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転生召喚『黒龍』記  作者: 緑楊 彰浩
第三章 アイルの依頼
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アイルの依頼1






 馬車に揺られて城に辿り着いたエリス達は、城に使えているメイドの案内で階段を上り国王の元へと向かった。

 謁見の間の前に着くと立ち止まったメイドが軽く扉を4回ノックした。すると、中から男性の声が聞こえてきた。男性は入室を促すと、メイドが扉を開いた。

「どうぞ」

 頭を下げて先頭にいたエリスに告げると、エリスは軽く頭を下げて謁見の間へと入って行く。最後に龍が謁見の間へと入ったことを確認すると、「それでは、失礼します」と言ってメイドは扉を閉めて部屋の前から立ち去って行った。

 謁見の間の奥には、ディナーテーブルと椅子。本来は置いていないであろう物がそこにはあった。そして、扉を正面にしてこちらを見て座る1人の男性がそこにはいた。その男性は口元に笑みを浮かべている。

「手紙に書かれていた人数より増えているが、まあいいか」

 そう言うと、男性は椅子に手を向けて、何も言わず座ることを促す。座るま男性は何も言うことはないだろう。

 それぞれ適当に椅子に座るが、人数分しか椅子は用意されていなかったようで一脚足りない。サーチャが増えたのだから仕方がない。

 扉を背にして座ったのはエリス。男性の正面に進んで座ったのだが、距離があるので気にはならなのだろう。それぞれ左右に三脚置かれた椅子。男性の左側に座った龍の右隣にサーチャ。その隣に黒麒。

 男性の右側、龍の正面にツェルンアイ。サーチャの正面にリシャーナ。黒麒の正面に白美。元々ユキには椅子が用意されていなかったため、ユキはエリスの側に大人しく座っている。

 そして白龍は、龍の膝の上に大人しく座っていた。手紙の相手は男性だろうことが先ほどの言葉からわかる。

 龍と白龍というより、『黒龍』と『白龍』に会いたがっているのだ。もしかすると、攻撃されないとも言えないのだ。だから、白龍とは離れないほうがいい。

「さて、全員座ったね。椅子、用意するかい?」

「いいや、構わない。貴方の用件は?」

 相手の考えがわからないため、龍は白龍と離れるつもりはなかった。だから、早く用件を聞こうと尋ねたのだ。本来はエリスに任せればよいのだろうが、エリスが何も言わないのだから龍が尋ねても構わないのだろう。

「用件……。まずは、自己紹介とでもいこうか。私はアイル。アイル・セルシス。この国、アクアセルシス王国の国王。君達は誰かわかるよ。久しぶりだね」

「久しぶり? 私達は貴方と初めて会うんだけれど」

 アイルの言葉を聞いて疑問に思た言葉を口にしたエリスに、アイルは「一方的に空から見ていただけだから、久しぶじゃないのか」と笑みを浮かべて答えた。

 一方的に見ていたのなら、合ったことないのと同じ。エリス達が知らないのは当然だ。しかし、龍はアイルの言葉に首を傾げた。

「空から見ていた?」

 普通の人間には空から見ることはできない。魔法を使い、空を飛べば可能ではあるがアイルは見た目はただの人間だ。

 しかし、普通の人間とは違うものがある。それは――。

「気配、龍と似てる」

 大人しく龍の膝の上に座っていた白龍が首を傾げて呟いた。それは龍も感じていたものだった。『龍』であるはずの、白龍と似ている気配がするのだ。

 それから導かれるものは、アイルは国王という立場ではあるが人間ではないということだ。そこから龍は、思い当たる存在を思い出していた。

「もしかして、アイルは『水龍』?」

「ご明察! 用件を話す前に、少し私が国王になった経緯について話しても構わないかい?」

「必要なことであれば構わないわ」

「必要かな。私が『水龍』として君達を見たのは、白龍の歌に惹かれてだけど。……まあ、それも含めて話しましょう」

 アイルがそう言ったと同時に、扉をノックする音が部屋に響いた。返事を待たずに扉が開かれ、そこにいたのは先ほどのメイドだった。

 キッチンカートを押して入室するメイドは、事前にアイルに頼まれていたのかもしれない。一番上の段には飲み物が乗っており、二段目にはクッキーの乗った皿が3つ。

 それぞれを音をたてずに置いて行く。クッキーの乗った皿は、全員から手が届くようにと均等にディナーテーブルに置いた。

「それでは、失礼します」

 頭を下げてそう言うと、メイドは静かに部屋から出て行った。

 メイドが置いたコーヒーを飲みながら、アイルはメイドの足音が遠ざかるのを待っているようだった。もしかすると、正体が『水龍』だということを誰にも知られていないのかもしれない。

 アイルが話すのを待つ間、エリス達はアイルが無言で手で指した飲み物を飲んだり、クッキーを食べたりしていた。

 メイドが部屋から出て2分。漸くアイルは口を開いた。

「すまないね。私が『水龍』だと知っている者は数少なくてね。知らない者には知られたくはないんでね」

 そう言って笑うアイルだが、誰にも『水龍』であると知られていないわけではなかったようだ。知っているのは誰かはわからないが、知っていながら国王の座にいることを許されているようだ。

「さて、それじゃあ話しますか。私が『水龍』でありながら国王である理由を」

 クッキーを一つ口に放り込み、味わってから呑み込むと、ディナーテーブルに両肘を付き手を組んだ。

 アイルが国王となる切っ掛けの出来事が起こったのは、今から14年前のことだった。











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