表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Tender Liar  作者: 時雨
第4章
55/66

第4章

「…はめてみ、それ」

「うん」


融に促され、私は今し方受け取った婚約指輪をはめてみる。

融はもちろん、誰かに指輪を貰うなんて、初めてだった。

にも拘らず、彼のくれたリングは、私の指にぴったりとはまった。

私は思わず、感嘆の声を上げる。


「すごい、ぴったりだ」

「そらそうやろ。毎日ユズのこと見てんねんから」

「でも、指のサイズなんて、普通は分かんないよ」

「俺には分かんねん。この細さやったらこのサイズかな、って感じで」

「えー?何、そのプレイボーイ的な発言は」

「俺だって、モテ期くらいあったわ。つーか、そんなん言うんやったら、リング没収やからな」


そう言いながら、融は微笑んだ。

リング没収なんて、そんなの冗談だって分かってるけど。


それにしても、融本人も言っていたように、彼は本当によくモテる。

そのことが逆に、私を不安にさせる。

もちろん、彼に信用がないというのではない。

むしろ私は、彼のことを全面的に信頼している。

けれどやっぱり心のどこかでは、彼を疑わしく思っている自分がいる。

でもそれがなぜなのか、その理由は明確だった。

それは――彼がまだ、十三年前の私に別れを告げた理由を、教えてくれていないから。

だから私は、彼をまだ完全には信じきれないのだ。


「ユズ、大丈夫か?何や、ぼーっとしてるけど」

「あ…うん、大丈夫。ごめん」

「そうか?そんなら、まあエエけど。もうすぐ着くで」


私は彼の言葉に頷き、シートベルトを締める。

それから間もなく飛行機は着陸し、私と融は二年ぶりに日本に帰ってきた。

私は「ただいま」と大声で叫びたいのを我慢して、融を見上げる。

彼もやはり日本が懐かしいのか、心なしか嬉しそうに見えた。


――融っ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ