味新車以上よ! 」


「なるほどねえ・・・ちなみに、この930のエンジンってどんな感じ・・・というかどんな仕様なの?」


と、私は莉緒に訊ねた。


「3.2リッターのフラット6ね。930の後期型のカレラってモデルのエンジンに積み替えてあるの。パワー的には当時のカタログ値で225馬力だけど、バランス取りやら色々やってあるから実際にはもうちょい出てるかな~って感じかな。 車重は1200キロくらい。まあ、今のトヨタ86とかと同じようなスペックよね。」


「なるほど・・・・。この小柄なボディにそれじゃ確かによく走るわけだね。今乗ってこんなに速いんだったら当時はとんでもなく速かったんだろうな~って。」


「確かにね。特に80年代の前半なんかだと国産のミドル級のスポーツカーはようやく200馬力越えるか超えないかくらいの頃だったし相当に速かったのかもね~。・・・・みたいに考えながら走るのも楽しいよね!」



私はうん、っと頷いた。車内で他愛もない会話をしているうちに気づけば玉川インターチェンジにアクセス、そして玉川料金所から第三京浜道路へとアクセスした。ETCレーンを通過し、莉緒は「ちょっと飛ばすよ。」と言ってハニカんで、2速のまま930のアクセルを思いっきり踏みこんだ。空冷エンジン独特のビート感と、フラット6特有の排気音を響かせながら、930は矢のように加速し、そのまま本線に入りクルージングに入った。ここからも比較的流れよく進み、保土ヶ谷インターから横浜新道、横浜新道から新保土ヶ谷インターに乗って横浜横須賀道路と駆け抜けた。いずれも高速道路ではない、バイパスのような車速が高めになる道路なのだが、ここでも930は申し分ない高速性能を発揮した。流石はアウトバーンの国で生まれた車と言ったところである。その後、逗子インターチェンジで降りて、逗葉新道へと向かう。そして、道中にあるマーロウというお店で休憩を取ることにした。

マーロウは主に神奈川県内を中心に8店舗を構えるビーカー入り手作りプリンという商品で有名なお店だ。元々マーロウは、レストランとして1984年に秋谷本店から始まっていて、そこで食べられる料理の評判もさることながら、デザートとして提供されていたビーカー入り手作り焼きプリンの評判がとてもよく、単品販売の要望が多かったことから、単品でのプリンの販売が始まり、そこから更に人気を呼び、現在のように店舗を広げつつ現在に至っているという。この逗子新道店もお食事、喫茶、テイクアウトと3つのサービスを構えているのだ。


ここで私たちはお茶にすることにした。席は、駐車場に止めてある莉緒の930がよく見える窓際にした。

席に着くや否や、私たちはメニュー表とにらめっこして、どれを注文するかひたすらに悩んでいた。


「・・・・うーん・・・・悩むなあ・・・・ランチメニューも美味しそうだし・・・・でもこういうところ来たから、折角なら甘いやつたらふく食べたいよねえ・・・ううむ・・・・。」


と、莉緒は真剣そうな顔でメニューを見つめながら言った。


「確かに・・・季節野菜のカレーとかピザも美味しそうだし・・・・うああ・・・悩みますねこれは・・・・・。ぐぬぬぬ・・・・。」


私もがっつり悩んだ。これほど色々悩んだのは車のパーツを買いそろえていた時くらいである(笑)


結局悩みに悩んだ末、私は樹上慣熟いちごのプリンアラモードのドリンクセット、莉緒は樹上完熟紅ほっぺいちごのデザートピザのドリンクセットを選んだ。


そこから、暫く待ち、遂に料理が運び込まれてきた。私の前に、綺麗な紅色のいちごが散りばめられたプリンアラモードが運ばれてきた。莉緒の元にも綺麗な小麦色の生地に、同じようにいちごが散りばめられた美味しそうなデザートピザが来た。


二人そろって思わず、「うわあああ・・・・・!!」と感嘆の声を上げた。これは間違いなくおいしいぞ・・・・そう確信した。


二人そろって「いただきます!」と手を合わせてから、料理に飛びつかんとばかりに食べ始めた。


プリンをスプーンでスルッと削るようにすくいながら、いちごと一緒に口の中へと入れ込む。トロっとしたプリンの舌触りと共に優しい甘さが口いっぱいに広がる、そしてそれと合わせて香り高くて甘酸っぱいいちごが上手く絡み合い、それはもうとても幸せになるほどおいしかった。合わせて頼んだコーヒーのさっぱりさ加減と相まってスプーンを動かす手が止まらなくなるほどだった。 莉緒も幸せそうな顔をしながら、デザートピザに舌鼓を打っていたようだった。

暫く二人とも無我夢中で食べていた後、ふと顔を上げた途端目が合い、二人でフフっと笑い出した。


「あはは、ほんとに美味しいよね。凛子ちゃん、幸せそうな顔しながら黙々と食べてたから声かけづらかったよ(笑)」


「莉緒だって、ずっとニヤニヤしながら食べてたじゃない!・・・ほんとでも、一口食べただけで幸せな気分になっちゃうデザートだよねえ・・・。」


うんうん、と頷きながら、莉緒はドリンクのダージリンティーを啜った。


「ね、せっかくだからさ、ちょっとずつ分け合ってみない?」


と莉緒が言ってきたので、私は「うん!」と即答した。


というわけで、莉緒は私のアラモードをスプーンで軽くすくって一口、私もデザートピザを端っこの方を切って頂いた。デザートピザも、薄くて香ばしい生地といちごのマッチングが素晴らしくいいデザートであった。食べ終わった後、お土産用のプリンをこさえて、再び930の元へ戻る。すると莉緒が、


「今トランク開けるからちょっと待って!」と言って鍵を開けて930にの中に入って何やら操作した。すると、フロントのボンネットが開いた。それを持ち上げると中にはそこそこ深めな荷室スペースがあった。


「ここに突っ込んじゃっていいよ!意外と広いでしょ、トランク。鎌倉行ってまた買い物してもリアシートにも投げ込めるよ!」

「確かに・・・・。リアエンジンだからやっぱり前に荷室がくるんだね。これなら、ちょっとした旅行なんかにも使えそうだね。意外と実用性高そう。」


「そうね・・・。確かに、高い運動性能を備えたピュアスポーツでありながら、2+2のパッケージングでこういう荷室まで備えたGTカーの要素を兼ね備えてるのが911の魅力の一つだからね。それこそ、あたしは991(7代目911)も持ってるけど、その要素は世代を超えても変わってないしね。・・・・・あ、折角だから、930ちょっと細かく見てみる?」


と莉緒が言ったので、その言葉に乗っかるようにして改めて930を細かく見てみることにした。


まるでさっき食べたいちごのような真っ赤なボディに、丸々としたクリっとした目玉のようなヘッドライト、流線型で小さなボディ。今見ても風格は満点だ。 ただ、まじまじと見ているだけでは面白くないので質問を飛ばしてみた。


「ねえ、莉緒。この赤はなんて色なの?」


「これはね、ガーズレッドっていう赤なの。おじいちゃんの930ターボと同じ色で、レストアする時真っ先にリクエストしたの。元々は白だったんだけど、キッチリ落として塗ってもらったこだわりの色よ。」


と、嬉しそうに説明してもらった。他にも、丸々としたお尻にこだわってリアスポイラーを取っ払っていることや、綺麗に仕上げたエンジンルームについてや、内装の革だったり・・・非常に熱心な説明をこれでもか、というほど(笑)聞けた。誰しも、車好きならやはり自分の愛車や好きな車に対してアツくなってしまうよなあ・・・・と改めて実感した。


暫く話し込んだ後、莉緒は腕時計を見るや否や、「あ、そろそろ行ってみるか!」と言ったので、二人そろって930に乗り込み、マーロウを後にした。いよいよ鎌倉に近づいてきたと思うとテンションが上がってくる。



続く。


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