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後ろむきなる誠実
後ろ向きというか
動くことに理由を無くして動けない
求められることには応える
人ではなく道具としての
僕が選んだ在り方
人の期待や願いは言葉や態度に溢れている
無意識で願いを叶えて欲しいと
願いを叶えてくれるよね?と
訴えが痛い程理解する
僕はそれを叶えるだけ
読み取られ慣れれば皮肉なことに
それが当然になる
何も言わずとも理解されると
無意識の優越、上位者の振る舞いに
苦笑いしか出ないけれど
楽さや快適が普通になると
人は不便だった頃を忘れてしまう
求め応えてくれることを知れば
伝える大切さをも簡単に忘れる
優越とは必ず上下関係の中に在る
比較対象やピラミッドの中にしか存在しない
それを知るのは誰なのか?
安定した完成に至る時間は長い
誰かの白を自身の色に染めこんで
揺るがない同色の世界が完成する
染まりたくないと願う側の諦めが
無気力に変わる瞬間
その色は広大な一面の色になる
残ったプライドは大地の下で鮮やかに
別の色が開放される
閉開のコントロールが出来る世界で
観察し状況を判断しながら
ささやかな自由を謳歌する
これが秘訣なのだろうと
改めてそう思う
侵されない狭い聖域を持つことで
僕は後ろ向きの中で
誰かのリクエストに応えられる
不誠実でとても誠実な道具であることが出来る
皮肉な歪んだ在り方




