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追放された2メートル令嬢 ~魔法少年と新天地で最強領主目指します~  作者: 川合 佑樹


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第42話

 そんなある日。

 物見台に上っていたジャルスンが、周囲に緊急を知らせた。


「遠くから馬車が向かってきている! 数は四台だ! それを囲うように馬に騎乗した者がいるぞ!」


 畑を見ていたプリメイシアは、手を上げて指示を飛ばした。

「日の村の者はテントに入り、隠れていてくれ! 何があっても魔法だけは使うな! バスチールとマルークは俺と一緒に来い!」


 彼女はテントへと戻った。

 バスチールとマルークの手を借りて、兜以外の金属鎧を身に着ける。


「マルークはここにいろ。呼ぶまで絶対に出てくるな」

「分かりました」


 マルークが緊張した面持ちで頷くのを確認し、プリメイシアは槍を手に取った。

 腰には長剣を差す。


 バスチールも皮鎧だけを身に着け、左右の腰に短剣を一本ずつ、背中に弓と矢筒を背負った。

 二人は村の端、入口にあたる土壁へと向かった。


 いつの間にか作られていた木製の門が、据えられている。

 プリメイシアが門を押し開け、外へと踏み出した。


 バスチールが後に続き、門を静かに閉める。

 遠く、砂埃を上げながら四台の馬車と、それを護るように騎乗した影が、近づいてくるのが見えた。


 プリメイシアは槍を地面に突き立て、その一行を睨んだ。

「さて……何者だ?」


 馬車が近づいてくるにつれ、先頭の馬車に座る人物の姿をはっきり捉えた。

 プリッツォだ。


 先導していた騎士二人が左右に馬を引き分かれ、道を譲る。

 やがて一行はプリメイシアから二十メートルほど離れた位置で停止した。


 後続の馬車と騎士たちも、連動するように動きを止める。

 プリッツォが馬車から飛び降り、こちらに向かって全力で駆け寄ってきた。


「プリメイシアさあああん! 急な来訪、申し訳ありませえええん!」

 息を切らしながら目の前までやってきたプリッツォに、プリメイシアは状況を尋ねた。


「どうした。ずいぶん大所帯だな。騎士までいるみたいだが」

「それがですねぇ……ちょっと面倒なことになりまして」


 プリッツォが言いかけたそのとき、彼女の馬車を避けるように横から一台の馬車が現れた。

 豪華絢爛という言葉がぴったりなほど、黄金の装飾が随所に施され、車体の側面にはデカデカと虎の紋章が鮮やかに描かれている。


 プリメイシアの目が細くなった。

「おいおいおいおい……嘘だろぉ」


 隣にいたバスチールも一瞬、表情を凍らせた。

「プリメイシア……あれって、あれよね?」


「あぁ……あれだ」

 馬車が正面で横を向き、プリメイシアたちの目の前で停止した。


 騎士の一人が扉を開けると、中から一人の少女がその手を取って降りてきた。

 金髪を両サイドでふんわりと巻いたツインテール。


 身長はマルークより頭一つ小さく、顔立ちは幼いが、年齢はプリメイシアと同じ。

 幼馴染みの少女だった。


「おーほほほほほほほ! プリメイシアちゃーん! パルフェルーチェが遊びに来ましたわよー!」


 その高笑いと一緒に、嫌な予感がどっと押し寄せてきた。

 どう考えても、ただの「遊び」では済まなさそうだった。


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