↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/52

第35話 ドワーフの洞窟へ「湖畔の守護者①」

 新緑の香り。

 木々の葉が生命力に満ち溢れている。


 風が吹き、木々がサラサラと歌う。

 爽やかに揺れる木漏れ日。


 山々に囲まれた湖は、揺らぎない湖面に景色を取り込み、幻想的に魅せる。


 湖面が乱された。

 何という……罰当たりな……。


「ご主人様も、一緒に行きましょうよ」

 リズが誘ってきた。


 シンプルな黒のビキニは、女性らしい彼女のスタイルと、大きな胸を健康的に強調していた。


 愚者の天職を授かっているマークが、サムズアップのサインを送ってくる。

 全部、アイツの仕業か……。


 水着をいつ仕入れたんだ!


「きゃーー、湖じゃーーっ! テンも来るのじゃーっ!」

 幼女が水姿で駆け抜けた。テンとは、多分、大聖霊テンペストのこと。


 それにしても浮き輪? また無駄な小物まで買いやがって!


「ライムーラ様、待って下さい!」

 いつも薄着の大聖霊テンペストが古神龍の化身、幼女姿のライラを追いかけていく。


 大聖霊は、幼女姿のライラを知っていたようで、それは、それは大層な驚き様だった。


 古神龍の方が格上らしく、ああやって相手をするのに必死。


 結局、大聖霊テンペストは、皆からテンちゃんとか呼ばれることになった。

 なんか、きつねぽい呼び名だが、白い衣に細っそりとしたスタイルは、尻尾を生やせば、なくはない。


 それにしても、けしからん薄着だ!


「師匠は、ど、どこを見てるんですか?」

 金色の魔法使いメルセデク、黒いローブを着ているが……水着姿が恥ずかしいのか?


 黒いローブが、白い肌を強調する。

 ローブからビキニが覗く、意外に胸が大きい。


 メルセデクとククル、二人とも恥ずかしがって、中途半端に隠すものだから、余計に視線を集める。


「ちょっと、メルちゃん、こっちにいらっしゃい」

 ククルも水着姿。

 せっかくの水着の上からシャツを着ている。


 それで隠しているつもりらしい。


 首筋から描かれる柔らかな曲線を、シャツの薄い生地がぼやかす。

 それでも浮かび上がる、形の良い胸のライン。

 裾から伸びる長い足。


 結局、太ももとシャツの境に、どうしても目がいってしまう。


 ククルの話に、金色の魔法使いメルセデクは、ふんふんとうなづいている。

 時折、二人の視線を感じる。


 いったい何を……。


 そして、なぜ、身体をよじらせて胸を隠す!


「でっ、隊長、どうするんすっか?」

 トルンと俺は、水着に着替えていない。


 他の隊員達は、マークを中心に水辺ではしゃいでいる。


 どいつもこいつも、人外と呼ばれる域に達している強者だ。


 あっ、マークが溺れた……。

 リズにちょっかいを出そうとするから。

 バカな奴。


「町までは、どれくらいだ」

「今日は、この辺りで野宿ですね。それが嫌なら今すぐ、出発です」


 テンペストが宙に浮きながら、メルセデクを運んでいる。

 何をやっているんだ?


 おっ、湖の中に、メルセデクが落とされた。

 大聖霊ともあろう者が、大笑いだ。


 アイツらの主従はどうなってんだ?


「さあ、野宿で構わんだろう。無理に、先を急ぐこともないさ」

「へいへい、あとで、適当に人選して、準備しますよ」

 トルンの奴、まだ話があるのか?


「それで、隊長はどうするんですか?」

 女性陣がじゃれあっている。


 平和な光景。

 戦いとは程遠い。


「こういう瞬間も、幸せなのか?」

「さあね、そう思うなら、そうなのでしょう」

 トルンは肩をすぼませた。


 本当に、そうなら、しあわせは、案外にそばにあるものだっと思った。


 野営は手慣れたものだ。

 火種から、炎を育て、暖かい料理を作る。

 そして、寝床の準備、交代での見張り。


 空に星が瞬いている。

 遠くの虫の音と近くのそれが呼び合う。


 皆の寝息。

 焚き火の音。

 炎が弱くなれば、枯れ枝を食わせてやる。


 焚き火を絶やさず、見張りを続ける。

 火の粉が舞い上がり、風に乗って泳ぐ。


 まだ寝ていれば良いのに……。


 隣に来た女性に毛布をかけた。

 山の夜は、夏が近いとはいえ冷える。


「こうやってると、戦争中なんて、うそみたいね」

 隣に来たのは、ククルだった。


 枯れ枝を折って、焚き火に投げる。

 パチパチと炎が喜んで受け入れた。


「確かにな、戦争といっても人と人との争いだからな……良い言葉が見当たらないが、たとえ、それが世界を覆ったとしても、人と人ということだ」

「へえー、難しいわね。なら、当事者同士がやめたら、平和になるのね」


「それで終わるのは喧嘩だ。戦争は、どうにもならんさ」

「どうしたら終わるの?」


「勝敗が決するまで。敗者がいない戦争はない」

「そう……」


 風が危険を知らせてきた。

 耳を澄ませば、森の奥から物音が聞こえる。


 気配がおかしい。


「起きろ! 起きろ! 森の奥からヤバイ気配がする」

 魔物とは違う気配、生気のない気配。

 俺の声に応え、隊員達が目を覚まし、装備を整えていく。


「隊長さん、わたし、この気配、なんとなく分かります」

 珍しく彼女が怯えていた。


「世界で一番かわいそうな生き物……多分、死人です」

 ククルは、彼女がいう可哀想な生き物に、酷く怯えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。