かなでちゃんの平原が見たかっただけだから
さくらさんを連れてシェアハウスまで戻ってきた。
今はリビングでちょっと休憩している。
「さくらさん、どうします? 寝ますか?」
「ううん、別に眠たくないし、この時間ならいつも起きてるから」
「朝早いんですね」
ぽわわんとしてるのに意外だなぁ。
「普段は1時間位しか寝ないから」
「ええ!? 本当ですか?」
「魔力を取り込んで回復させてるからね~」
なんだって!?
そんなことできるのか。
今度試してみようかな。
でも、私は寝るのも好きだからね。
三大欲求なだけはあるよ。
幸せな時間だよね~。
「睡眠時間減らしてまでやりたいことがあるんですか?」
「私、これでも結構忙しいんだよ~、一応神田家の当主だからね」
「あ、そっか」
そういえば偉い人だった。
お金持ちは大変なんだね。
「お疲れ様です」
「ありがとう~」
う~ん、偉い人には見えない……。
「あ、そうだ、まだみんな起きてこないし、お風呂一緒に入らない?」
「私は1回入ってるので着替えがないですね」
基本的に2着で回してるので余裕がない。
かと言って、いま着てるのをもう1回っていうのは気持ち悪い。
「せっかくだし、一緒に入ってみたいですけどね」
「そうだ! お風呂上がりは裸でいればいいよ」
「何いいこと閃いたような顔してるんですか! 却下です!」
「残念~」
残念なのは私の方だよ。
一緒に入って、ぜひとも堪能したかった。
そのメロンボムをね。
「じゃあ私も入るのやめとこ~」
「え、私のことは気にせず入ってきてくださいよ」
そういえばこの人、着替えとかタオルとかあるのかな……。
まさか裸でいるつもりか。
ならば何としてでも入ってきていただきたい。
「いいの~、かなでちゃんの平原が見たかっただけだから」
「あはは~、そういえばあなたの趣味でしたね~」
ちくしょ~!
まぁ、動きやすいからいいけどね!
「しょうがないから、かなでちゃんのヌード写真で我慢するよ~」
「そうしてくださ……、えええ!?」
今なんと言った?
私のヌード写真だと?
なぜそのようなものが……。
「ちょっと見せてください!」
私はさくらさんのスマートフォンを取り上げようとする。
しかし私の体はさくらさんのメロンボムに弾き返されてしまう。
「そんなに自分の裸が見たいの~?」
「そんなわけないでしょ!」
いったいいつの写真なのかが知りたいんだ。
「はい、これだよ~」
「はい、コラ画像~!」
私の顔だけが見事に合成されている。
体格も似ているし、どこから手に入れたんだ……。
私が覚えてないだけかと思うほど違和感がない。
「ほら、こんなアクロバティックなものもあるよ~」
「キャア~!!」
空飛んじゃってるよ!
この元画像の人、何しちゃってるの!?
全裸でスカイダイビングでもしたの?
いやいや、背景も合成かな。
そうじゃないとおかしい。
だってなにもつけてないもんね。
「本当に誰がこんなの作ったんだか……」
「かなでちゃんのお嫁さんって言ってる子」
「ハノちゃ~ん!?」
もう、何してるの、我が嫁は……。
そういえばモカさんとこそこそしてたなぁ……。
私の周りってネットワークがすごいね。
みんなが私を置いて繋がっている。
あれ? 私、ぼっちなの?
それにしてもハノちゃんの技術はなかなかのものだ。
知らない人が見たら気付かないよ、これ。
「はぁ……、もう疲れるなぁ……」
「これあげるから元気だして」
さくらさんのスマートフォンから画像が送られてくる。
「いったい何の……」
おっと? これはいけませんね~。
そこに写っていたのは、私の嫁と妹の入浴姿。
つまりハノちゃんといろはちゃんの写真だ。
しかもカメラ目線。
「これはどうやって手に入れたんですか?」
出会ったばかりのふたりが一緒に入浴してる時点で、チャンスなどほとんどないはず。
なのになぜこんなものが存在するんだ。
「モカちゃんがくれたの~」
「どうして私にはくれなかったの!!」
というか、モカさんとさくらさん、仲悪いんじゃないのか。
よくわからない関係だなぁ……。
あとモカさん、いつふたりとお風呂入ったんですか?




