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センエース  作者: 閃幽零×祝百万部
第C章 公式S級配信者センエース。

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79話 毘沙門天の剣翼。


 79話 毘沙門天の剣翼。


「……まだ立つのか。すさまじい根性だ」


「うるせぇよ……」


 口の端から、血がしたたり落ちる。

 足元に、小さな血だまりができていく。


 策はない。

 武器もない。

 MPもない。

 あるのは、ズタボロの体と、

 ――ここで終わりたくない、という、ただの意地だけ。


「はぁ……はぁ……」


 俺は、アシュラを、まっすぐにらみつけた。

 そして、ありったけの覚悟を込めて、


「……ヒーロー……見参……」


 かすれた声で、そう呟いた。

 絶対に終わってやらないという誓い。

 この世界を絶対に守ってやるという意地。


 ――その瞬間。




 背中が、熱くなった。




「……っ?」


 背骨に沿って、何かが、ずるりと、這い出してくる感覚。

 肉を裂きながら、何かが……

 痛みはない。

 むしろ、ずっと昔から、そこにあったものが、ようやく目を覚ましたかのような……


 視界の端で、何かが、きらめいた。


 ――剣だった。


 何本もの剣が、俺の背中から、翼のように広がっている。

 一本一本が、刀身の奥から、静かな光を放っていた。


「な、なんだ、これ……」


 知らない。

 こんなもの、見たことも、聞いたこともない。


 ――なのに。


 わかる。


 これが何なのか。

 どう使えばいいのか。

 どこまでやれるのか。


 全部、最初から知っていたみたいに、頭の中に、すとんと落ちてくる。


「……なんでわかるのかは、わからねぇが……まあ、いいや」


 細かいことは、あとで考える。

 今は、目の前のイケメンをぶっ殺す。

 それだけでいい。


 アシュラの表情が、初めて、はっきりと変わった。


「……それは……いったい……」


 不思議そうな顔。

 教えてやるよ。

 これは……



「毘沙門天の剣翼……限界を超えて舞え」



 命じた瞬間、背中の剣が、一斉に、飛んでいく。


 空気を裂く音すら、置き去りにする速さ。

 光の軌跡が、幾重にも、幾重にも、アシュラへと殺到していく。


「ぐ……ぉおおおっ!」


 アシュラが、両腕で防御を固める。

 ミシャの異次元砲にすら耐えた、あの頑強な体。


 その腕が、斬り落とされた。


 続けて、肩。

 脇腹。

 膝。


 剣の翼は、止まらない。

 舞うように、踊るように、アシュラの全身を、切り刻んでいく。


「が……はっ……」


 アシュラの口から、大量の血があふれ出す。


 最後の一振りが、胴を、深く、斬り裂いた。


 ゆっくりと、アシュラの体が、崩れ落ちていく。

 光の粒子となって、静かに、消えていった。


 剣の翼が、役目を終えたように、背中へと戻っていく。

 熱が、すっと引いた。


 俺は、天を仰ぎ、


「……か……った……」


 声が、震える。


 あのアシュラに。

 圧倒的なレベルを誇る化け物に。

 勝った。


「これで……世界は大丈夫……なのか?」


 誰に向けたわけでもない問い。

 答えなんて、返ってくるはずがない――




「さすがです、先生」




 背後から、聞き慣れた声がした。





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