メンテナンス部主任、根岸の証言
いや……外からの何かが原因のようだ……外となればその原因を見積もるのは圧倒的に難しくなる……地下を地中から掘り出すわけにはいかない……コンクリートを壊すわけにもいかない……そもそも根本的な……
……何ですかあなた。
今忙しいの、見てわかりませんか。
……そうです疲れてるんです。
何かご用ですか。
いや、いいです。言わないでください。何にも言わないでください。
このビルがボロボロだなんて当たり前のことじゃないですか。
少しくらい我慢出来ませんか。はいはい、出来ませんね。
いいですか。
見てくださいこれ!
未処理のメンテナンス要望書がこんなに……。
はぁ……、こーんなにあるんですよ!
これ以上私らに何かやらせようって言うなら、手を、手を貸しなさいよあなた!
もう……やってもやってもなくならない……そもそも対症療法じゃ問題がなくなるはずがないんだ……これはもはやメンテナンスでは賄えない……建築部……そうだ建築部が必要なんだ………
……いや、いいんです。
ところで何です?通気口?トイレ?
問題部分の交換が必要かもしれませんけど、一部の修復だけでも十分なこともありますからね。
……は?鍵?
どこの?
そこの?
あの、鍵穴に刺さってるやつのこと?
……まさかそんなことの為に私の手をとめてくれたんですか?
……いつからそこにあったかなんてわかりませんよ。
……ええ、どうぞお持ちください。
もう使いません。
オートロックですからそのまま閉めて大丈夫です。
……いえ、もう昼だし集中力が切れたので少し早いけど休憩します……
いえいえ、お気遣いありがとうございます……。
……社員食堂です……。
実はね、お袋が作ってるんですうちの社食……。
……お袋の味…が先か……社食が先か……ふふ。
……大丈夫です……ただ……疲れてるだけなんです……泣いてませんよ……。




