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第三十八話 莉緒とドライブデート!?前編

ある金曜の朝の事。私は最寄り駅のロータリーで人を待っていた。そう、久しぶりに莉緒と会う約束をしていたのだ。最近莉緒は本業の医師としての仕事が忙しかったらしく、テレビの仕事も殆ど受けてなかったそうで、事務所には顔を暫く出してなかった。つい最近になって仕事がある程度ひと段落したらしく、連絡を取り合って久しぶりにドライブでもしようということでこうなった次第だ。莉緒は今回「あたしの車でいこ~。」と言ってくれたので今日はこうして合流することになった。もうすぐ待ち合わせの時間だ、そろそろ来るかなあ・・・と思っていた時、遠くからドロロロロロロロロ・・・という乾いたフラット6のサウンドが聞こえてきた。いつもの991とは明らかに違うビート感のある音だ。そして、その音が徐々に近づいてきて見慣れない赤いカエル目の車がこちらの横にきた。どうやら、古いポルシェ911の様だ。 そして、ドアが開いた。


「凛子ちゃんお待たせ~!!ふう、何とか間に合った。 久しぶり!!」


「こちらこそお久しぶり~!!莉緒!・・・・ってどうしたのその車。」


と私が言うと、莉緒はエッヘンとした得意げな顔をしてこう言った。


「よくぞ気づいてくれました・・・・。じゃんっ!先日レストアが終わったばかりのあたしのもう一つの相棒、ポルシェ930SCです!」


おおお・・・と私は目を丸くしながら声を漏らしてしまった。莉緒がもう一台車を持っていたなんてことは知らなかったし、しかもそれがこんなクラシックカーだとは思ってなかったので、よりびっくりした。


「うわああ・・・凄いねこれ・・・・。ほんとに新車みたいにピッカピカ・・・・・。何年車くらいなの?」


「1982年式ね。930のSCってモデルの中なら結構最後のほうじゃないかなあ。 あたしが911を好きになったキッカケのモデルだったから、こだわってお金と時間をかけてレストアしてもらったんだ~。何だかんだで3年くらいかかったかなあ・・・。」


「さ、3年も!?そりゃ待ったね・・・。」


「まあね~。元々この子、あたしの知り合いが長いこと放置してたのを交渉して引き取ってきたんだけど、それがまあ酷い状態でね~・・・・。車庫保管はされてたから、ボディの状態こそよかったんだけど、ブレーキは固着してるわ、エンジンはダメになってるわ、内装がかび臭くなってるわ、の有様でね・・・。だから、同じ911乗りの知り合いから腕のいいメカニックのいるショップを紹介してもらって、そこで思い切ってフルレストアしてもらったってわけ! まだ昨日納車されたばかりよ!ほら、内外装どれも新品の部品に変えてもらったから新車同然だよお~!」


と莉緒はドアを開けて内装を指さして言った。 確かに、中もピッカピカだ。恐らく張り替えたであろうシートの革も新品らしくピチっとしていたし、革のいい匂いが漂っていて、またダッシュボードなどのプラスチック部品も綺麗なつや消し黒の状態だった。 とても37年も前の車には思えなかった。


「へええ・・・すごいなあ・・・・。ちなみにこういうパーツ類って全部新品で出るの?」


「もちろん!ポルシェはこういう古いモデルでもキッチリ新品パーツ出るよ~。まあ、シートなんかはあたしの好みの革で張り替えてるけどね。」


と莉緒は言った。古いモデルでも抜かりなく部品が出る辺りは流石ポルシェと言ったところか。ほお~と思わず見入ってたところで、腕時計を見ながら莉緒がこう話を振ってきた。


「おっと・・・そろそろ出発する?凛子ちゃん。 ここで立ち話してるのもあれだしさ・・・・。」



「で、ですね!そういや、何十分もこんなところで話し込んじゃいましたもんね・・・・。そろそろ行きますか!」


と私は答えた。莉緒はうんっ!と笑顔で答えてくれた後、「じゃ、助手席の方へどうぞ!」とエスコートしてくれた。バタムっと重たい金庫のようなドアが閉まり930の助手席に着いた。程よい狭さがなんだか心地よかった。それと同時に莉緒も運転席に座り、シートをベルトを締めた。そして、キーを捻り930の心臓に火が入った。ドドドドという低い音と心地いいエンジンの鼓動がシートにまで伝わってくる。


「じゃ、久しぶりのドライブ行きますか!」


そういうと莉緒は930のクラッチを優しくミートさせ、ロータリーから出発した。


続く。


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