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満ちぬ場所
枯れた大地に雨が降る
大地は存分に雨を吸い込む
けれど大地のひび割れは消えない
どんなに吸い込んでも
素通りして消えていく
深い亀裂の入った大地は
満ちることを知らず
満ちていた過去を思いだせずに
ただ何かを通過させる
花芽吹くことなく
生き物も逃げ出し
大地だけがそこに存在している
種を植える人は消える命に
諦め去っていく
大地はただ何も求めず
亀裂ばかりが深まる
大地は願う
この大地がアスファルトに満たされ
誰かの好奇心を誘わずにいることを
大地の姿を忘れてくれることを
亀裂は傷そのもの
自身と誰かのものと混ざりあって
なお深まっていく
癒えない傷ならば
いっそなかったかのように
誰の瞳に触れないように
沈黙を望んでる
優しい恵みの雨がふる
雨は亀裂を伝い
亀裂は更なる大地深くに拡がり続ける




