15話 アイドル配信者チームが死んだぁああ!
15話 アイドル配信者チームが死んだぁああ!
翌日の朝は、ユウガの保護者になるための手続きの残りを片付けた。
役所に呼び出され、担当者から未成年後見人選任の審判書を渡された。
書類の裏には、『養育費の使途を年に一度報告する義務がある』と、小さな文字で書かれている。
これで、俺は正式に彼女の保護者になった。
……そう考えると、重くて吐きそう。
人一人分を背負うのって、普通にしんどい……
なんで、俺がこんな目に……
書類にハンコを押しただけなのに、まるで何かに縛りつけられたような感覚がある。
娘、保護者、責任。
どれも半年前までの俺には縁のなかった言葉だ。
★
昼からダンジョンに向かった。
今日もレアがどこにポップするかを探そうとした……が、そこで、
「おいおい……」
女の子の死体を発見した。
それも3人分。
周りには数人のやじ馬がいた。
誰も彼も、スマホを構えて遠巻きに撮影しているだけで、近づこうとはしない。
「あの死体……もしかして、エンジェルスターズか」
有名なアイドル配信者チームだった。
レベルさえ上がれば、すべてのステータスが上がるので、男女関係なく、ダンジョンに挑むことができる。
彼女たちは俺と違い、才能があって、自力でレベル20に到達していた。
ビジュアルも優れているということで、ダンジョン探索協会の専属チームとなり、数十万人を超える登録者数を誇っていた。
俺も何度か配信を見たことがある。
というか、昨日も見た。
のぞき込んできたユウガが、なぜか、ムっとした顔で殴ってきたのを覚えている。
別に卑猥な映像でもなんでもないんだから、いいと思うんだが……
どうやら、保護者ってのは、年頃の女の子の前ではアイドル映像を見ることすら許されないらしい。
「……ああ、なるほど。ここでモンスターに襲われたのか……彼女たちが勝てないとなると、A級かS級あたりかな……」
地面に残った爪痕と、辺り一帯を覆う焦げた匂いで、だいたいの状況が読める。
スマホを取り出し、ニュースを確認すると、すでに、だいぶ騒がれていた。
トレンドの上位に、彼女たちのチーム名が並んでいる。
めちゃくちゃバズっている……という言い方も、あまりに不謹慎だが、実際、すさまじく広まっていた。
それを見た時、俺は思った。
相手はA級で、幸運にも水属性……
「これは……助けられるし……それを配信すれば……バズるな……」
……命をエンタメにすることに、多少の抵抗感はあったものの、
命がけで命を助けてやるんだから、文句はないはず。
俺は金がほしい。
お前らは助かる。
それでウィンウィンだ。
★
日が暮れるまでの間、俺はレアのポップ場所を探し歩くことにした。
深夜0時をすぎるまで、ダンジョン内を方々駆けまわったが、結局レインボールは見つからなかった。
……レインボールの野郎、マジで、全然ポップしないんだよな。
見つかるときは一瞬で見つかったりもするけどねぇ。
諦めて裏面に入る。
ATMに146万円をつぎ込みながら、俺は独り言をこぼした。
「タイムリープのコストがだいぶ増えたなぁ。ユウガから預かった300万があるから、まだ余裕はあるけど……マジでしっかり稼がないと、いつか、過去に飛べなくなるな……」
視界が白く染まり、俺はアイドルたちが襲われた日の朝に戻った。




