↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その【聖女】転生者につき。  作者: お餅憑き
二章:学術都市と賢者。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/127

頁:29 その【乙女】最終手段につき。◆挿絵有り



 翌朝の早朝。賢者がいるとの噂がある大図書館へ向かっていた勇者たち。

 大図書館の場所は、この街に到着した当初から見えていた場所。


 どうやら、大図書館は学院との複合施設らしい。


 早朝にも関わらず、往来は大勢の人で賑わいの様子を見せていた。


 行き交う人々の中には、黒いローブ姿の学生たちの姿も確認できる。


「私……学校に行ってみたかったのです。学生さん方が羨ましいです……。」


「学校ってすっごくお金が掛かるってきいたよ?

 さすがはセラ……!僕とは住む世界が違う貴族の令嬢さんなんだねぇ……!」


 四人で何気ない雑談を交わし、中央の建物へと足を運ばせ――やがて門前へ。


 圧倒される巨大な建物。皆は口を開いて呆然と立ち尽くしていた。

 ぐるりと周囲を囲む生け垣、重厚な石造りの建物。


 学術都市を象徴するような、立派な外観に気圧される勇者たち。


 門を抜け、開け放たれた大きな扉を抜けた先、建物内部も驚きで満ちていた。


挿絵(By みてみん)


 無数にある窓から柔らかく射し込む陽光に、所狭しと立ち並ぶ本棚。

 大図書館内部は薄暗く、書物が日焼けしないようにと、尽くされている空間。


 一体どれほどの書物が、この場所に集められているのだろうか?


 長年蓄積したであろう紙束に、ほんのりと鼻腔をくすぐるインクの香り。


 コツコツと足音が反響するような空間。

 周囲を見渡しながら、図書館の内部を進んでいく勇者たち一同。


 そこかしこに学生の姿があり、ちらほらと一般の市民の姿も確認できる。


 手短に――側を通りがかった女子生徒へと、やや小声で話しかけた勇者。


「あの、すみません。少しお尋ねしたいことがあるんですが――

 禁書庫って、どうやって行けばいいか分かりませんか……?」


「ええ?はい……?禁書庫、ですか……禁書庫でしたら許可証――

 国から発行される証明書が必要ですが……私ではなんとも……。」


「とりあえず、司書様にお話を通してみないことには。

 よろしければ私が、司書様の場所までご案内致しましょうか?」


 案内をお願いし、女子生徒に案内されるがまま進んでいく。

 そうして彼らが案内された場所は、階段下にある扉の前。


 女子生徒は小さな声で勇者たちに待っていて欲しいと伝え――しばらくの間。

 扉が開かれ、出てくると同時に入室を促された勇者たち。


 女子生徒は一言断りを入れ居なくなってしまうが――

 入れ替わり立ち代わりで小部屋へと入室する勇者一行。


 どうやらその場所は管理室のようだ。

 帳簿が几帳面に並べられ、小さな机には紙束と羽ペン。


 全員の入室を終えると――司書の女性が一同に優しく微笑みかけた。


「さて――どのようなご用向きでしょうかね?本を探しに来た――

 という風には見えませぬが……。」


 ノアが何かを伝えようとするが――彼は口ごもり唸っていた。

 そんな勇者の代わりに、聖女が口を開いた。


「本ではなく人を探しにこちらまで赴きました。」


「賢者さまにお会いしたくて……こちらにいらっしゃると。

 そのようにお聞きいたしましたので。」


「ふむ……賢者さまですか――彼方(かのかた)は禁書庫から動けませぬ。

 して禁書の立ち入りは、私の一存では決めかねますゆえ。」


「禁書庫の立ち入りに関しては、国からの許可証……もしくは――

 賢者様直々に許可をくだされた方のみ立ち入りが可能となっております。」


「ですが――それでも書物の閲覧までは許されておりませぬ。」


 こんなときに使いたくない手段ではあった、が……四の五の言っていられない。

 

「――司書さま。こちらの方は【勇者】さまにございます。そして……。

 私は【聖女】です。それでも……駄目、なのでしょうか……?」


 聖女の言葉に驚いたのは何も司書だけではない。

 勇者や騎士、小人族――そこにいる全員が聖女へ視線を送っていた。


「あらあら、これは失礼しました。私はここから出ることが出来なくって……。

 無知蒙昧な老骨めをお許しくださいませね……聖女様に勇者様。」


「私には仕事がありますゆえに、同行は構いません。禁書庫でしたら――

 ここから右手側の通路の奥、地下へと続く螺旋階段があります。」


「どうぞ、そちらから入室なさってくださいませね。」


 心の中で密かにガッツポーズを決めるセラ。

 後ろに控えていた勇者たちへ顔を向け、妙なしたり顔を披露していた。


「勇者と聖女が許可をされるんは、分かり、ますッ……」


「分かんだけどよ――その、俺らはさすがにまずいと思うんすが……。

 あー……俺らはその、完全な部外者な気ぃしててよ……。」


 緊張の面持ちで司書へと尋ねるが、司書は喉を鳴らして笑い――

 机に広げられた紙束を整え、騎士の質問へと穏やかな口調で答えた。


「なぁに……二人も四人もそう変わりませぬ。」


「賢者様にお会いするだけ――それだけなら何の問題もありませぬ。

 どうぞ、行ってくだされ。私は何も見ていなければ聞いてもおりませぬ。」


「そういうことにしておきましょう……ね?」


 という訳で――司書へ感謝を伝えた後、勇者たちは禁書庫へ向かうのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。