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センエース  作者: 閃幽零×祝百万部
第C章 公式S級配信者センエース。

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80話 女神。


 80話 女神。


 振り返る。


 そこに立っていたのは、ユウガだった。


 黒髪ロング。

 褐色の肌。

 いつもの制服姿で、血と死体にまみれたこの場所に、場違いなほど、ちょこんと立っている。


「な、なにをしている……こんなところで……」


 声が裏返る。


 ここは9階層。

 人類最強の超人たちが、命がけで挑む場所。

 女子中学生が、散歩感覚で来ていい場所じゃない。


 混乱する俺をよそに、

 ユウガは、ただ、静かに微笑んでいた。


 ――その姿が、ゆらりと、ぶれた。


 制服が、白い衣《ころも》へと変わっていく。

 背丈が伸び、顔立ちが、少女のものから、大人の女のものへと移り変わっていく。

 全身から、後光でも差していそうな、神々しい気配が溢れ出す。


 褐色の肌の、美しい女。


 ――忘れるわけがない。


 あの日、あの教室で。

 黒板に因数分解の式を書き終えて振り返った俺の前に、現れた女。

 『あの子たちには、異世界に行ってもらいました』

 それだけ言い残して、消えた女。


「……め、女神……」


 喉の奥から、声が、絞り出された。


 あの朝、突然、家にやってきた少女。

 妙に達観した雰囲気。

 俺のことを、なんでも見透かしているような目。

 『先生はいずれ、この星の王になる人ですから』

 夢の中で聞いた、『ダークリングごときじゃ、あなたの心は砕けない』という声。


 全部が、一本の線でつながっていく。


「まさか……お前が元凶ってことか……?」


「元凶という言い方はやめてほしいですね」


 女神は、ユウガとまったく同じ口調で、そう言った。


「私はむしろ、協力したつもりです。あの子たちと先生に力を与えた」


「……俺が裏面にいけたのも……お前の力?」


「力というか……そういうアリア・ギアスを設定していました」


「……あ、そう……」


 女神ユウガは、そんな俺の前で、恭《うやうや》しく、頭を下げた。


「あなたは、すべての試練を乗り越えて、このダンジョンをクリアしました。さすがです。あなたこそ、この世界のヒーロー」


「……」


「これで、あなたは、『ダンジョン魔王』の称号を得ました」


「……へぇ」


 ヒーローで、魔王。

 属性が渋滞している。


「これで、このダンジョンと……あと、この世界を、自由に作り変えることができます」


「……ダンジョン魔王だから、『ダンジョンを作り変えることができる』ってのは、なんとなく道理が通っている気がしなくもないが……『世界を作り変えることもできる』ってのは、どういうことだ?」


「ダンジョンをクリアしたことで、先生はこの世界の王になったのです。ダンジョン魔王は、世界の王ですから」


「さっぱり意味がわからん」


「理解する必要はありません」


 ぴしゃりと、言い切られる。

 このあたりの容赦のなさは、いつものユウガだった。


「先生が理解すべきことは……この先、この世界に、『レベル53万』の怪物がやってくるということです」


「……ごじゅう……さん……」


 思わず、数字を、口の中で転がす。


「えっと、それは、フリ〇ザネタのボケ?」


「いいえ。ただの事実です。名前は、異世界帝王ゾーコ。とてつもない力をもった怪物です」


 傾国部隊が177。

 アシュラが230。

 それでも、人類は、手も足も出なかった。


 その、2000倍以上。

 インフレにもほどがある。


「……仮にマジでレベル53万なんだとしたら……そんなもんに何したって勝てるわけがねぇだろ」


「勝てる方法が、一つだけあります」


「……なんだよ」



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