2話
完結まではしてるのに、明日には次話が更新できるはず!
買ってくれる者もいなくなれば、飢えるのは自然なことだった。
だから、というべきか。
わたしは木の実かキノコか草を探しに森に入っていた。
リンゴだけでは人は生きていけない。
迷いの森とよばれ、滅多に人が立ち寄ることはない。ただ、その分自然が保たれており、食べれるものも多いと教えてくれた。
おじさんが教えてくれた。
食べれるものも食べられないものがわからないわたしには目についたものを片っ端から籠にいれていった。
おじさんに会ったら聞けばいい。
歩きながら見るからに入るべきではない沼を避け、今にも動きそうに木を避け、見るからにまずそうに軍団を避け、右へ左へと奥へと進んでいく。
おじさんが見つからなくて諦めがつかないのもあるが、戻る道が分からないというのもある。
そして、みてしまった。
おじさんと若い女の子の逢い引きを。
「おじさんのくせにおさかんだね」
「え? 」
「違う、待て! 」
咄嗟に元来た道を戻ろうとが、腕を掴まれてはそうもいかない。
「おじさん、さすがに言い逃れできないよ」
「誤解だ誤解。それに何度も言うようだがおじさんはやめろ」
「そう。それでお兄さんは何してたの? 若い女の子と一緒に」
この間会ったときに言っていた名前は記憶の片隅にあるのかないのか、思い出すには至らなかった。
「………………いいか、これには理由が」
間が長かった。お兄さん呼びに不満があるのか呼んだときの顔は今まで見たことがない。
「あろうがなかろうが、ここ離れた方がいいよ。鎧きたいかにもな人がたくさんいたから。あれ多分王国軍だと思うの」
「それ、本当!? 」
女の子の綺麗な顔が近づいてきて、仰け反りながら頷いて返すと顔色を一気に変えた。
「おい、王女! 兎に角ここから離れるぞ! 」
「でも、私はまだあなたを信用したわけではっ」
「それどころじゃないだろ!? ……くそっ、ここだ、入れ! 」
足音と囁き声。統率がされてる音から先程見た王国軍のもので間違ってないと思う。
籠を両手に抱え、沼の中は泥だらけで、浸かった足が気持ち悪い。
沼地と木の根の間にできた窪みにわたしと女の子 をお兄さんが押し付けて、被さる。
籠をもつ手が震えた。
「おい、ここで音がしたぞ! 」
「辺りを捜せ! 王女もあの猟師も逃がすなよ、どちらも殺せ! 」
「ですが、これ以上奥にはいけそうもありません! 」
「あ、こら! 隊長! 馬が逃げてしまいます! 」
馬や動物か怖じ気づくのは何か感じたときだ。
昔家の近くに住んでいた話好きのお婆さんが言っていたことが確かなら、木が人の声に怒りだす。
後ろ向きのお兄さんには見えないだろう。
女の子とわたしの目に写った動き出す木を。
「ひっ!?」
「イヤだ! 殺される! 」
「おい、待て! 逃げても女王に殺されるだけだぞ! 待て! 」
木々は追いたてるように声や音のする方へと音を響かせて向かっていった。
その音が聞こえなくなるまで、わたしは音一つ立てず、動けなかった。