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Aurum Online [Shooter]  作者: 亜空間会話(以下略)
第二章 counter Player Killer Council
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#038 Next stage 2

 ぜんぜん更新してない仲間に応援をしようかなと思ったのですが、引かれそうなのでやめておきました。一話挙げてポイント付く天才なんてどこにもいないんですよね。というよりこれからのことが分からないので付けられないというのが正解かもしれませんが。


 彼らには折れないでほしいなあ。私みたいな「自分をおとしめる」という間違った楽しみを見出すほど歪んでほしくはありません。


 どうぞ。

 正しいつづりはこうだ、と紙に書いたものを渡されて、いいのかよと思わず言ってしまった俺はだいぶ取り引きってものに毒されている。


「BeltibergとRebervlmか……」


 ほら、この間ひもの付いた投げ武器を無償でもらったろうとJは派手に笑った。


「全部が全部試行錯誤ってわけじゃないがね。発明品に金も支払わないのは気が引ける」


 Jは続ける。


「現在このゲームに存在するすべての装備品の性能や見た目は、プレイヤーの存在によるところが大きい。つまりほとんどがオリジナルに近いと言っていい状態なんだ。だがそれに適正な報酬が支払われているかというと、多すぎる場合と少なすぎる場合がある。この少なすぎる場合、君はこれに相当するね」


「そう思ってるならもうちょっとなんかあっていいんじゃないか?」


 図々しいとは思うがまあ、口車に乗ってやろう。それくらいの気持ちで言い出したことだったのだが「まあいいが」とJが言ったのでこりゃどういう展開だと俺は面食らった。周りはため口で話す俺にかなりやばい度合いの視線を向けてきているが、知ったことじゃない。


「何かただで譲ろうか?」

「いや、高いもんを譲ってもらうのも気が引けるぜ」


 ふーん、と言ったJはそれじゃ食事でもおごろうかいとごまかすように笑う。


「悪くねえな」

「ほう、それじゃ行こうか。みんな、今日は僕のおごりだ」


 おおう! という怒号とも聞き間違えそうな歓声が上がった。




 エイルンの南の方は食事をとれるところがけっこうたくさんある。ということを知ってはいるもののあんまり立ち入ることがないので、けっこう新鮮だった。


「実はレベル30以上のみんなだから、かなりの精鋭なんだ」

「P.K.Cとは関係ないのか?」


「違う違う、狩りの仲間たちだよ。いくらPKでも人間を狩ってレベル上げはできない」


 あんまり信用ならないが、見たことのない顔も確かにいる。安定してモンスターを狩るためにはかなりの人数が要るんだろう。


「プライドもそれなりにあったんだがね…… 残念だった」

「推奨人数が百人以上じゃ無理だろ」


 まあね、と言ったJはわずかばかり嫌そうな顔をした。


「数が多くてね…… フィールドボスクラスのやつらが二十体ほどかな。十人で一体倒すくらいのやつがそれだけ出たわけだから、まあ敵わないな。精鋭を三十人揃えているからドラゴンともいい勝負ができるとも踏んでいたんだがね」


 いちおう北の山のてっぺんあたりに正統派ドラゴンはいるらしい。それでもやっぱりでたらめに強くて、フィールドボスを倒せるパーティーでもきついんだそうだ。


「士気を上げるという意味でも重要なイベントだったが、大失敗だな。何とかして辿り着きたいと思っていたんだが、今はまだ無理らしい」


「簡単に諦められるもんなのか?」


「何度も死に続けるのは負担なんだよ。デスペナルティーもこのレベルになってくると取り戻すのが大変になってくるし、何より死の恐怖は意外に大きい。安易に死に戻りなどという言葉を使える状況ではない」


 まあ、そりゃそうだ。


「状態異常を操る敵が多くて損失が大きい。腹が立つくらいだ」

「そんなにか?」


 錆びの状態異常は防具がかなり傷むらしく、修理代が相当かさむということだった。使う方からしてみればありがたいことだが、使われる方からしてみれば最悪なのか。対人戦で使ったら嫌がらせみたいになりそうだ。


「錆びだけじゃない、アイテムを使って解除した分は全部損さ。しかも全滅したからさらにひどいことになってしまった。本来なら大騒ぎになってパーティー即解散になってもおかしくないくらいだが、死のショックと諦めがついていることで和らいでいるんだろう」


 そんなものなのか。


「ほかのアプローチをするしかなさそうだね…… オーダーはしないのかい」

「あ、ああ。するよ」


 そういえば飯っぽいものを食いに来てるんだったな。この店だと何が美味いんだと聞くとデザートがいいんだよと情報通らしく答えた。


「ま、夜中にデザートだけ食べると腹が空くからやめておいた方がいいね。一応だがセットメニューをお勧めしておくよ」


 勘定がいくらになるのかはもう考えないことにして俺は海老天丼と、デザートに焼きプリンを頼む。いちおう貝柱&シュリンプカクテルなんてしゃれた、ゲームでしか食えないようなものもオーダーしてみた。


「なかなか目が高いね。現実じゃ高騰しているものを頼むとは」

「そういうJこそ牡蠣ちゃんぽんなんて頼んでるじゃねーか」


 海産物はだいたい高価だ。いろいろ崩壊したせいでブラックタイガー、ウシエビなんて滅多に口に入るものじゃなくなったし、バナナも少なくなった。熱帯アジア辺りはだいたい日本やらと手を切ってしまっているのだ。


 その代りに日本の海産物の需要が増える。


 もちろん高騰して、馬鹿かというほど高いのが元から需要のあった貝類だ。エビは南米のものが入ってくるのでそれなりに大丈夫なのだが、ホタテや牡蠣はあんまり海外のものが入ってこない。安い魚介類なんて近海で取れる魚や遠洋漁業でなんとか行けるくらいの海で取れる魚くらいのものだろう。


「アジはいつまでも庶民の味方でいてほしいな……」

「君が庶民かどうかは置いておくとして、おおいに賛成だ」


 作っている時間があるのかないのか、適当に待ち時間があってから届くらしい。


「そういや阻害魔法取ってたんだけど、治癒魔法と支援魔法も取ったんだよ」

「器用貧乏を極める気かい? 悪くないと思うが……」


 治癒魔法は「HPの回復」と「状態異常の治療」、それから「HPに関する支援効果」が特技に含まれるらしい。上がるのは比較的早くて、始めたばかりの人でもハイレベルの回復呪文を使える、ということだった。


「まあ、パーティーに一人は欲しいね。専属ヒーラーが一人いればまず死ぬことはない」


「そんなもんか」


 支援魔法は「各種の支援効果」と「敵へのステータスに関する阻害効果」らしい。管理するのが非常に面倒だが、使いこなすことさえできればそれだけで引っ張りだこだろう、とJは手振りを交えつつ語る。


「モンスターの討伐が早くなる、損失が減る、生産がやりやすくなる。助かるからねえ」

「ほうほう」


「で、これを一人で全部管理するとなるとね…… 難しくないかな」

「自己回復できるんだろ?」


 まあそうだが、とJはあきれたように言った。


「お待たせしました」

「ああ、ありがとう…… パーティープレイにも通用するように磨いた方がいいね」


「あざっす…… そうか」


 ファンタジーっぽくはあるが、現実にかなり近い食事がゲーム内の金で楽しめるというところが楽しい。稼ぐのは大して難しいことじゃないし、現実にはもうほとんど食べられないようなものもこちらでは安く手に入る。


「若い頃は普通に食べられたのさ、これがね。今じゃこんなぜいたくな使い方はしないだろうなあ……。一部の金持ちというやつはまったく庶民の敵だよ」


「学生時代とかか?」


「そう、そう。現代の体に無害な化学物質じゃ出せない味だ。そういうところを進歩させるのも嫌いじゃないんだがねえ。本物の味は違う」


 よく分からないが、今は食べられないんだろう。


「今の味も悪くないと思うぜ。体に害のないやつなんて、昔は食べられなかったんだろ」


「分かってないな君は! 情緒の問題さ」


 良い食べ物を口にできる機会は減ったんだとJは悔しげに言う。


「食べ物に関しての学説はどれだけ読んだね? まあ君はあまり縁がなさそうだが」

「学説なんてなあ、読まないけどな」


 食べ物に関しての学説ってなんだよ。


「食べ物、というより生き物を加工して作った料理には未知の栄養素が含まれている可能性があるというものがあるんだ。つまり生き物は、生き物のサイクルでしか生きられないということだね。サプリメントを食って生きるような暮らしだとその「未知」が不足して死ぬ可能性があるというものさ」


「うーん、俺は半々で大きくなってきてるから」


 正直、加工食品なしで生きていくのはかなりきついだろう。調味料だって何か入ってるわけで、金持ちでもなきゃ「まともな」食べ物は手に入らないものなんじゃないか。


「ふん、まあ本物の味を虚しくとも味わうといい」

「虚しくともって……」


 まあ、味覚と満腹感だけだ。一キロカロリーもないし、健康に影響ない。


 それからは黙って互いの食事をつつき続けた。周りは旨いだのやっぱ癖になるぜだのと騒がしいが、若干不機嫌なJとそれの理由がよく分からない俺が黙って器を空にするべく箸を動かしている。


「味覚再生ソフトはね、多額の出資によりできているんだ」

「そうだろうな。出すやつは多そうだし」


「感覚の再現というやつは、その感覚を実際に味わいながら脳波をとったりというデータが大量に必要になる。つまりこれらの食べ物は、実際に食べられたモノなのさ。開発スタッフにシェフがいたんだが、こういうことなんだなといま実感した」


「面白いな…… というか作り込みがおかしいんじゃないのか。平常運転だと思うけど」


「こんなにたくさんのものを実際に作って食べている……。なかなかにぜいたくだと思わないかい。僕はとてもうらやましい」


 ずる、ずるずるっと汁をすすり「ごちそうさまでした」と丁寧に手を合わせたJは、食事を終えた仲間たちと帰っていった。




 なんというか、食べ物の恨みは深いとでも言えばいい状況なんだろうか。不機嫌だったのはつまり、こんなものを現実に食っているなんてうらやましすぎる、よこせ! ということなのか。


 そんなに食べ物に困っていそうには思えない。というかかなり闇の深そうなよく分からない場所に所属しているようだし、金銭的には恵まれている方なんじゃないのか。俺はそう思っているわけだが、違うのだろうか。


 とりあえずスキルを試しに行こう。街の中で使うことができる支援効果もあるかもしれないが、多くは戦闘のときに使うものであるはずだ。


 街中でちゃんとスクロールしておいて、特技の編成リストは使いそうなものから上にしておく。攻撃力アップはもちろん最重要だし、属性防御アップという貴重そうなものを下にしておいたらいざってときに困るだろう。回復呪文にも種類があるみたいだが、防御をプラスしなくても単純にHPを回復するだけのものでよさそうだ。


「〈スピードアップ〉」


 全般的なスピードが上がる支援呪文だ。ということは認識速度も上がるわけで、解析で見切り回避していた分のMPが節約できることになる。たたっと走ってみると、やはりいつもより早くなっていた。そのままの勢いでフィールドまで駆けていく。当然夜のフィールドは昼より危険なわけだが、いつもプレイしている時間からして夜なので何も考えなくてもいつも夜だ。


 具体的に夜のどういうところが危険かというと、まず視界が悪いのでモンスターを見落としやすくなる点だ。当然見落としたモンスターから不意打ちを食らうと油断していた分防御できずダメージも大きいし、ちゃんとしたフォーメーションをとれないでそのまま戦いを始めてしまいやすい。


 陣形が乱れたまま戦いを続けると、まず悪影響があるのが攻撃役の混乱だ。魔法攻撃を行う人は後ろの方でやらなければいけないし物理攻撃はもちろん近距離でやらなければ当たらない。そこが混雑していると戦いがやりにくくなってしまうのだ。


 あとは時間帯限定のモンスターが出現することくらいか。とは言っても夜限定のモンスターなんて特に見ない。何か厄介なやつはいただろうか。


 と思っていたら、何かがこちらに歩み寄ってくるのが見えた。


「あれ、見たことないな……」


 ザラルダイト鉱石とミルトラムを混ぜて作ったような、奇妙な黒っぽい鋼に紺色と紫の紋が這っている材質だ。おかしな形に体を曲げているわけではないが、妙に下を向いているあたりは何かから隠れているような印象を受ける。じゃり、じゃりっと砂を踏みしめる重い足音は確かに重量をうかがわせるが、足取りは重そうには見えない。デルク・クリスタルらしい材質の剣と盾はうっすらと青緑に透き通っていて、宝石で作られた拷問器具のように、ぞっとするほど美しかった。


 どこか人型ゴーレムに似てはいるものの、形が似ているというだけで細部はほとんど違う。だいたい持っているものが粗雑な棍棒ではない。もしかして人ではないのか、と思ったのだが解析スキルはきちんとそれが人間ではないということを告げてくれた。



 ソードマンゴーレム

 ゴーレム:デミヒューマン種


 自分の意思を持って行動するように作られた結果、術者を倒して逃げ出したゴーレム。非常に高い戦闘能力を誇り、あてがわれた武器も非常に高性能。剣技を操るほか、簡単な呪文を使うこともある。



 これ、勝てないやつじゃないのか。


 そんな一瞬の思考を自分で消し飛ばし、俺はナイフを投げた。

 私が知っている限りの情報と照らし合わせて「魚介が食べられない理由」を世界情勢として年代順に考察してみました。フィクションなので重く考えなくても大丈夫です。


(日本企業、世界進出する)

 1990年代後半より

 ↓

 説明しなくても分かっていただけるものかと。


(中国の汚染問題深刻化。人外魔境に)

 2010年代後半から2020年代前半?

 ↓

 人外魔境という言い方は失礼極まりないのでやめておいた方がいいのですが、実際の画像を見た後ではこの言葉しか使えません。遺伝子撹乱とは恐ろしいものです。


(国際世論、事態を重く見て「公害輸出」を退散させる)

 2020年代?

 ↓

 いわゆる「安い労働力」は買えなくなり、日本企業も海外から退散せざるを得なくなってしまうでしょう。


(汚染問題の責任は先進国にあると取り沙汰される)

 2020年代?

 ↓

 国のやり方のせいで被害をこうむるのは国民であるわけですが、実際のところ先へ先へ進むのに手を引っ張りすぎたのかもしれませんね。という事実はさておき、日本も責任を追及される立場です。そうなればアジア全域からかなり浮くことになってしまうのではないでしょうか。


(熱帯アジアと国交断絶)

 2020年代?

 ↓

 これまで安い労働力とされてきた国も、そろそろ発展途上などと言わせぬ勢いになってきていることでしょう。そうなれば汚染問題と合わせて、これまでの責任を追及されるとともにこちらが有利な取引はできなくなるに違いありません。


(安い海産物が輸入できなくなる)

 2020年代後半から2030年代前半?

 ↓

 いわゆる「買いたたく」ようなことができなくなりますと、とうぜん輸入したものの値段は跳ね上がるでしょう。特産品やブランド製品のようなものを考えだすと、今から考えればインフレーションでも起きたかのような値段になるかもしれません。


(日本で国内の食料不足)

 2030年代?

 ↓

 安い食料を近隣諸国から輸入できないとなると、いよいよ日本もまずいことになるに違いありません。まずいものしか食べられない日が来るかも…… などという冗談すら言えない日が来るのかもしれませんね。急激に需要が高まった国内の食糧生産は耐えきれず悲鳴を上げ出すことでしょう。


(新技術開発されるか)

 2030年代?

 ↓

 近隣諸国以外の輸入もここぞとばかりに値を釣り上げてくることでしょうが、日本の技術力が食料生産に向いてほしいところです。具体的には土地に害の少ない肥料や無理の出ない形の成長促進などでしょうか。




 本編ではこのあたり、もしくはもう少し進んだあたりになっているようです。そう計算すると2030年代の、問題がひとまず過ぎ去ったと思しき後半あたりでしょうか。日本史の授業や小学校の社会でもやるはずなのにな…… 成績がいいはずなんじゃないのか伊吹君。


 現実に起こる可能性もなくはないのですが、まあ、首脳が入れ替わるなんてことが奇跡的に起きれば予防できそうです。アジア諸国は無理そうだな。中国はまず無理として、北朝鮮と韓国はワンチャンありそう…… いやなさそうかな。理性的な国は南の方にかたまってて悲しい。


 最後に一つ。


 この作品はフィクションです。現実に存在するいかなる存在、国家とも(名前が出てきたとしても)全く関係ありません。真面目に受け取らないようにお願いいたします。直接的な文句があれば「ここを直せ」ということを感想欄、見られたくない場合は個人メッセージで送っていただければ善処いたします。

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