第二十八話 激突!ポルシェキラーvs紅のくノ一 中編
とりあえず私は、リフレッシュしたくてトイレに行って用を足し、顔を洗って、戻りながら近くの自販機で缶コーヒーを自分とユリの分と二つ買って、ユリとシビックの元へと向かった。
ユリはシビックのルーフに突っ伏して目を閉じて、ふうう・・・・ふうう・・・と荒い呼吸をしていた。緊張しているのだろうか。緊張をほぐしてやろうと缶コーヒーの缶をユリの頬っぺたに・・・・・
「ひやああああああああああああああああ!?!?!?!?」
「あ・・・・・なんかごめん・・・・・。はい、これコーヒー。」
「ちょ・・・・凛子だったの・・・・脅かさないでよ・・もおお・・・・。」
ユリは脱力しながらも凛子からコーヒーを受け取ってちびちび飲み始めた。
「どうしたの?あんな緊張して・・・・・・。」
「んん~・・・・まあ、緊張ってほどでもないけど・・・・・なんか落ち着かないのよね。 」
ユリはまた一口コーヒーを飲みこみ、一呼吸、ふう・・・と息を吹くと
「まあ、なんていうかさっきあの子の4Cに後ろ突かれた時、なんだか只ならぬオーラを感じたし、それに・・・・あんな凄いの相手にするの、初めてだからさ。」
「そうなの?ユリ、結構この辺で走り回ってるし、何ならかなり百戦錬磨な感じかと思ったけど・・・・。」
「でも別にアタシ、あんな名の知れた走り屋と走ったことないしさ。さっき、凛子がアタシと走り方が似てるって言ってたから、余計恐いのよね。吹っ飛ばされるんじゃないかって・・・・・・。」
ユリは俯いてそう呟いた。 まだ少し無理して顔を笑ったように見せていたけれど、脚はブルブル震え、緊張のほどが伝わってきていた。
私はユリ身体を掴んで上半身をスッとさせると、私はユリの真正面に立って目をまっすぐ見つめて、両肩をトントンっと軽く叩いた。
「大丈夫よ!私とあれだけ練習したんだから!自信もっていこ!あなたはポルシェキラーなんでしょ!!」
一瞬少し頬を赤くしながら、びっくりした様子のユリだったが、一瞬目を閉じてフッと笑ったあと、再び目を開け、いつものユリの車を走らせる前のキリっとした顔に戻った。
「・・・そうね。あれだけ貴方からみっちり教えられたんだもの。それに今回も横にいてくれるわけなんだし、何も不安に思うことはないわね。ありがとう、凛子。アタシ、今回も思い切っていくわ。」
「うん! さ、コーヒー飲みきったらぼちぼち準備しようか!」
うん、とユリは頷いた。いつもの調子に戻ったみたいでよかったよかった。
一方そのころ美都&莉緒ペアはというと、
「・・・・・・・川俣ってプロデューサーの人・・・・なんかいっつもどんくさい癖にヘラヘラしてて・・・・・嫌。」
「わかるわ・・・・この間私の入るスタジオ3連続で間違えて指示してきてヘコヘコしてきたときはぶん殴ったろうかと思ったわ!!」
・・・・・と三好プロの内部スタッフやら内部事情の話で意気投合していたらしい・・・・・。
一時間経って私たちは並べて止めてある駐車スペースに戻り、4人は再び顔を合わせた。
「・・・・・・・そろそろ・・・・・定刻ね。・・・・・スタート・・・・しましょ。」
うん、と4人は頷きそれぞれペアで車に乗り込んだ。
そして、それぞれの心臓に火が入ると、ユリのシビックを先頭に大黒を後にした。
ここから暫く江戸橋JCTまでは距離があるので、二台はスタート地点までこのまま連なっていくことになる。
車中でユリがまた話しかけてきた。
「・・・・・こうしてまた江戸橋JCTに向かってると、前に凛子と勝負した時の事思い出すわね。」
「ああ~、あったねえそんなことも。私がエボ代車で借りてきた時の事か。」
「そうそう、それ。まさか凛子があんなすざまじい走りするなんて思ってなくて・・・・・・本当びっくりしたわ。 ・・・・・・・で、その後凛子が手を差し伸べてくれて仲間になって、ドラテクとか色々教えてくれて経験させてくれて・・・・・。今回は、凛子に今まで教えてもらった成果、全部出せるように頑張るわね!」
「うん!助手席から見てるから・・・・思いっきり、ブチかましてきちゃいなさい!!」
そう言って私がVサインをしてみると、ユリも「うん!」と力強く返してくれた。
いよいよ江戸橋JCTが近づいてくる。美都と莉緒の乗った4Cが並んで並走状態になった。
「よし、全力、出していくわ。」
ユリがギアを2速に、美都も2速にダウンシフトし、スタートに備える。
いよいよスタートの目印の標識に近づく・・・・・・・200m・・・・100m・・・・50m・・・・・標識を抜けた瞬間、2台のエキゾーストノートが、C1にこだました。
続く。




