↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔石グルメ ~魔物の力を食べたオレは最強!~(Web版)  作者: 俺2号/結城 涼
十九章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

286/623

ダンジョンの魔物とクリスの話。

今日もアクセスありがとうございます。


※追記

夕方公開の予定が間違えて昼に公開になってました……。

 上層でリザードマンと剣を交わしてから数十分。

 二人は順調にダンジョン深くへと足を進めていたが、ふと、カインが立ち止まった。



「あぁ、これだこれだ」


「なんですか? この……絵、ですかね」


「詳しくは分からん。ただ、シルビアが調べてみたいらしい」



 相変わらずの青白く光る回廊。

 その壁に、外の地面にあったような絵が彫られていたのだ。

 今回の絵は外のとは違い、一人の少女が泣いているもの。



「周りにたくさん人居ますけど、なんで泣いてるんですかね」


「さぁな。別に人が居るからって、それが好まれてるとも限らんだろう」


「あぁ……言われてみれば確かに。それで、絵の何を調べるんでしょうか」


「歴史と経験、とだけ口にしていたな」



 余計に分からなくなり、アインは口を半開きに硬直する。



「――そうまぬけ面をするな。ハイムにある遺跡の話は聞いてるな? あの遺跡にあった絵が、どうにも気になっているとのことだ」


「な、なるほど……なるほど」



 追求しないのが勝ちだ。

 きっと、この問題は自分の想像では解決できない。

 薄っすらと笑みを浮かべて頷いて歩き出した。



「おい、待て。まだ描き写してる」



 カインはペンを滑らせながら言うと、アインを数分程待たせた。

 覗き込むと、彼は意外と器用なようで、壁の絵と大差ないメモを残していく。



「……何を見てる」


「その、描くの上手だなって思って」


「……はぁ」



 得も言われぬ表情でアインを眺め、カインはそのまま歩き出す。



「お前は昔(、)から相手の気を抜かすのが上手いな。分かってると思うが、別に褒めてるわけじゃない」


「え、えぇー……なんか理不尽じゃありません?」


「何一つ理不尽ではないだろうに。ほら、一度飲んでおけ」



 革製の水筒を放り投げてアインに手渡すと、彼は懐から干し肉を取り出して齧りだす。

 どうやら歩きながらの小休止のようだ。



「修練は欠かしてないようだな。いい事だ」



 これまでの事を暗に褒められ、アインは自然を笑みをこぼす。



「マルコとの訓練はどうだ? あいつは強いだろう」


「残念なことに、何度か負けたこともあります」


「所詮は十年少々の年季だ。マルコや俺のような、数百年に渡る練度ではない。そう気を落とすことでもないがな」



 当たり前のことだと言われた気がしたが、言葉通りには受け取れない。

 生来の負けず嫌いが鳴りを潜めないのだ。

 数歩先を歩くカインは、アインが後ろで不満げにしてるのに気が付き、振り返らずに笑う。



「とはいえ、逆に剣にこだわらなければ俺たちが負ける。魔法のシルビア、武の俺、魔王のアーシェですらな」



 内包された強さの奔流はそれ程だ。

 もはや、敵となる存在はいるのかすら危うい節はある。

 ……しかし、カインはその存在を示唆する。



「今のアインと本気でやり合う。それで勝てるのは神ぐらいなものだろう」


「か、神……!?」


「そうおかしな話でもない。このダンジョンの最深部、そこにいるかもしれない神のことだ」


「いやいやいや! カインさんはその、本当に居るって思ってるんですか!?」



 アインが思い浮かべる神は例のロリ女神だ。

 再会できるならしたい気もある。いくつか礼を言いたいこともあるからだ。



「いるさ。そうじゃなきゃ、ダンジョンと言う存在の説明がつかない」


「……といいますと?」


「建物自体は俺がスケルトンの時代からある。逆算すれば、千年近くのはずだ」



 長すぎる。

 というか、スケルトンからデュラハンになるまでの経緯すら、アインは初耳だ。

 だが千年前からあると聞けば、神がいる説もそう嘘には思えない。



「俺も一度は手合わせ願いたいものだな。神がどのぐらい強いのか……と」



 カインは言い終えると同時に干し肉を食べ終わる。

 間を置くことなく新たな階段に差し掛かり、二人はゆっくりと足を踏み入れた。



「――そういえば、赤龍の話があったか」



 ぽん、と手を叩いてカインが言う。



「何が知りたい? 強かったかどうかか? それとも、奴らが襲って来た目的か?」


「えっと、そのどっちもです」


「目的については実は分かってない。なにせ、奴らは言葉を発しないからな。強さは……当時のマルコが苦戦するぐらいだろうか」


「だからシルビアさんが倒したってことですか?」



 というのはマルコから聞いた話だが、シルビアが難なく倒したとのこと。

 この話だけを聞くと、あまり驚異的ではないのだが、



「あぁ。アーシェがやろうとしてたが、シルビアが素材を欲しがってな」


「……理由が何とも……」


「とはいえ、身体がもっと大きければ分からなかったが」



 曰く、当時出現した赤龍の大きさは、現状の双子ほどの大きさだったという。

 30m近くの大きさで、普通に考えればとても大きい。

 しかしながら、長寿なため、それ以上育てば面倒になる。



「海龍の成体ほど大きくなるんですか?」


「さてな。それぐらい大きいのが飛んでくるなんて、面倒にも程がある――が」



 含みある態度でカインがほくそ笑んだ。

 この無機質なダンジョン内にありながらも、彼は対照的にどこか優雅だ。



「与太話に過ぎないが、本当に黒龍なんてものがいるのなら、それぐらい大きかったかもしれないな」


「実は今回、その黒龍についても尋ねに来たんです」


「だと思ったが、それに関してはシルビアに聞いてくれ。俺よりも詳しいはずだ」



 彼の言葉にアインは頷いて答える。

 しかし、本当に与太話で終わってほしいものだ。

 せめてどれぐらい強いのか知りたいのだが……。




「――さて、次の魔物もすでにお待ちだ。さっさと奥に行くぞ」



 ほどなくした到着した新たな階層。

 リザードマンが居た場所と違い、まるで廃墟のように薄暗い空間だった。

 地面も壁もすすけており、さっきまでの青白い空間と雰囲気が変わる。



「次の魔物が待ってるって……何がですか?」


「あれだ」



 数歩遅れて到着したアインも様子を窺う。

 すると、今まで戦ったことがない相手たちがいた。カタカタ――骨と骨が不気味な音を奏であっていたのだ。



「俺も昔はあんな姿をしていた。魔石を破壊しないと死なないから、気を付けろよ」


「相変わらず武装してるし……」



 数十体のスケルトンが彷徨っている。

 骨は灰色、着ている防具は革や鉄製など種類が豊富だ。

 武器は全員がボロいナマクラを持っており、どことなくスケルトンらしさを感じさせる。



 やがてアイン達に気が付くと、スケルトンは一斉に威嚇をはじめた。



(別に怖くはないけど異様な光景だ)



 口元をカタカタと鳴らし、武器を振り上げて威圧する。

 地上では見たことのない魔物の仕草に、ここがダンジョンだということを思い知らされる。



「瘴気窟あたりにでも行けばいるぞ。あるいは、人が寄り付かない山なんかの死体が変化することもある」


「あ、はい……そうですか……」



 少なくとも進んでいきたいとは感じない場所で安心した。

 魔物相手が嫌ということではなく、単に、異様な光景を醸し出す相手が好きになれないだけだ。

 それに、魔石を破壊しないと駄目だというのも、多少なりとも面倒に思えてならない。



「俺がスケルトンだった時の方がつよい。だから案ずるな」


「……はい」



 取りあえず戦おう。

 剣を抜き、ゆったりと足を進めると剣が光った。

 アンデッドに反応するという、マルコ製の特徴が露になる。

 ――すると、数十体のスケルトンの動きが止んだ。

 何が起こるのかと思っていると、



「――カインさん。想定外なんですけど」


「あぁ。俺も想定外だ。すごいな、アレは」



 唐突に魂を失ったかのように崩れ去ったスケルトン。

 カラン、カランという乾いた音が一斉に鳴り響いたと思いきや、一斉に骨が集まりだしたのだ。

 ムカデのような巨体を模して合体し、全ての手足には持っていた武器を繋げている。

 脚部は何十本もあり、機動性も高そうなのが良く分かった。

 いつの間にか頭部まで巨大になり、尖った頭部は獰猛な獣のように錯覚させた。



 弱い存在は群れることも多い。

 しかしまさか、スケルトンが合体するなんてカインですら初見なのだ。



「気が変わった。俺もあれと戦うことにする」


「じゃあ、俺は後ろで待ってますね」


「馬鹿を言うな。俺ですら初見の魔物なんだ。アインも戦え」



 思えばこれがはじめての共闘。

 彼との共闘はどんな時間になるだろう? 考えて見ると、意外とワクワクしている自分に気が付く。



「分かりましたけど、あいつ……魔石多すぎません?」



 人の骨格のような胸部には、例えるなら葡萄のように魔石が連なる。

 はっきり言えば見た目は気色悪いが、それよりも重要なことがあった。



「あぁ。アホみたいに多いな」


「……まさか全部壊さないと倒せないとか?」


「最高の相手だ。努々、油断しないようにしろよ」



 まさに未知の魔物との遭遇。

 探り探り戦うべき、そう考えていたアインと対照的にカインは勇猛果敢に襲い掛かる。

 結果、アインも同じく彼を追い、このムカデのようなスケルトンに剣を振った。



「ッ――おぉ、なかなか素早いじゃないか」


「そりゃ、こんな体してますからね……!」



 足が多い分、機動性が高いのは当然。

 石畳を削るように進み、襲い掛かった二人に対処していくスケルトン。

 同時にいくつもの手足から攻撃を仕掛け、身体を大きく広げて苛烈な攻撃を繰り返してきた。

 地面を突き刺すように振り下ろされることもあれば、薙ぎ払い、掴むように、そして極めつけは噛みつくように頭が近づく。



 合体したスケルトンの戦い方は異質で、二人が今までに経験したことのない戦闘だ。



「アインッ! 伏せろ!」


「は、え? 伏せろって――ちょ!?」



 まさに空間ごと切り裂くカインの一振り。

 剣を扱う者の頂点、その一撃は呆れる程力強い。



(これが……カインさんの……!?)



 間近で感じ取る迫力は格別だ。

 皮膚にひしひしと伝わり、全身を突き抜ける風が彼の力を感じさせる。

 やがてそれはスケルトンにぶつかり、



「――なんだ。やはり所詮はスケルトンか」



 渇いたものがこすれ合う音を響かせ、身体を真っ二つに切断される。

 同時に胸部の魔石も砕き、致命的な一撃なことは一目瞭然。

 突き抜けた剣の勢いは壁や天井にぶつかり、それらを無残にも崩壊させた。



 この人はやはり別格だ。

 アインは素直に称賛の目線を送ったのだが――



「あの、生きてませんか……あれ」



 気が付いてしまったのだ。

 破壊したはずの魔石は砕けた。

 しかし、いつのまにか魔石は少しずつ復活し、切り裂く前と同じぐらいに光を見せる。



「もしかして、一度に全ての魔石を壊さないと駄目だとか……?」


「チッ……言われてみれば、スケルトンの特性に近いか」



 やがて骨も集まり、さっきと同じく身体を構築する。

 変わったのは狂暴性だろうか? 動きが激しくなっており、地を這うような動きは更に増した。



「折角だ。俺が奴の動きを封じたら、アインが一気に吸いつくしてこい」



 恐らくカインは一人でも対処できる。

 ここは共に戦ってるから、こうした手段を選び取ったのだろう。

 アインからしてみれば望むところ。

 彼の言葉に深く頷くと、もう一度、合体したスケルトンへ飛び掛かった――。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 アインが激戦を繰り広げているなか、場所は変わって魔王城。

 優雅に茶を楽しんでいたシルビアの前にクリスが腰かける。

 当然、クリスはまだ抜けきってない緊張に苛まれていたが、昨晩よりはマシになったと言えよう。



「はぁ……やっぱり、王都のお茶も美味しいのね」


「あ、ありがとうごさいます……喜んでいただけて何よりで」



 自分の腕でも大丈夫か心配だったが、シルビアは淹れた茶を楽しんでくれている様子。

 とりとめのない話をして一杯。

 それを終えてからお代わりにもう一杯を淹れたところだ。



 その二杯目が終わったところで、シルビアはクリスの目を見て口を開く。



「アイン君が居ないから聞きたいことがあるの。いいかしら?」


「はい……? アイン様が居ないから、ですか? えぇ、私に答えられることであれば……」


「ふふ、ならお手を借りるわね」



 彼女はそう言って立ち上がると、おもむろにクリスの隣へ腰かけた。

 いったい何がはじまる? 不思議そうに戸惑うクリスの手を取り、彼女は暖かな魔力をクリスに流した。



「――私が尋ねたいことはこれなの」



 やがて、クリスの手元から瑞々しい緑が生じ出す。

 緑美しいツタに、それに連なる葉の数々。

 いったい何が、どうして自分の身体からこれらが……?

 慌ててしまったクリスは、縋るような瞳でシルビアを見る。



「シ、シルビア様!? 急に何を……!?


「心配しないで。これはすべてクリスさんの身体から産まれたもの。私がしたのはきっかけを与えただけ」



 そういってクリスの頭を撫でると、シルビアは興味津々な面持ちで尋ねるのだ。



「ねぇ、クリスさん。いつの間にアイン君と交わったのかしら?」



 残念なことに交わった記憶なんてものはない。

 しかし、クリスの顔を真っ赤に染め上げるには、十分すぎる力があったのだった。





スケルトンの話ぶったぎってますが、後ほどまたどうなったのかしっかりだします……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
>>>原作書籍版、コミックス版もどうぞよろしくお願いいたします!<<<
kk7v3ln45t9go535jpgm38ngs0a_1dgr_is_rs_
― 新着の感想 ―
[気になる点] なんですって!?クリスさんや、それは初耳ですぞ??
[一言] 吾輩思うんよね…当時は微塵も気づかなかったけど、 コレって伏線貼りすぎて、吾輩以外の初見民はとっくに察してたのではと…( '-' *)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。