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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
冒険者編

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第80話 逃げ帰る王子

騎士団 「貴様! 王子を殺してタダで済むと思っているのか?」

 

騎士達が全員剣を抜いた。

 

リュー 「やりたくない決闘を無理やり申し込んだのはそっちなんだが? それに、王子は決闘で俺を殺すとも言っていたぞ? 黙って殺されろというのか?」

 

騎士団 「王子がお前を斬ると決めたのだから、抵抗などせず、黙って斬られれば良いのだ。それが王族に対する平民のとるべき姿勢というものだ」


リュー 「なんだそりゃ」


理不尽過ぎる話である、そんなのあるかと思うリューであったが、騎士達はそれが当然と本気で思っているようである。


騎士達がジワジワとリューを取り囲むように移動してくる。

 

そして、傍らではソフィが悲痛な声を出して泣いている。


「兄上~~~!」


リュー 「まずこっちからなんとかするか」

 

リューがハリスのほうに手を翳すと…

 

「……うう…ん? ソフィ?」

 

ソフィ 「兄上……?!」

 

…死んだはずのハリスが目を開けた。

 

いつのまにか、ハリスの胸の傷は塞ががり、斬られた両腕も元通りくっついている。

 

騎士A 「これは……治癒魔法か?!」

 

騎士B 「だが致命傷や欠損を治す治癒魔法など、教皇クラスでなければ使えないはずだが……」

 

騎士C 「もしや……王子が斬られたように見えたのは幻覚?」

 

幻覚などではない、リューが使った治癒魔法は通常の治癒魔法とは違う。時空魔法によって時間を逆行させ状態を巻き戻しているのだ。致命傷だろうが欠損であろうが、その傷を受ける前の状態に戻すことができるのである。もちろん、本当に死んでしまったら生き返らせる事はできないのだが、死んだ直後で幽体が肉体の中にまだある状態であれば戻せる事が分かってきていた。

 

だが、そんな事ができると言う話を聞いた事もない者からすれば、幻覚を見せられたのではないかと勘違いしてしまうのは仕方がないことであった。

 

ハリス 「幻覚だと……? そういえばアイガ達もそんなような事を言っていたな……」

 

ハリス(リューを睨みつける) 「きぃさぁまぁ……卑怯な手を使ったようだな、よくもソフィの前で恥を掻かせてくれたな! だが、ネタが分かればまやかしなど二度とはかからん。覚悟するがいい」

 

リュー 「幻覚(まやかし)ではないんだが……まぁ別にいいけど。もう一度体験したいというのなら、一度と言わず、何度でも体験させてやる」

 

リューが剣を向けたその先はハリスの胸。

 

王子の胸の傷は何もなかったように綺麗になくなっているが、鎧と服にはリューの剣に貫かれた穴がそのまま残っているのだ。

 

その穴を見た時、ハリスの脳裏に先程剣で心臓を貫かれた時の感触が蘇ってくる。肋骨を断ち切り、そのまま心臓を貫き、背面の肋骨をも断ちながら背中側に突き抜けた(やいば)

 

実は、剣が突き抜ける瞬間、リューはハリスにも加速の魔法をかけていた。ただし、物理的な肉体の速度は変えず、脳だけに加速を掛けたのである。

 

加速(アクセル)】は、加速している側からみると、周囲の時間の流れ方がゆっくりになったように感じる。つまり、刃が体を突き抜けていく感覚を、通常よりゆっくりと感じる事になるのだ。

 

ハリスにしてみれば、押し付けられた剣によって、ゆっくりと体を刺し貫かれていくような感覚であったはず。腕を斬った時点で勝負がついていたはずなのに、あえて胸を刺したのはそのためであったのだ。

 

「は……ぐ!」

 

その痛みがフラッシュバックし、思わず胸を押さえて後退るハリス。

 

「ひっ!」

 

再び剣を構え、殺気を放ったリューを見てハリスは思わず間抜けな声を上げてしまった。

 

ハリスはリューから離れるように、一歩・二歩と後退ると、ついには 「もういい!」と叫んで逃げ出してしまったのだった。

 

「お、王子?! 待ってください、王子~~~」

 

馬に飛び乗って逃げ出す王子を、騎士達が慌てて追いかけていった……

 

 

   *   *   *   *

 

 

王子は、初めて自分が殺されるかもしれないと実感し、恐怖を感じたのだった。(実際に一度殺されているのであるが。)

 

それは、頭で感じるものではない、肉体が感じる本能的な恐怖であり、思わず逃げ出してしまったのだ。

 

だが、しばらく走っている内に頭が冷えてきてソフィを置いて逃げ出してしまった事を思い出した。

 

だが、今更戻ることもできない。戻ってリューと再び対峙することを想像すると足が竦む、肉体が怯えている。

 

だが、ソフィの前で逃げ出すという失態を演じてしまった事は、ハリスにとっては許せない屈辱であった。

 

騎士(アイガ)達が自分達では敵わないと言った意味も今なら理解(わか)る。おそらく自分の騎士団をけしかけたところで、返り討ちに遭うだけだろう。

 

だが、王族に対してこのような無礼な事をして、許せるわけがない……

 

そうだ、自分は王子、王族だぞ?

 

生意気な奴は、王族の権力(ちから)を使って奴を懲らしめてやればいい。そもそも、王族は、自ら剣を振るう必要などないのだ。

 

自分の権力でリューをどうやって懲らしめてやるか、その方法を考えながらハリスは屋敷へと帰っていった。

 

 


次回予告

 

リューに指名依頼?

 

乞うご期待!

 

 


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