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魔石グルメ ~魔物の力を食べたオレは最強!~(Web版)  作者: 俺2号/結城 涼
最終章―楽園の覇者―

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神隠しのダンジョンの変化。




先日から告知がつづいていて申し訳ないのですが、

魔石グルメの1巻と2巻につきまして、【amazon unlimited】の【読み放題】に登録されました。まだ書籍版を読んだことのない方がいらっしゃいましたら、こちらでも読むことが出来ますので、どうぞよろしくお願い致します。


併せて、5巻が【2月10日】に発売となります!

今回も五万文字以上の新規書下ろしを加えた自信作です。

web版でお付き合いいただけている方にも楽しんでいただけるよう仕上げましたので、こちらも是非よろしくお願い致します。


※すでにamazonさんをはじめとする通販サイトさんで予約が可能です。

 何卒宜しくお願い致します。


 視線の先、神隠しのダンジョンの異変は皆の興味を誘う。

 地面から突き出た結晶はアインが生み出す根のようにうねり、神隠しのダンジョンの外周に纏わりついていた。色はこれまでの白や半透明と違い、サファイアのように美しい青色だ。



 ところで結晶の高さを見ていると、なんとなく既視感がある。



(十階層ぐらいだ)



 だから大した高さではないが、昨日までの件との関係を予想した。

 たとえばあの結晶が、踏破されたところまで伸びた証とするならばどうだろう。誰がそんな仕組み(システム)を用意したのかはこの際どうでもいい。そもそも、あんな巨大なダンジョンに細かいことを言うのも今更なのだ。



 アインはこの予想をすると同時にげんなりした。

 どれだけの階層を踏破すれば最上階にたどり着くのだろうと。



「私たちが行けたところまで伸びてるのかしらねぇ」


「恐らくそうではないかと、私もマジョリカ殿に同意します」


「あっ、私もです。仕組みは分かりませんけど……たとえば十階層を一区切りとすれば、その区切りの階層のさらに上の大部屋を制覇した場合に、結晶が伸びてくると予想できますので」


(…………おぉ)



 アインは全員が同じことを考えていたことにさらに納得した。

 つづけてクリスが自分以上の予想をしていたことに対し、思わず彼女の横顔を眺めた。

 さすが近衛騎士団長。

 見事な洞察力だと素直に尊敬の念を抱いたのだ。



「むぅ」



 クリスが不満げに唇を尖らせてアインを見る。



「もしかして、私の言葉が予想外だったんですか?」


「逆だよ。俺なんかよりよっぽどすごい予想だったから、素直にすごいなーって思ってただけ」



 すると彼女は疑いもせず、パァッと明るい表情を浮かべて上機嫌に歩く。軽快で、これからピクニックにでも行きそうな足取りですらあった。

 それを見たアインも微笑ましくなったが、まずは先ほどの予想をマジョリカと語り合う。



「あの結晶って、最後には一番上まで届くのかしら」


「めっちゃ先が長い話だ……」


「これだけの高さだものねー、仕方ないわ」



 ふっ、と。

 歩いていると不意にすれ違う仮面の少女、セラ。

 彼女は昨日と違い困っている様子だ。

 その証拠に「面倒なことに――――」と不満げに呟いていたのだ。



「どうしたのさ」


「あっ……殿下、昨日ぶりだね」


「うん。で、何か悩んでるみたいだけど」


「悩んでる……そーだね、ボクは悩んでたんだと思う」


「で、どうしたの?」



 別に指摘はしないがクリスたちから見れば、今のアインは少し無遠慮に思えた。

 いつもならもう少しゆっくりと距離を詰める性格をしているのに。

 今はどうしてか違って見えたのだ。



「ボクにとって絶妙に相性が悪い問題が発生しちゃってね。どうしたもんかなーって考えてたんだ」


「……内容は?」


「言えない。だから余計に困ってるってとこ」



 じゃあ解決も何もないと、すぐ傍で聞いていたマジョリカが肩をすくめた。

 けどアインは違ってまじめに頷くと。



「仮に俺が手伝える話なら、いつでもどうぞ」



 頼もしい口調で言い切ったのだ。



「助かるよ。英雄と謳われる殿下となら相性がいい話だと思うから」


「相変わらず要領が掴めない話だけど」


「不満だった?」


「普通なら不満だろうけど。俺は君に恩があるから」


「あははっ! 昨日のことなら気にしないでいいのに。お金だって貰ってるわけだしねー」



 アインは鼻で笑うように「そっか」と言って歩き出した。



「頼みたくなったらいつでもどうぞ」


「危険なことかもしれないのに、そんなことを言っても平気なの?」



 不敵に。

 あとは試すようにセラは強気に言った。



「……まぁ、そのあたりの匙加減は任せるから」



 投げやりとまではいかずとも、主体性に欠けている言葉だ。

 前を歩く彼を追い、クリスは「もー! いつもそうなんですから!」こう口にして呆れた。マルコと言えば仕方なそうに口角を上げている。



「あ、殿下殿下、中に入ったら面白いものがみられると思うよ! ――――どう面白いのかは見てのお楽しみってことで!」




 ◇ ◇ ◇ ◇




 今日も今日とて、巨大な塔の中に足を踏み入れる。

 以前同様、青白く光る石材に覆われた回廊が広がっているはずだった。

 だが、違う。

 あるのは巨大な円状の広間だ。床の中央には魔法陣と文様が金色の何かを用いて描かれている。

 高さは……数十メートルぐらいだろうか。



 一際目を惹いたのは、円の壁側に沿って伸びる階段だ。

 螺旋を描いて上へ上へ延びていき、最後は天井へ延びる一直線の階段に合流する。天井には正円状の穴が設けられていて、次の階層へつづいてる様子である。



「良かったわね、殿下。上の階層に行くのが楽になったわよ」


「最高だね。あくまでも細かい事を抜かせばの話だけど」


「……ほ、ほんとに不思議なダンジョンですね! アイン様!」


「クリス……無理に気遣ってくれなくていいから……」



 さて、冒険者の中には面食らっている者もいるようだ。

 それでも先を進み、すでに上の階層に足を踏み入れている者もいるらしく、螺旋状の階段を軽快に進んでいく者の姿もある。

 不意に耳に届いた会話によると、上は昨日、マルコが討伐した魔物たちが居た大広間につづいてる様子だ。



「俺たちも行こうか」


「あら、いいの?」


「ここにきてしり込みするような話でもないし、不思議なのも今更だからね」



 もうこの程度で警戒する段階にはないと。

 暗に告げたアインが、誰よりも先に一歩を踏み出した。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 意外と冒険者たちって協力的なんだな――――。

 上の階層、十一層にやってきたアインが一人納得していた。

 大部屋を除く小部屋などで、今日も冒険者たちによる狩りが行われていた。彼らはいくつものパーティが協力して、魔道具や装備を惜しまず戦っている……ようだ。



 ようだ、というのはアインが実際に目にしたからではないからだ。



 補給を務めるパーティというのが居て、その面々から聞いた話に過ぎない。

 狩りは順調で、色々と珍しいものも手に入っているそう。ちなみにシルヴァードが欲していたモノに関しては、ギルドを通して褒章を出すと告げているので安心だ。



「旦那ッ!」



 と、昨日の冒険者がマルコに声をかけた。



「昨日はすまなかった! あんたが居なかったら俺たちはきっと――――」


「構いません。我が主にとっても、そして私にとっても有意義な情報が得られましたから」


「だとしてもだ。これは感謝の品ってことで……受け取ってもらえないか?」


「……これは?」



 マルコが受け取ったのは、こぶし大の赤銅色の石だ。

 さすがのマルコも価値を見出せず、思わず眉をひそめたのだが。



「宝箱に入ってたんだが詳細は分からない。けどこれを持っていると、あの虫共の動きが鈍くなんだよ」



 この情報には興味を抱いた。



「――――ふむ」


「コレ、金属ではないみたいね。ただの石っころに見えるわ」


「金剛がそう思うのも無理はねえ。だが何があるか分からないダンジョンだしよ」


「そうね、情報は一つでもあったほうが良いわ。あと、私の事を金剛って言うのはやめなさいな」



 すると最後に冒険者は笑い、大きく頭を下げて走り去ってしまう。

 まだこの階層の攻略予定があるのだろう。



「なんでその異名で呼ばれたくないの?」


「脳筋みたいじゃない……この私に似合ってないわ。これもすべてカイゼルのせいよ。あのむっさい男が言い出したから広まった異名なんだから」


(カイゼル教官が元凶だったのか)


「いい迷惑よね。私もカイゼルに何かあだ名でもつけてあげればよかったわ」


「帰ったら付けよっか。面白そうだし」


「いいわね、何なら陛下からいただく褒章をそれに使っても良いわ」



 そう言ったマジョリカの顔からは、決して冗談だけではないという意思が伝わってきて止まない。



「でも、さっきの階段が出来た時って、中にいた冒険者たちはどうしたのかしらね。いきなり壁も床もなくなったわけじゃない? それであんな階段と穴が出来ちゃって、落っこちたりしなかったのかしらね」


「大丈夫だったみたいだよ。ゆっくりとした変化だったから逃げる余裕があったってさ。さっき冒険者が話してるのを聞いた限りだとね」


「あらそうなの。その変化とやらを見たかったわね」


「俺も見たいから、次は……二十一層だとして、そこの大部屋を制圧したら待ってみよっか」



 マジョリカは「いいわね」と言って頷くが。

 当然、クリスとマルコは難色を示して頭を抱えた。

 何はともあれ先の話だ。



 アイン一行が十二層へつづく階段を発見したのは、それから数時間後のことだった。




物語の進行がゆっくりになってしまっていますが、年末進行という事でどうかご容赦いただけますと幸いです。


さて、2019年もお世話になりました。

今回のお話で今年最後の更新となります。

次の更新予定日は1月2日(木曜日)ですが、三が日というのもありまして、更新できなかった際にはご容赦ください。

また、その際はtwitterにて告知して参ります。


来年も結城を、そして魔石グルメをどうぞよろしくお願い致します。

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[良い点] 更新お疲れ様でした 良いお年を
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