表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
299/389

Σ(゜д゜lll)  暗躍する女の子たち

「これ、面白いですね。デスス、別人になったみたいでした」


 おかっぱ頭の女の子は、屈託くったくなく笑う。


 この白い球体、アコンプリスが置いていった予備だ。


 本人アコンプリスはもう一つの球体をたずさえて、すでに行動を開始している。ここ五番ドックにはいない。


 今なら予備の球体を勝手に使っても、怒られることはなさそうだ。そのように考えたデススザクは、かぶって遊んでいたのだった。


「はい、最後の一個。デスちゃんが食べてよ」


 正面にいた女の子の一人、峰谷みねたにモトナが笑顔で渡してくる。『迷宮スイーツ』の商品で、「カラメルソースのないプリン」だ。


 クリーム色をしたプリンの上には、薄茶色のアメ細工が乗っている。アメ細工は、「くしさった焼き鳥」の形をしていた。


 デススザクもモトナも、表向きは誘拐ゆうかいされたことになっているので、大手おおでを振って外を出歩くわけにはいかない。


 欲しい物を頼めば、女の子海賊団が買ってきてくれる。人質というよりも、お客さまという待遇たいぐうを受けていた。


 で、『迷宮スイーツ』のプリン、最初は二十個以上あったのに、残り一個にまで減っている。


 これ以降の予定を考えれば、


(新たな食べ物を買ってきてもらうのは、やめておくです)


 デススザクは白い球体を床に置くと、「ありがとうです」とプリンを受け取った。


 すると今度は、モトナの隣にいた女の子が、プラスチックのスプーンを渡してくる。


 それも受け取ろうと、デススザクは手を伸ばしかけて、思わず目を丸くする。


 そこにいたのも、「自分」だった。ほんの一瞬前までは、そうじゃなかったのに・・・・・・。


 この場には、デススザクが二人いる。赤いマントのデススザクと、白いセーラー服のデススザクだ。


 しかし、そんな時間も長くは続かない。


 スプーンを渡したあとで、「もう一人のデススザク」が、ペットボトルの水で手を洗い始めたのだ。


 途端に、変身が解ける。ふんわりしたポニーテールの女の子が、正体を現した。


 そうやって元の姿に戻った峰谷マノは、ハンカチで手をいてから、五番ドック内のデジタル時計に目を向ける。


「私、そろそろ出発するので、デススちゃん、モトナのこと、よろしくお願いしますね」


「わかってるです。デススにお任せです」


「お姉ちゃん、待って。大事なことを忘れてるよ」


 モトナがマノの両手を握った。


 二人の指先から、あわい光がれ始める。


 これは、異世界転生のさいに、モトナがさずかった力だ。自分以外の人間の身体能力を、驚異的に高めることができる。


 ただし、この力を使うことができるのは、一日に一回のみだ。


 さらに、副作用もある。たしかに身体能力は格段に強化されるものの、調子に乗り過ぎてはいけない。普段以上の力を出した分は、翌日以降の疲労として、繰り越されてしまうのだ。


「前に二回使ったことがあるけど、一回目は点滴が必要になっていたし、二回目はぶっ倒れて病院にかつぎ込まれていたよ。だから、お姉ちゃん、あまり無茶はしないで。でないと明日、大変なことになっちゃうよ!」


 早口で力説するモトナ。


大丈夫だいじょうぶだよ」


 マノはモトナを優しく抱きしめると、


「私はほんの少し、がんばるだけでいいから」


 そのために、まずはこれから、『役者連館やくしゃれんかん』に潜入するのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ