Day7 (Last)
この話から読むのは非推奨です
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街灯の光と目の前を通りすぎる小雨の雨粒だけが私の目に映る。
何も見えない。
でも、何も問題はなかった。
何度も何度もこの道は通ってきた。目を瞑っていけるくらいには。
一応、校舎の壁に手を滑らせながら歩く。朽ち果てた壁は雑草に覆われかけているのか手先に時々得体のしれない植物の葉が触れる。時々、吹き抜けていく春一番は木製の校舎の体をギチギチと不協和音を奏でた。
そうやって校舎に沿って歩くとやがてグラウンド跡に出る。かつての更地は今や雑草が生い茂り、草原と言われても何の違和感もない。
しかし、彼女はそんな歴史のあるグラウンドには目もくれずにある一点に向かって歩み続けた。
しばらくすると彼女の顔は不敵な笑みを浮かべた。そして、両手をスカートのポケットに入れてゆっくりと近づく。間には遮蔽物など何もないことは彼女の中では常識である。
グラウンドの隅にある何の変哲のない年老いた木の下には不自然な花束が一つ置いてあった。雨のせいなのか花束は何とも言えない微妙な香りを漂わせていた。
そんな花束を手に取ると、すぐさま花びらをむしり取り始める。色とりどりの花びらは無残な状態で彼女の足元へと落ちていった。中には手紙と思しきものも入っていたが、彼女は中身を見ることもなく粉々にした。
そいつは花束を粉々にした後、しばらく足元を見たまま止まっていたが
「……ところでさ……」
そう呟いた後、突然こちらに顔を向ける。眼は赤く染まっていた。
これは見世物じゃないよ?
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よくわからない見物人を始末した彼女は桜の木だったものを見上げた。先日までの華やかさのない桜の木は彼女からすればゴミ当然であった。彼女のすぐ傍らで倒れている者と同じように。
「……今日も来た」
彼女は昨日まではいた彼に向かって呟く。無論何の返事も帰ってこない
……はずである。
しかし、彼女は楽しそうに話ながら表情をころころかえる。
まるでいつものように彼に向かって。
私の真上にまで月が昇ってきたのを確認した後、
私は持ってきたマッチを使いそっと火をつけ朽ち木に向かって投げた。
老いぼれた木は大して抵抗もせずに全身を真っ赤にする。
「幻想的だと思わない?」
彼女は恍惚した表情を浮かべ、燃える木を見ながら呟いた。
草木は騒めき、火の粉が舞う。
桜の木は闇夜を照らし周りの全貌をついでに明らかにした。隣の古びた時計は三時三十一分三十一秒の地点で力尽きたように止まっていた。
「これなら、もう待たなくていい」
私は彼に問いかけたが彼は何も答えない。否、答えられる状況でないのである。
「あんたも。素敵」
私は身体をそり、全身を使って天を仰ぎながら笑う。そうしているうちに桜の木はその身の終わりを迎えた。
落ちた幹は地面に当たる瞬間に最後の輝きを見せると後は静かに燃え続けた。
その夜、もう何年も放置されている廃校舎に不気味な独り言が響き渡った。
何かが腐ったようなにおいを漂わせながら。
グラウンドは不似合いな明るさに包まれていた。
だけどそこには彼と彼女の姿はない。
そして、すべてを彼と彼女だけの秘密にしようと
雨はすべてをかき消し降り続けた。
――END――
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