無魔力の落ちこぼれと、嘘から生まれた雷の従者
この世界で目を覚ましてから、丸八年が経った。八年もの間、鏡に映る肩まで伸びた銀色の髪と、空の澄んだ色を映すような不思議な銀の瞳を見つめ続けてきた。今日、僕は八歳になった。
重厚な城の扉をそっと押し開けると、庭からの風が顔を撫でた。草の匂いと、鉄がぶつかり合う匂いを乗せて。剣同士がぶつかる音が、途切れることのない硬い旋律のように辺りに響いていた。
そう遠くない場所に、父上――シーロンの姿があった。漆黒の髪と、威厳を放つ金色の瞳。両手を後ろで組み、厳格な姿勢で立っている。その傍らには母上「エリオラ」。金色の髪が陽光の下で輝き、青い瞳は温かさに満ちて、穏やかな笑みを浮かべながら訓練場を見つめていた。
そして、訓練場の中央――そこには本物の見せ場があった。
十一歳の姉、セリーヌが、まるで嵐のように動いていた。木剣が驚くべき速さで空気を切り裂く。カッ! カッ! 鋭い一撃、続いて素早い突き。ものの数秒で、最後の見習い騎士が息を切らしながら地面に膝をついた。父上の口元に誇らしげな笑みの影が浮かび、こう呟くのが聞こえた。
「やはり……私の娘は最高だ。」
大げさな言葉ではなかった。彼女は紛れもなく天才だった。膨大な魔力量、そして戦闘における才能は、熟練の騎士たちさえ敬意の眼差しで見つめるほどだった。
僕は控えめな足取りでそちらへ近づいた。まず母上が僕に気づき、優しい笑みをさらに広げた。
「オリオン、こっちに来て、隣に立ってちょうだい。」
僕はゆっくりと母上のほうへ歩いていった。だが、父上の視線が僕を捉えた瞬間――誇らしげな表情はすべて消え去った。金色の瞳から光が消え、微かながらも失望を隠せない重いため息が漏れた。
(どうして……どうしてこの子は、魔力を一滴も持たずに生まれてきたのだ?)
大きな声ではなかった。父上自身、その呟きが誰にも届いていないと思っていたのだろう。だが、その言葉ははっきりと僕の耳に届いていた。
ああ、ようこそ「出来損ないの息子」ドラマへ。僕は心の中のため息を押し殺し、いつもの無表情を顔に貼り直した。何も言わなかった――いつものように。代わりに母上のほうを向き、あどけない笑顔を作ってみせた。
「お母さん、少し城の外を散歩したいな。」
母上は心配と憐れみの混じった眼差しで僕を見つめ、髪を撫でながら言った。
「あまり遠くまで行かないでね、いい?」
「うん!」
僕は頷き、しっかりとした足取りで踵を返した――そのとき僕の幼い頭では、この「ちょっとした散歩」が、人生を丸ごと変えてしまう爆弾の最初のカチリという音になるとは、まったく思いもしなかった。
首都の通りは活気に満ちていた。石畳の上を馬車がゆったりと進み、商人たちがしゃがれた声で品物を呼び売りし、子供たちの弾けるような笑い声が響き、焼きたてのパンの香ばしい匂いが鼻先をくすぐっていた。
僕はしばらく立ち止まり、その賑わいを軽い笑みを浮かべながら眺めていた。前世で――こんな光景を見られたことがあっただろうか? 僕はただの紙の上のインクで、画面の向こうを走り回るだけの人間だった。
だが当然、作者様は僕がのんびり人生を楽しむことをお許しにならないらしい。
「ほう……これはこれは、我らが誇る御方のお出ましだな!」
僕の笑みが消えた。振り返ると、そこには四人の身なりの整った貴族の少年たちが立っていた。顔には嘲りと傲慢さの色がありありと浮かんでいる。一人が偉そうな足取りで進み出て言った。
「これはこれは……ヴァレリウス家の恥さらしじゃないか?」
(ああ、また鬱陶しい貴族の定番セリフか……台本でも暗記してるのか、こいつら?)
僕は内心でため息をつき、最上のプランを実行することにした――「完全無視」。冷たく通り過ぎようとしたが、逞しい手が僕の肩を乱暴に掴み、後ろへ引き戻した。
「どこへ行くつもりだ、無魔力野郎?」
僕はその手を勢いよく振り払い、氷のように虚ろな目でその少年を見据え、刃のように尖った言葉を吐き出した。
「離れろ……この馬鹿が。」
一瞬、時間が止まったかのようだった。四人の少年たちの目が驚愕で見開かれた。
「俺が……馬鹿だと?!」
少年の顔が激しい怒りに歪み、次の瞬間、彼の体から青く輝く魔力のオーラが立ち上った! 周囲の空気が重くなり、恐ろしい速さで魔力が集まって、火花を散らす巨大な青い虎の姿を形作っていく! その怪物は僕の全身の毛が逆立つほどの咆哮を上げた。
僕の目は恐怖で見開かれた。
(プライドなんてクソくらえ! 走るしかない!)
僕は矢のように体を反転させ、脚に風を纏わせた! 虎の爪が地面を叩く音がアスファルトを揺らすほどの衝撃を伴って背後から響き、振り返るたびに、その距離は縮まっていった。魔力でできた牙からは青い泡がこぼれ落ちていた。
「速く……速く走れ、この馬鹿な八歳の体め!」
僕は純粋な恐怖に突き動かされ、小さな体のあらゆるエネルギーを絞り出した。貴族街の広い通りを抜け、暗く狭い路地へと飛び込んだ。右に曲がり、左に曲がり……気づけば、荒れ果てたスラム街に迷い込んでいた。
今にも崩れそうな土壁の陰に身を隠し、両手で口を押さえて息を殺した。胸はふいごのように上下していた。青い虎は流れ星のように路地の前を通り過ぎ、術者の魔力が尽きたのか、やがて空気に溶けるように消えていった。
僕は安堵の息を吐き、額の汗を拭った。
「助かった……奇跡的に生き延びた……」
「坊主……」
血の気が引いた。
骸骨のように痩せこけた男が、ぼろ布をまとい、薄暗い小屋の間から現れた。その目は僕を見ているのではなく、僕の指を飾る金色に輝く指輪に、恐ろしいほどの貪欲さで釘付けになっていた。
男は音を立てて唾を飲み込み、飢えたような声で言った。
「その指輪をよこせ……」
僕は一歩後ずさりし、頭の中で叫んだ。(また!?)
踵を返して走り出そうとしたが、男は持てる限りの声を張り上げた。
「捕まえろおおおお! 逃がすなあああ!」
そして次の瞬間……僕はゾンビ映画さながらの悪夢の中にいた! 男も女も、浮浪者までもが、まるで地面が割れて湧き出てくるかのように、薄暗い割れ目や路地から次々と現れた! 振り返った僕の心臓は、止まりかけた。
一人や二人ではない――何十人もいた! 貪欲で暗い眼差しの群れが僕を追いかけてくる。彼らの目に映っているのは、八歳の子供の指にきらめく金の輝きだけだった。
僕は全力で走った……そして――ドン!
行き止まりの壁にぶつかった。塞がっている! 出口がない!
僕はゆっくりと振り返った。恐怖に支配されながら。何十人もの人間が狭い路地の入り口に群がり、捕食者のようにゆっくりと近づいてくる。一人が両手を擦り合わせながら、不快な黄色い笑みを浮かべて進み出た。
「もう終わりだ、坊主……」
膝が震え、涙が僕の意思とは関係なく目に滲んできた。
(クソ……クソッ! どうすればいい!? こんな馬鹿げた指輪のせいでここで死ぬのか!? 考えろ、オリオン、おとぎ話みたいに考えろ!)
頭の中に気の利いた作戦は浮かばず、純粋なパニックのまま、僕の喉から何の計算もない叫びが飛び出した。
「や……やめろ! 触るな!」
群衆が一瞬止まった。僕は震える声のまま、追い詰められた者だけが出せるドラマチックさで続けた。
「もし……もし誰か一人でも僕に触れたら……お前ら全員死ぬぞ!」
人々は困惑した視線を交わし、大柄な男が眉をひそめた。
「何を言ってるんだ、子供が。」
僕は苦しげに唾を飲み込んだ。(ああ……とんでもなく馬鹿げた展開に自分を追い込んでしまった! もっと大きな嘘が必要だ!)
僕は頭を上げ、精一杯の勇気を振り絞り、声を張り上げた。
「お……俺には、雷の騎士が密かに護衛についている! 誰かが俺を傷つけようとすれば……お前ら全員を殺して、この路地ごと消し去るだろう!」
沈黙が場を支配した。群衆の間にざわめきが波紋のように広がり始めた。
「雷の騎士?」
「そんな馬鹿な。」
「服装を見ろよ……間違いなく貴族の子だ!」
「もしかして嘘じゃないかもしれない……離れよう!」
僕は内心で安堵の息をついた。(嘘が通じた! 幻の騎士伝説がうまく機能してい――)
だが突然、猪のように巨大な男が群衆をかき分けて進み出て、地面に唾を吐き捨てながら侮蔑を込めて言った。
「この愚か者どもが! 怯えた子供のたわ言なんぞ信じるのか!?」
男は野太い声で笑いながら、太い腕を僕の肩に伸ばしてきた。
「こいつがただの嘘つき小僧だと証明してや――」
ドオオオオオオオオオオオン!
空が爆発した!
真っ白に近い青い閃光が路地全体を目もくらむほどの明るさで照らし、澄み渡った空から恐ろしい落雷が、まっすぐその巨漢の頭上に落ちた!
「ぎゃあああああああ!」
男は布人形のように宙を舞い、数メートル先まで吹き飛ばされて壁に叩きつけられ、気を失って倒れ込んだ。服からは煙が立ち上っていた。
死んだような静寂が場を支配した。誰も動かない。誰も息をしない。鳥のさえずりさえ止まっていた。
そして、地面に散らばる雷の火花と青い煙の中から……ゆっくりと人影が現れ始めた。
少女だった。海の波のような青く短い髪、そして高貴なエルフの血を示す長く尖った耳。青く澄んだ瞳は、しかし毒を含んだ氷のように冷たかった。
彼女は羽根のような伝説的な軽やかさで、震える僕の体の前に降り立った。そして衝撃を受けた群衆のほうへ振り向くと、彼女の全身を再び青い雷のオーラが踊るように包み込んだ。
彼女は感情の一切こもらない鋭い声で――しかし血を凍らせるほどの脅しを孕んだ声で言った。
「我が主に……触れようとする者は……死ぬ。」
群衆は恐怖に一歩後ずさり……さらにもう一歩……そして一秒も経たないうちに、路地は絶叫と大混乱に包まれ、彼らは怯えた鼠のように走り、壁をよじ登って逃げ惑った!
一方、僕は――
その場に立ち尽くしていた……固まったまま……口は地面に触れそうなほど大きく開き、目は今にも眼窩から飛び出しそうだった。
(は……?)
(はぁぁぁ……!? 今、僕の嘘が現実になったのか!?)
エルフの少女が僕のほうを振り向いた。恐ろしい雷のオーラが消え、彼女は最大限の敬意と崇敬を込めて僕の前で頭を下げ、柔らかな声で言った。
「我が主……お怪我はございませんか?」
僕の思考は完全に凍りついた。論理の欠片が四散し、僕にできたのは、路地どころか街全体を揺るがすようなドラマチックな絶叫を上げることだけだった。
「なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーにーーーーーーーーーーーー!?」




