Σ(゜д゜lll) 回想、一年前のヘンデルリカ(中編)
誘いを受けた時、ヘンデルリカは思った。
この仕事なら、やってみたいかも。
出勤するのは、週に一日か二日。それでいて、給料の金額は普通以上だし、福利厚生も充実している。ほほう、《選定候》になると、さらなる特典もつくのか。
しかし、大きな問題がある。
一回の《ゲキバン》は十数分程度だけど、その間は本気で激務になりそうな予感。
(それさえなければ、最高なのに・・・・・・)
そう思ったヘンデルリカは、一つの条件を出した。
コンビを組む相手は、自分で決めたい。
すると、海箱ユユが提案してくる。
こういった代表支配人独自のスカウトの他に、『海箱座』では半年に一回、《劇番衆》のオーディションを開いて、広く人材を集めているらしい。
ちょうど数日後に、そのオーディションがあるそうで、
――そこで相方を見つける、というのはいかがでしょう?
ヘンデルリカに異存はなかった。
相方に求めるのは、強力な前衛であること。前で《役者勢》を倒しまくってもらえば、自分は後衛でのんびりできるはず。
そして、運命のオーディション当日。
ヘンデルリカは受験生のふりをして、会場内を見て回り、一人の美少女に白羽の矢を立てた。
名前はアリリス。彼女は今のところ、すべての課題を最速記録でクリアしている。他の受験生たちと比べて、一人だけ圧倒的だ。
(あの子に前衛をしてもらえば・・・・・・)
明るい未来像を描いて、ヘンデルリカはほくそ笑む。
それ以降の課題でも、注目している美少女は結果を出し続けた。
あとは最終課題を残すのみ。
(これが終わったら、あの子に声をかけてみよう)
誘い文句をどうしようか考えながら、ある場所へと向かうヘンデルリカ。
思いもよらぬ災難が、その先に待ち受けているとも知らずに・・・・・・。




