少女、転生。9
「それは魔力を計る機械なのじゃよ」
「……父上、それは本来5歳の誕生日に行うものですよ?」
「なぁに、心配は要らんよ。5歳未満に使用してはならないと決まっているわけでもなし」
「それはそうですが…」
「あなた、心配しなくて良いわ。アリスは頭がいいもの。1歳であっても、ちゃんと使い方を理解してくれるわよ」
「母親の言うとおりよ、マルティン」
ーーーつまり。
これは、魔力を計る機械で、本来は5歳で使うもので。
でも、私なら1歳で与えても壊さないだろうってことで、今日の誕生日に贈られたってわけですか。
「母上っ…ですが、万が一にでもアリスが怪我したら……!」
「子供を信じなさい、それも父親の仕事じゃぞ」
「マルティンは心配しすぎよ。大体、この機械で子供が怪我をしたなんて、聞いたことがないわ」
「その第一人者にアリスがなったらどうする!」
「だいたい、1歳で、っていうのも前例がないけれど。…マルティン、私たちが付いているのに、かわいい孫に怪我を許すとでも?」
「あー、もう…分かりましたよ!
……もしアリスに何かあったら一生怨みますから!」
…さすがに、美形4名の口喧嘩は迫力ありますねー。なんたって、4人とも歳不明の、ものすっごい美形だし。
……いやー、目の保養ですわ〜。
…現実逃避中。
ーーだって、考えても見て下さい!
この4人は王族で、なおかつ超美人というありえないハイスペックで、それらが喧嘩している原因が自分なんですよ?
…お父様が多少過保護すぎる気がしないでもないですけど。
しかも、言ってる内容が、私が怪我すること前提って!!
矛盾しすぎでしょう、言葉と行動が!
「……あーぅ」
【いい加減にして下さいよ、皆さん。
獣族さん達がすっごく困ってますから!】
「アリス…」
「あら、ごめんなさいねアリス。つい私たち熱くなっちゃって」
私の声でようやく喧嘩(論争?)が終了した。
・ ・ ・
ーー結局。
3対1で、私は今日この機械を使うことになりました。
私がしたいっていったら、渋々ながらお父様も納得してくれたしね。
……あれ?最初っからこうすれば良かったんじゃ…?
ーーーってか、そんなことより!
いつになったら私はこの機械を使えるんですかー!!