あの子拾ってきた子だから~、私まだ結婚してないから~
モカさんは一枚ずつ羽根を切り落としていく。
他の傷は再生できても、羽根はできないみたいだ。
すべての羽根を切り落とすと、今度は本体にむかって鎌を振るう。
堕天使は霧となって消えていった。
すごい……。
モカさんはやっぱり強い。
かっこいいなぁ、私もあんな風になれるかな。
モカさんの鎌も霧となって消える。
そしてさくらさんの前に立つ。
すごく真面目な表情で話し始める。
「めがみさんは話しましたよ、過去のこと」
「そっか~」
「今度はあなたの番では?」
「……そうだね~、途中までは話したんだけどね」
さくらさんの表情が苦しそうに変化していく。
まだ何かあるんだろうか。
世界はそんなにも悲しみが溢れてるのだろうか。
そんなの嫌だ。
世界は幸せであって欲しい。
夢や希望で溢れていて欲しいな……。
モカさんが今度は私の前まで歩いてきた。
そしてゆっくりと私の頭をなでてくれる。
「わわっ」
気持ちいい……。
すごくくすぐったい。
そこにさくらさんが静かに話しかけてくる。
「ねぇ、モカちゃんは一体何者なの?」
「……」
モカさんの手が止まる。
さくらさんでもモカさんのこと知らないの?
「なぜ、そんなにめがみちゃんにこだわってるの?」
モカさんはマロンちゃんのお姉さんだ。
ということはハノちゃんたちと同じ世界の人のはずだ。
その割には確かにいろいろ詳しすぎる気がする。
世界も自由に行き来してるし。
「……違うわ、めがみさんじゃない」
モカさんは私を抱き寄せて、顔だけさくらさんにむける。
「私が大事にしてるのはかなでさんだけ」
「わわ」
ええっ!?
私、もしかして告白されてる?
「私もモカさんのこと大好きです」
「かなでさん……」
「モカさん……」
見つめ合う私とモカさん。
「ちょっとちょっと、私の存在忘れないで」
「あ、いたんですか?」
「さっきまでお話してたよね……」
モカさんのさくらさんへの扱いが雑だ。
やっぱり仲悪いのかな……。
「相手がかなでちゃんでも、理由がわからないのは同じなんだけど……」
「愛に理由なんてないわ」
モカさんが恥ずかしいことを真顔で言っている。
「それは……、そうね」
納得しちゃった!
「とにかくさくらさんも、ちゃんとかなでさんたちに話をすること」
「わかってるよ~」
そしていつものようにモカさんは消えていってしまった。
「かなでちゃん、とりあえず家に行っていい?」
「はい、それはいいですけど、みんな寝てますよ」
まだ深夜だからね。
そういえばモカさんはこんな時間なのに来てくれたのか。
あの人ちゃんと寝てるのかな……。
1日10分とかしか寝てなさそう。
「みんなが起きたらお話するね」
「そうですね、じゃあいろはちゃんの部屋で休みますか?」
今は私の部屋だけどね、いろはちゃん。
「う~ん、今日はかなでちゃんの部屋で寝るよ~」
「なんでですか!?」
いや~、まずいな~。
今、私の部屋にはいろはちゃんが寝てるし。
あとハノちゃんとお姉ちゃんも。
やばい、何がってもうやばい。
あ、でも一緒に寝てただけだし?
別にやましいこと何もしてないし?
問題ないか。
「しょうがないですね、じゃあ私の部屋で寝ますか」
「わぁ、ありがとう~」
「いえいえ」
「こども、できるといいね!」
「ぶっ」
この人やばい、何がってもうやばい。
「さくらさんはいろはちゃんのお母さんでしょう!」
「あの子拾ってきた子だから~、私まだ結婚してないから~」
「え~!?」
ええ~!?




