こんな私にも
あの日は、いつものように校門のとこにいって果林と帰った。
「どうしたの?」
果林は尋ねてきた。今日は来るのが遅かったからだ。でもエルゥはさっきのことは言えなかった。
「な、何でもないよ!」
無理矢理、笑おうと思ったが、笑えてなかったような気がした。
その日以降は果林はエルゥとは一緒に帰らなくなった。家でやらなくちゃいけないことがあると言い、小学校に寄らずに帰っていた。なので、帰り道は一人。いつしか奴らに目を付けられ、またあの春と同じようなことがしばらく続いた。
もう限界だった。たくさんの人に嫌われて、要らない存在であるくせになお生き続けるのは、エルゥはもうこれ以上は出来なかった。
学校の帰り道、あいつらに痛めつけられた後、近くに車が走る音が聞こえた。音に誘われて来るとそこは、大きな道路視界に映った青の信号の更に右の方へ視線をずらすと、歩道橋があった。歩道橋の階段をのぼり、少し歩いて立ち止まる。下の方をのぞくと、足元から向こうへ車が走っていったる。
ゆっくりと、塀の上に右足、左足をあげ、立つ。
後ろから次の車の音がした。ゆっくりと前へ倒れる。
倒れようとした時。
背中の服をガッと捕まれ、後ろに引っ張られる。塀から落ちて、反対側の塀に頭をぶつけた。
「痛・・・・・。」
何が起こったんだ・・・・?
上を見上げると、そこに息を切らしてエルゥを見下ろしている果林の姿があった。
「嫌な予感がして、来てみれば・・・・・!!」
「か、果林?」
エルゥは立ち上がる。
「何やってるんだ!!お前は!!」
「果林、どうして?」
「お前が!いなくなったら!私は・・・・、私は・・・・・・・・・・!!」
果林はポロポロと目から雫を垂らしていた。エルゥは何も言えずにただ果林を見つめていた。
果林はエルゥを抱きしめた。強く、強く。
「弱くてもいい!意気地なしでもいい!何もできなくていい!弱音も、いくらでも吐いていい!!だから、生きることだけは!!諦めないで!!!」
エルゥは静かに涙を流した。彼女の強くて優しいぬくもりを感じながら・・・・・。
あれ以来、エルゥと果林はまた一緒に下校していった。
「そういえば、やらなくちゃいけないこと?あれはいいの?」
「うん!もうすぐで終わりそうだし、何より、あんなことされて放っておけないでしょ?」
「う・・・・・・・、すいませんでした。」
「わかればよろしい。」
エルゥは初めて知った。こんな私にも、大切だと思ってくれる人がいたことが。
「ねぇ、エルゥ。」
「ん?」
「もう、あんなことはしないでね。今まで辛い思いをした分、これからは、もっと楽しいことがあるんだからね。」
「ありがとう、果林。」




