Σ(゜д゜lll) 五番ドック
少し時間をさかのぼる。
本日の《ゲキバン》が開始されるより、二時間ほど前だ。
海箱シティの地下に存在する、秘密のドック。
その一番ドックと二番ドックからは、二隻の《対火戦艦》、『赤坂』と『七隈』が、すでに出航していた。
そして、同じ地下にある五番ドック。
ここだけは他の四つのドックと違い、女の子海賊団が占有していた。
彼女たちは海賊といっても、昔ながらの略奪などはせずに、『海箱座』からの仕事を引き受けている。
海中・海上での活動に長けているのが評価されていて、近頃は『海箱クラーケン』の点検・整備・補修も任されていた。海底にある噴射口を日夜見て回り、異常があれば即座に対応している。
この仕事を打診された時、女の子海賊団は要望した。
小型潜水艇の整備・補給・修理をするために、自分たち専用の新たな拠点を、『志歌島』のどこかに欲しい。
その要望はすんなり認められ、ここ五番ドックを手に入れることができた。
この場所を使い始めた当初は、自分たちの拠点だと一発でわかるように、海賊のアジトっぽく改装していたのだが、すぐにやめてしまった。
雰囲気づくりのために置いていた大砲や樽、オウムの入った鳥かごなどが、たびたび作業の邪魔になったからである。
そんなわけで現在では、元の殺風景な状態に戻していた。
今の時間帯、商売道具を手入れする女の子たちで、ドック内は活気づいている。
全員が黒いダイビングスーツを身につけており、おへそくらいの高さには真っ白な浮き輪をはめていた。左肩につけている腕章には、「海賊注意!」の文字が躍っている。
彼女たちはデッキブラシで、小型潜水艇の水面から上に出ている部分を、ゴシゴシと磨いていた。
そうしながら、海賊の歌を口ずさんでいる。
「昔からの処刑法~♪ 大砲を使って、ぶっ放せ~♪ 星の海へと、ぶっ放せ~♪」
そんな女の子海賊団から離れた場所、五番ドックの片隅に、怪しい人物が立っていた。
白い球体で頭部を覆っており、体型も赤いマントで隠している。
その正面には二人の女の子がいて、どちらも白いセーラー服を着ていた。
球体をかぶった謎の人物は、
「〈この計画は、いよいよ最終段階に入ったです〉」
正面の二人に向かって、機械音声を発した。
そのあとすぐに、
「〈よいしょです〉」
頭部の球体を、両手で持ち上げる。
中から現れたのは、おかっぱ頭の女の子だった。




