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Aurum Online [Shooter]  作者: 亜空間会話(以下略)
第三章 Weiswald
47/120

#047 Reinheit

 お待たせしてしまいましてすみません……。いろいろあるんです。


 小説の資料として解剖学(人体構造の詳細を知るため)とか心理学(精神的な描写の裏付け)とか生物学(単純な知識のため)とか民俗学(新たな文化の作成)とか一般小説(文章力の底上げ)を読み漁っていたもので。


 あと

「きらーず!」(部活動に必要)

「非日常シリーズ」(趣味)

「桃花源」(ほかの投稿作品)

「無題」(趣味)

などを書いていたために(あと不真面目にゲームなどやっていたために)更新がここまで遅れてしまったわけです。とはいえ気が乗らないときはどこまでも遅れてしまうんですよ……。


 言い訳はともかく、どうぞ。

 リサーチや事前知識から選ばれたのは、ボスモンスターだった。


「なあ、これどう見ても強いよな? 鳥っぽいけど」

「ええ、だからですよ。すぐに死んじゃったら効果を確認しにくいでしょう?」


 まあ、そうだけど。



 オピストコムス

 バード:オリジン種  推奨人数:十人~


 森を走り回る、鳥の祖先の姿を残している鳥。さまざまな攻撃手段を持つとても強力なボスモンスターだが、特定の攻撃には弱い。



「ほうほう、鳥の祖先ね…… そうは見えねえ」

「そうなんですか? よく分からないですけど」


 この「特定の攻撃」はどうやら火属性攻撃のことらしい。羽根が燃えるからとかいうことなんだそうだ。あとは風属性らしいが、だいたい火属性の補助くらいの考え方らしいし上げているやつもそうそういない。


「二人っきりですねー」

「油断してるとだいたい羽根むしり終わった鳥みたくなっちまうぞ」


 相手はまだ臨戦態勢をとっていないが、遠隔攻撃も近接攻撃も非常に強力だと言うデータは集めていた。おまけに魔法まで使う鳥だ。おまえ鳥じゃねえだろという突っ込みは入れるだけ無駄なので何も言わないが、理不尽だとは思う。


 茶色い羽にみっしりと覆われた、巨大な飾り羽の生えた鶏を想像してもらえば早い。それがばたばたと羽ばたいてギャアギャアわめきながらこちらへ向かってくるのはなかなかに怖い光景だが、俺は冷静にナイフを胸元に投げる。


「当たるんだな」

「人間型じゃない限りそう簡単にはかわしませんよ」


 飛んでくる羽の攻撃を解析付きでなんとかかわす。


「くそ、そう簡単には毒とか入らないのか……」

「ボスって状態異常完全耐性あるのもいますよね」


「え、何だよそれ」


 セレクトが悪かったのか。これでもまともなのを選んだつもりだったが、わざわざ状態異常が効かないやつを選んだならお笑いだ。


「もう少しセレクトに凝るべきだったかな……」

「いや、これでいいと思いますけど」


 どうなんだろう。


 少しは効いているようだが、羽根が邪魔をするのか、物理ダメージが小さい。鳥の動きは存外早いが、でかいだけ避けやすい。羽根を飛ばしてくるのをスライドするように避けたあとでピックを飛ばすと、羽根を貫通してダメージが通った。


「図体がでかいけど、ゴーレムほど強くないな」

「ゴーレムはあれですからね……」


 まあ、ゴーレムは挑戦するものというような意味合いで強い。その点こいつはただのボス並の強さを持ったモンスターだ。実際のところそんなに強いものではないのだろう。普通の戦い方をすればかなり強いのかもしれない。


 ヘイトを取って、攻撃を一手に引き受けるというところがまず面倒だ。ミサは毎回やっているんだと思うと、妹よ偉くなったではないか…… なんて偉そうなことを考えてしまう。まあ、攻撃役は指示されない限り敵を倒していればいいだけなので気楽だ。


「ダガーってどういう戦い方なんだ?」

「近付けるときだけ近付いて素早く切って戦線離脱、を繰り返す感じですね」


 一撃の威力が大きくないので、すばやく二回か三回斬り付け逃げるらしい。逆に一撃だけ特技で最大ブーストして逃げたり、「軽業」「体術」と併せて回避し続けるタイトロープ的な戦闘を繰り広げたりする方法もあるようだ。


「投げねーのは不便なもんだな」

「受け止められるんならいくらでも投げますけど」


 普通、メインウェポンは一本だけだし、予備があってももう一つか、用心深くて二本あるかどうかというところだろう。俺みたいに使い捨ての道具を百本以上揃えているやつなんてそうそういないに違いない。


「そんじゃ、俺が隙を作るからそんときスキル打ち込めよな」

「隙はなくても攻撃はできるもんですよ」


 頭に向けてボーラを投げると、つなげたうち一つが当たり二つ目はぐるぐると首に巻き付いた。鳥はギャアと一声怒りを発し、どうやら魔法の構えを取る。


「おい大丈夫かよ、どうやったら止められる!?」

「弱点部位を攻撃すれば大丈夫です」


 その弱点を知りたいところだが、直接打撃力が大きそうなところに攻撃をぶち込むのが最適解ってところだろう。頭にいがぐりを五発入れてから翼にピックを十本ぶち込み、胸にソーピックを手持ち二十本全部突き刺した。


「おい今が隙だろ!」

「ええ。〈スルー・ペイン〉」


 ひゅぱっ、と鳥の首に傷跡が刻まれた。


 明らかにトーンの違う恐ろしい大音声を轟かせ、鳥は羽根を機関銃のように飛ばす。弾幕大好きな漫画のような光景の中で、俺は久々に本気で解析しながらダッシュにジャンプにスウェーバックを繰り返しとどめにバク転をして〈スティール・ピアース〉を鳥の頭に投げ入れた。


「倒しちゃいましたね」

「効果がよく分かんなかったな……」


 といって、他のモンスターに試すのもそれで鬼畜な気がするが。


「ゲームの中での身体能力がすごすぎて、逆に現実がしょぼい気がするよな」

「それはちょっと、ゲーム中毒の初期症状じゃないですか」


 まずいですよと言われるが、具体的にどうまずいか分からない。


「死んだらどうなります?」

「神のみぞ知る、だろ」


 常識も常識。分からなかったらどうするんだ。


「お金を稼ぐ手段は?」

「バイト」


 まだ大丈夫そうですねとリセイは胸をなでおろした。


「ここでセーブポイントに飛ばされる、モンスターを倒すってなってたらアウトですね。何かの本で読みましたけど、VRMMOが現実にできあがったら必ず現実に悪影響をもたらすだろう、って予測があったんですよ。SF作家ごときの予測を当てたくはないですね」


「そんなのあんのかよ。俺たちをなめくさってるとしか思えねえな」


 作家なんかの言葉が当てになるわけがない。有識者ぶっているが妙なところで発言を求められたあげくに的外れなことを言って嘲笑を買うのがおちだ。


「まあ、確かに作家がすごいとは思うけどな。すごいだけだ」


 大脳生理学や量子力学、解剖学や民俗学に詳しいと言えばそれだけですごく聞こえてしまう。だがその知識を紐解いていくと誰もが知っていることの発展形だったりするのだ。本当にすごい人もいるが、誰からも親しまれる天才と言うものが数少ないように本物のすごい人はごくわずかしかいない。


「すごいだけって……。見下しますね」


「リセイにも一つくらいすごいところはあるんだぜ。そのすごさってやつを際立たせるように言うけど、じっさいすごさなんて石ころよりたくさん転がってるんだぜ」


 頭がいいだとか、そういうのは誰でも持っている。で、一番がいる。ユニークなのがいる。ただそれだけのことだ。


「傲岸不遜きわまりますねー」

「そりゃそうだろうが。あのひとすごいなーでストレス貯めてたらいつか死んじまう」


 ところでモンスター探さねえかというと、リセイはにっこり笑って、これまで話していたことをすべて忘れたように「そうですね」と言った。




 それから俺たちは狩りを続け、結論を出した。


「状態異常は強いな。阻害魔法を持ってるやつが優遇されんのも分かった」


 重ねれば重ねるほどに効果は増していき、強くなっていく。相手が何もできないままに倒れていくさまを見るのはさすがに怖かった。


 そして何より、直接攻撃のダメージではない分は現象として扱われるらしく、誰のものと言う計算が一切ない。もともとの俺のダメージが少ない分、さらに入る経験値が少なくなってしまうことになった。まあこれは心配していないが。


「すごいですねー。それにとっさに阻害魔法を合わせるのがさすがです」

「いや、まだ草で見つけられてないだけだろ」


 麻痺などはまだ薬草、じゃなくて毒草や素材アイテムで同じ効果を持つものが見つけられていない。そういうわけで、毒で再現できないものは魔法で出すしかないのだ。


「でも現実に必要になってくると思いますよ、応用力」

「そんなもんか」


 確かにアルバイトなんかしてるときでもそうだ。ちょっとコーヒー豆が切れてるなんてときは買いに行く、そんなのがいい例だろう。


 ファンタジーのそれのようにも見えるが、森は普通の森だった。よく見れば葉っぱの種類が少ないとか細かい草がちっともない、なんてこともない。ごくごく小さなキノコなんかも生えているし、なんだこれと言いたくなるような、学者を連れてきたらはしゃぎそうなサムシングもある。ちーるいとかいうやつだ。所詮はゲームだと落ち着き払っているか、それとも現実にこんなものがあるとしたらどのようにして生まれるのだろうかと考え出すのか。


「んじゃ、狩りはこの辺で帰るか」

「そうですね」


 別にレベルが上がるわけでもなく、ちょっと面白いものが見られたくらいだった。今まで特に見もしなかった森の中の何かを、リセイから目をそらす分よく見られたことは間違いない。せいしゅん的理由がとても馬鹿らしいことは言うまでもないが、まあ俺もまだ中学三年生のガキなのだ、しかたない。


 もう少し精神のレベルが上がれば、ましな会話ができるようになるのだろうか。リアルで会ったときも、そうなるのだろうか。


 俺は余計なことを考えながら、街に戻った。

 オピストコムスというのは「ツメバケイ」という鳥の学名です。原始的な鳥なのか、生まれたときには翼に爪がついている(しばらくすると抜ける)そうです。生まれた後にも爪が残っている近い仲間がいるのかもしれない…… というのがコイツ。


 言うことが溜まって貯まってヤバかったはずなんですが、いざ言うとなると忘れてしまうもんですね。何が言いたいのだったか。


 前述しました通り、大量の作品を書いているので更新はしばらくできません。半年を見込んでお待ちください。というのは冗談ですが、今回と同じくらい長い時間お待たせしてしまうかもしれません。とりあえずお待ちください。

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