22.冒険者たち
今度こそほんとのほんとのクライマックスなので、連続投稿です!
「はい! これで篠塚様の最初のダンジョンアタックは終了です! お疲れ様でした!」
「あ、ありがとうございます」
あれから、本当に大変だった。
完全に使い物にならなくなったジュンを、なんとかなだめすかし、ほめそやして数十分。
何とか持ち直したジュンを背負ってダンジョンを脱出。
これで一段落かと思ったら、今度は入り口で見張りの人に事情を説明しようとゴブリンキングの首級を見せたら卒倒され。
起きたあとは今度はなんだかキラキラした目で見られて、なぜか握手まで求められ……。
と、とにかく盛りだくさんで、完全におなかいっぱい状態だった。
「ダンジョンアタックって、敵を倒すより後片付けの方がずっと大変なんですね」
「い、いえ。それは、篠塚様が異じょ……特別なだけかと思いますが」
しかしとにかく、これで終わりだ。
俺が大きく伸びをして、事務所を出ると、
「……よお」
そこには、ばつが悪そうな顔をしたジュンが立っていた。
どこか落ち着きのない様子で、ジュンは口を開く。
「その、今日は悪かったなって思ってよ。先輩として、ちゃんとやらなきゃって思ってたのに、アタシは……」
「ジュン!」
俺は彼女の言葉を遮るように叫ぶと、右手でグーを作って彼女の前に突き出した。
「今日は助かった! また何かあったら、よろしく頼む」
それを見て、ジュンは一瞬だけ、ぽかんとしていたが、すぐに「へっ」と笑って、
「やーだね! お前の冒険には二度と付いてってやんねーよ!」
と言いながら、突き出した拳をガツンとぶつけ合わせる。
「はは……!」
「へへっ!」
俺たちはどちらからともなく笑い合い、それで全てはチャラになった。
「帰ろうぜ、フール。アタシ、今日は寄ってみたい店があんだよ」
「店? 武器屋とか?」
「バ、バッカちげーよ! 飯屋! 一人じゃ入りにくいから、一緒に来いって言ってんだよ!」
そうして二人で叫び合い、一緒の道を帰る。
どうでもいい、くだらない話を二人でずっと続けながら、俺は、
「あ、そういやゴブリンキングの首級、なんとなく持ってきちゃったけどいる?」
「ぜええったい、いらねえ!!」
こんな生活もいいかもな、とちょっとだけ思ったのだった。
次回から新章突入!
新しい登場人物を加え、さらに広がっていく「にじゅゆ」の世界をお楽しみに!