Σ(゜д゜lll) ユユは大きなミスをした
「ユユは大きなミスをした」
一達はつぶやく。
あの模擬戦、ユユは二戦目でやめておけば良かったのだ。三戦目がなければ、一達も確信には至らなかっただろう。
彼女は「ずる」をしている。『異世界転生者』の能力による、ドーピングを使っている。
「他人を強化できる能力、非常に厄介だと思わないか?」
一達はアコンプリスに問いかける。
海箱ユユの「ずる」に協力している、『異世界転生者』の存在。
その人物の能力は、いかなるものなのか。
一達は強い危機感を抱いていた。色々と把握しておきたいことがある。
まず、その『異世界転生者』は、他人の身体能力を、どこまで強化できるのか。
次に、強化した身体能力は、どのくらいの時間、持続可能なのか。
さらに、最大で何人まで、強化できるのか。
最悪の場合、《劇番衆》全員が、身体能力を強化してくることも考えられる。
そうなると、非常にまずいのだ。
次の『赤曜日』において、《劇番衆》の戦力は、一達やアコンプリスにとって、ちょうどいい範囲に収まっていることが望ましい。弱すぎても困るが、強すぎても困る。
海箱ユユの近くに、他人の身体能力を強化できる『異世界転生者』がいる限り、《劇番衆》の戦力は常に、「強すぎる」の方に傾くことになる。
計画遂行の上で、最大の危険要素となり得る『異世界転生者』。
「是が非でも、先に排除しておくべきだろう」
「〈その考えには、激しく同意するが〉」
アコンプリスが機械音声でつけ加える。
「〈その『異世界転生者』がどこの誰なのか、それがわからなければ、排除のしようがない〉」
「そこは問題ない」
一達は自信満々に言う。
「おおよそ特定できている」
「〈誰だ?〉」
一達はアコンプリスに、一人の名前を告げた。
「〈どうやって、特定した?〉」
当然の疑問が飛んでくる。
「推理したのさ。だから、百パーセント確実とは、いかないがね」
それでも、九〇パーセントくらいの確信はあった。




