判明
6話目です。
《元凶》が判明します。
では、どうぞ。
賀張ゆきはハズレだった。
確かに賀張ゆきが《元凶》だという証拠はなかった。
だが賀張家に踏み込んだとき、明らかな狂気を感じたのだ。
彼女は完全に狂っていた。
それは《元凶》だからではなく、《怪奇現象》の被害を受けたにすぎなかったというのか?
それにしてもおかしい。
彼女の過去は完全に《言霊》として表せるものだった。
どこからでも見られ、聞かれる恐怖。
すなわち、
「……《壁に耳あり障子に目あり》、ハズレだったみたいね」
憎々しげに呻く彼女は、遼の方を振り返る。
「遼……行くわよ」
「行くって……どこに?」
不思議そうな彼の手を取り、走りながら叫んだ。
「この街で一番高い場所!!そこから見れば、どこに《元凶》がいるかわかるはずよ!!」
街のはずれにある高台。
芝生の上を踏みしめながら、その頂上を目指す。
「……ちなみに、ここには何故芝生が?まさか自然に生えたわけじゃないでしょう?」
沈黙を壊すように、香純が言う。
遼はその瞳を少し伏せ、言った。
「……墓地だよ。夕姫の墓も、ここにある」
香純は息を詰まらせる。
柳沼夕姫。
遼の彼女で、人間不信で、《疑心暗鬼》という《怪奇現象》で亡くなってしまった哀れな少女。
迷った挙げ句、香純は「そう」とだけ言って黙りこんだ。
頂上の辺りには、確かに墓地が広がっていた。
「《千里眼》」
香純は呟くと、目を見開いた。
街のあちこちで、《怪奇現象》が発生していた。
彼女は小さく舌打ちする。
そして思い出す。
―――洋輔…貴方だったらどうするべきかわかるの?
私はまだ未熟だから…わからない。
《元凶》はどこなの?
それさえわかればこんな現象、すぐに止めてやれるのに。
「……え…?」
突然、遼が声を上げる。
不思議に思って振り返ると、そこには遼と、もう一人の少女がいた。
その少女は、艶やかな黒い髪と同じく黒いセーラー服を風に靡かせながら、1つの墓石の上に腰かけていた。
その墓石には、『柳沼家之墓』と記されている。
ということは、
「夕姫……」
『久しぶり、遼』
死んだはずの柳沼夕姫が、再び現れた。
「どういうこと……?」
『貴方は誰?まさか遼の新しい彼女?』
夕姫がどこか冷たさを感じさせる笑みを浮かべる。
「違うわ。私は妹尾香純……《怪奇現象》を収める《言霊使い》よ」
『《怪奇現象》……ああ、《疑心暗鬼》みたいな奴ね。でも今回は難しいんじゃないかな?だって……ほら』
夕姫は香純の後ろを指さす。
ゆっくりとその方向を見ると、
「……!!」
大きな眼球が、大量に発生していた。
いや、発生しながらこちらに迫ってきていた。
まるで、何かに吸い寄せられるように。
『何でこんなことになってるのか……って言いたそうな顔だね。でも、簡単な話でしょ?』
《言霊使い》と一緒にいると、《怪奇現象》に巻き込まれる可能性が高まる。
《怪奇現象》は《元凶》の近辺で活性化する。
「まさ、か……」
『信じられない?でもこれが真実だよ。ちゃんとヒントはあったはずだけど……』
そうだった。
気づくべきだったのだ。
遼の過去について聞いたときに。
彼はこう言っていたではないか。
『いつも夕姫が見てるような気がするんだ』
「《元凶》は……浅野目遼、貴方なの?」
遼が目を見開く。
「な、何で僕が……?」
『怖かったんでしょ?私に見られてるような気がして……人の生死を左右してしまいそうで』
「……!!」
遼がうずくまる。
力なく首を振っている。
「そんな……僕は……」
夕姫は楽しげに笑う。
まるで、遼の苦しむ姿を堪能するかのように。
『妹尾さん』
いきなり名前を呼ばれ、香純の顔が強張る。
「……何かしら」
『貴方、《元凶》を殺しに来たんでしょ?』
やめろ。
やめろ。
それ以上は言うな。
しかしそんな願いも虚しく、夕姫の微笑を湛えた唇は開かれる。
『殺しなさいよ、遼を』
いかがでしたか?
ヤンデレ夕姫ちゃん個人的にかなり好きです←
では、次回…最終回でお会いしましょう!!




