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不屈勇者  作者: 椎名 鍵
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第9話「鍛練」

 「そう言えばまだお前達の武器を決めてなかったな。」


 俺は不意に思い出してそう呟き、一旦クロバを止めた。流石に俺はコイツら(エアノとライノ)を守りながら戦うのは厳しいと言うか多分、今の俺じぁあ無理だし、少し酷だがしょうがない。そう言い聞かせてメリソス村から頂いた武器達を乱雑に地面に置いた。


 そしたらライノが興味津々で近くに合った武器を手に取り、「どう?カッコいい?」と武器を構え、ポーズを決めてエアノに聞いた。


 「う~ん。あんまし似合ってないと思うよ」


 エアノは興味がないのか適振り向きもせずに適当に返事を返した。それから、慎重に武器を漁り始めた。


 そのコメントに俺はちょっぴり可愛そうだと思い慰めようと声を掛けた瞬間。


 「そっか。ならいいや」


 全く気にしていない様子で持っていた武器を捨てて再び武器を漁り出した。


 心配して損したが、これが二人にとってのいつものやり取りなのかな。と不安に感じたがそれが少しだけ解消されたような気がした。


 「なら、こんな武器はどうだ?」


 俺はライノの方に近付き一応、慰めるつもりでライノに弓を薦めてみる。すると、弓の弦を引っ張ってもう一度ポーズを取り、今度は俺に聞いてきた。


 「どう?どう?カッコいい?」


 正直に言うと直ぐ側に偶々合ったやつを薦めただけなので何の感情も無いが取り敢えず誉めた。


 「あ、あ~ん。まぁカッコいいと思うぞ」


 「ホントに!?」


 ライノのエメラルド色の瞳がまるで宝石みたく眩しく輝きだし、それが俺の良心にグサリと刺さり、思わず視線を反らしてコクりと頷いた。


 「やった!やった!それじぁ、ライノは決めた!(これ)にする!」


 何度も何度も飛びはねた典型的な喜び方をしながらそう言った。まぁ、本人が喜んでいるなら良いか。と思いつつ次はエアノの所に近付き話しかけた。


 「それでエアノは決まったのか?」


 何となく問いかけると武器決めに熱心に集中し、選んでいるのか顔を此方に向けず、そのまま顔を左右に振って答えた。


 俺はライノの時と同じように近くに合った武器を薦めた。それにエアノは俯いた顔を上げながら俺の方に視線を合わせ、不思議そうに聞いてくる。


 「どうして?」


 やっぱり、ライノみたく単純じぁないか。まぁ、その場しのぎで雑に言ってみようかな。


 「み、身の丈に合ってるからかな。それにこ、こんなに軽いし」


 下手なテレビショッピングの紹介みたいなことを言いながらもエアノに短剣を渡した。したらば、ある程度の距離を空けてから短剣を振り回し初め軽いかどうかを確かめた。


 「確かに軽いね」


 納得した表情でそう呟き。事後、迷いなく即決で相当する鞘に短剣を納め、満足げに「ありがとうございますね」と頭を下ざてライノの所へ向かって行った。暫くしてから二人を集め、気合いの入った声で俺は口を開いた。


 「よし。二人の武器が決まったことだし次は鍛練をするぞ!」


 どんなに強い武器でも馴れないと意味がないからな。と言っても俺自身余り強くないから強くなる方法なんて分からないが、こう言う時こそマンガの出番なんだよな。


 「(そんなやったこともない鍛練方法で本当に強くなるんですか?)」


 リエルが怪しげな視線を向けてきながらテレパシーで伝えると、何故か俺は自信ありげに「大丈夫だって」と親指を立てて答える。その後にライノを呼んだ。


 「先ずはライノからだ」


 そう言いって近くにあった大きな木々たちが数本立っている所へと連れ出し、それから俺は筒に入った墨を木の真ん中辺りに丸く塗った。


 「ライノにはこの木の黒い点の場所を矢で射ぬく鍛練をしてもらう。いわゆる精密射撃の特訓でライノには兎に角、誤射や正確に当ててもらう力を身に付けて欲しいからな。」


 先程、黒く塗った所に指を指しながら説明し終わり、ライノが理解したのかどうか確かめるために一旦、顔を向けた。


 「うん。分かった!頑張ってみるね!」


 俺が心配する必要もなく。元気良く返事を返して来たので安心して矢を数本渡し、それと念のためにリエルを置いてからエアノの所に戻った。


 「次はエアノだが、エアノには“その武器”を使って俺と模擬戦をしてもらうぞ。正直、今のところお前の実力は未知数だからな。」


 そう言ってエアノに俺特性の木で作った短い剣。略して短木剣をエアノに渡した。流石に貰った武器達の中には木剣がなかったので仕方なく自分で作ったのだが少々歪な形をしている。まぁ、余り支障はないと思う……多分!!


 すると、エアノは無言のまま静かに武器を構え始めた。俺も木剣を構えた。因みにだが、この木剣はハクバ村での眼帯男との騎乗ペガサス戦の時にパクった……元い貰ったものである。最初はエアノに木剣(コレ)を持たせようと思ったが、全然身の丈に合ってなく、それに思ったよりかは重たく、これじぁあ上手く扱えないと感じたからあえて自分で装備したのだ。


 そうこう独り言を呟いて居る間にエアノは先手必勝と言わんばかりの勢いで切りかかって来た。俺はその攻撃を余裕で交わせたがわざと木剣で防いだ。

 

 以外に力は有るんだな。こりゃ子供だからと舐めてたら痛い目見るな。少し腕に力を入れて短木剣を弾き、エアノを仰け反らせた。


 「次は此方の番だ」


 俺は声を発し、怪我をしない程度に殺傷力を極限までに殺した“黒槍の棘(ブラットニードル)„をエアノに向かって数発放った。


 エアノは持ち前の小柄さを上手く利用してすらすらと棘を交わした。


 「ちょっぴり甘くみてたか?」と動揺した声で呟き、今度はもう少し棘の増やして放った。


 それでもエアノは余裕そうな表情ですらすらと交わしていたが埒が明かないのか近くに合った岩陰に身を隠した。然してひょこりと顔を見せたと思ったら隙を見てキセキで応戦し始めた。


 “風のキセキ 螺旋風„


 螺旋の如き風が全力で向かってくるので俺は避けずに木剣を振り下ろすと、風が真っ二つに切れずに木剣だけが遠くに飛ばされて行った。


 ヤベェー、余裕をこきすぎた。予想もしなかった事態に焦ってしまい直ぐに木剣を拾い上げようとしたが、そんな事など関係なしに容赦なく第二発目の螺旋風が俺を襲おうとした。流石に今度は木剣を持っていないので防ぐことも出来なく、諦めて冷静にスッと避けた。


 まさか此処までやられるとわな。驚きながらも即座に木剣を拾い上げ、体勢を整えた。


 それと辺りを警戒しながら俺はゆっくりと岩陰に近付き恐る恐る覗く。すると、そこにはエアノの姿がなく。多分、他の場所に移動したのだろう。


 「奇襲するってことか。受けて立とう」


 そう言い目を閉じ精神を集中さしてエアノの氣を感じ取ろうとした。刹那、タッタッタと小刻みに地を蹴る音が急に聞こえた。


 俺は一瞬でエアノだと悟り。振り向き様に木剣を防ぐように横に構えようとした。しかし、音が聞こえた方向にいざ振り向くと、そこにはエアノに似た姿をした緑色の風が武器を持たずに襲いかかろうとした。それに俺は驚き、つい勢い良く切ってしまった。が、感触はまるで虚無を切ってるかのようだった。


 その戸惑った所の隙を突いて手前ぐらいに合った茂みから飛び出して来ながら短木剣を両手で確りと掴んで思一気し振った。


 俺は又もや木剣で攻撃を防ごうとした途端、その行動を読んでいたのか手首を180度素早く捻り、無防備な俺の横腹辺りを狙ってきた。


 フェイントとはやるな。と関心していたが、このままでは調子こいていたのに負けてしまう。何とかしなくちゃ。俺の変なプライドが脳裏で働き急いで後ろに下がろうとした。


 “バギッ”


 俺が避け始めた瞬間、突然何かが折れた音が耳に入った。それに悟った表情で下を見ると、エアノの短木剣が二つに折れていた。一つは地面に、もう一つはエアノが両手で持っていた。


 「あ……やっぱり折れたか」


 申し訳なさそうに地面に落ちていた方の部分を拾い上げ、慰めるつもりで声を掛けた。


 「まぁ、切りの良いところだし。今日はここら辺で終わっとくか」


 エアノが持っていたもう片方の短木剣を回収し、次はもっと折れにくくしないとな。これ(折れた短木剣)よりも最も良い物をだな。職人魂的なことを口走りながらライノ達の様子でも見に行こうと思いエアノを誘った。


 「ライノ達の所を今から様子を見てくるけエアノも来るか?」


 すると、顔を小さく左右に振り、クロバの方へと去って行った。


 そして、歩いて数十歩ぐらいでリエルが俺の方に近付いてきたので声を掛けようとしたらば慌てふためいた声を発し、俺の腕を引っ張り出した。


 「不動様、此方に来て下さい!!」


 俺は困った顔で引っ張れながらも問いかけた。もしかしたらライノに何か遭ったのかもしれないからな。


 すると、いつもの冷静なリエルらしくもなく俺の問い掛けをはぶらかした。


 そうして、ライノの居る所へと着くなり、リエルが「アレを見て下さい」と俺の腕を掴んでいた手を離して指を指した。困惑しながらも目を細めて見て見ると驚くべき光景が見えた。


 「リエル、アレはマジもんなのか?」


 そこには木の的の黒く塗った部分に複数の矢が刺さっていたのが見えた。しかも見てる限り黒い部分以外は刺さったような傷が余りなく、精々数本程度だろう。等と変な考察をしていると俺達の存在に気付いたのかライノが弓を持ったまま此方へと元気良け走ってきた。


 「カイトくん、どうしたの?」


 ライノが聞いてきたが思わず質問を無視して質問をした。


 「なぁ、ライノ一つ質問しても良いか?全部で何本射ってその内何本があの黒い的に当たったんだ?」


 ライノは自分の手で計算し始めたが、どんどんと面倒臭くなり結果「う~ん、数えてないから分からないや!」と言う結論になった。


 「でも兎に角いっーーぱい当てたよ。それよりも沢山集中したからお腹空いたよ~~カイトくん何か作って」


 子供らしい無邪気な回答に思わず気が抜けて、俺もお腹が空いた。


 「よし!それじぁ飯にするか!」


 気を取り直してクロバ達の居る所へと戻り、ご飯を食ったのだった。そう言う日々が何日か続き。ようやく次の村の景色が少しずつ見え始めた。


 東ノ国 第3の村~コリンロ村~


 さて、此処を早く調査して今回はゆっくりと宿で一休みしたいところだな。みたいなことを考えながら村に入ろうとした瞬間、「待ってください!!」と慌ただしい声が聞こえたので足を止めると、明らかに身の丈に合ってないブカブカな服を着た幼き少女が必死な声で注意を促した。


 「この村は危険だから入らないで!」


 「大丈夫だよ。俺達が必ず救ってやるから安心しな」


 その少女の頭を優しく撫で下ろしてから村に入って行った。


 「あ、ちょっと待って……」


 少女が再度、止めようとしたがその声は既に不動達の耳には届いていなかった。


 村に入るとそこは俺達の見た穏やかな景色とは真逆の異質な光景が広がっていた。それに俺は驚くよりも不自然に立っていた大樹に目を奪われる。


 「な、何だ“アレ”は?」


 思わず声に出して言うと、先まで村の出口に居た少女が幼き声で口悪く呟いた。


 「ハァー、人が折角入るなと注意したのに何で入るかな?わざわざ、ブカブカな服を着て信憑性を高めたのによ。全く」


 ブツブツと言っていた。やがて面倒臭くなったのか同じようにハァーとため息を吐き、俺達に話し掛けた。


 「入ったからには仕様がねーよな。着いて来いよ」


 話の進展に飲み込めなく少女に質問をしてみたら、子供らしからぬ無言の威圧感にやられしまい大人しく後を着いて行くことにした。


 コリンロ村~民家~


 民家に入ると突然、子供が急にブカブカな服を俺達の居る前で何の恥じらいもなく脱ぎ始めた。


 「ちょ、せめて脱ぐなら一言いってから脱いでくれよ!いくら子供でも一応は女性たがらな!」


 何故か俺が恥ずかしがって後ろを振り向きながらそう注意すると、少女は無知なのか理解してない表情で返事を返した。


 「は?別に子供の裸くらい良いだろう?」


 言っている合間に服を着替え終わり俺が振り向くと、何事も無かったかの様に椅子に座り口を開いた。


 「で、お前は私に何を聞きたいんだ?」


 その問いに答えようとしたが深呼吸し心を落ち着かせてから話した。


 「どうしてこの村には大人が一人も居ないんだ?」


 俺は気になったことを問い質す。実は来る途中に辺りを見渡したが誰一人として大人が居なかったからだ。少女は多少の苛立ちが混じった声で答えた。


 「居ないんじぁなくて、居なく“なってしまった”んだよ。全く」


 「どう言うことだ?」


 その質問に対しもっと詳しく聞こうと思い追求したら、少女の怒りに触れたらしくキレ気味に声を発した。


 「それを今から説明すんだよ!!」


 そう言ってから気持ちを静ませるためにゴホンっと軽く咳払いをして話し出した。


 「……1ヶ月前の事だ。この村に旅人が訪れたんだよ。緑色のローブに身を包んだ男がな。そいつはいきなり、こう言い出したんだよ。『よし決めたぞ!今からこの村は幼き子供達が沢山溢れる理想郷にするぞ!フハハハ』てな。今思い出すだけでもマジ吐きそうだぜ」


 不機嫌に語った後にウエェーーと気持ち悪そうになっていた。


 「それであの大樹が出来たのか?」


 俺はちょっと心配になって様子を見ながら話を進めた。少女は気を取り直して、張りのある声で返事した。


 「あぁ、そうだ。あの大樹は変質者の扱うキセキによって作られたんだよ。しかも特別な粒子をばらまくんだ。大人達を幼児化させる粒子をな」


 「だから大人達が一人も居なかったのか」


 納得して呟くと、少女は不吉な言葉を口にした。


 「そう言うことだよ。そして、そろそろお前も私と同じくらいの体格になるさ」


 「どう言うことだ?」と聞こうとする間もなく急に睡魔が俺を襲い掛かって来たが、何の抵抗も出来ずにそのまま寝落ちしてしまった。それに対しリエルとライノが心配そうに駆け寄る。


 「大丈夫ですか?不動様」


 「大丈夫?カイトくん」


 少女は慌てた様子もなく慣れた感じで冷静に説明した。


 「心配するな。ただ幼児化の準備が始まっただけだ」


 それを聞いて安心したのかフゥーと息をそっと吐き、問いかけた。


 「それなら良かったです。それで何時間後に目を覚ますんですか?」


 リエルの質問に対し少女はさらりと答えた。


 「丸一日後だ」


 その答えに少し動揺したが直ぐに何かを閃き再度、問いかけた。


 「丸一日も掛かるんですか!?そうだ!何か早める方法とかはないんですか?」


 少女はちょびっとだけ考えたが何も思い付かなく。強いて言うならの解決方法なのか分からない方法を提案し出した。


 「今のところはないよ。在るとすれば元凶を倒す事ぐらいだな」


 提案にエアノが突如、口を開けて覚悟のある引き締まった声で喋り始めた。


 「なら元凶(そいつ)をやっつければ良いんだね。そうすれば村を助けられるし、カイトも助けられるんだろ。だったら僕達やるよ」


 やる気が漲ったエアノとライノを止めようとリエルが必死に声を掛けた。


 「何言ってるんですか!?エアノ様!相手は強いかもしれないんですよ」


 それに横入りで乗り気な声が聞こえてきた。


 「良いじゃないか。私はそう言うの嫌いじゃないぞ。だからその提案、私も乗ったぜ」


 少女も加わって更にエアノ達が一致団結すると、リエルはもう止めれないと感じたのか素直に諦めた。


 「ハァ、分かりました。多分、私が止めても無駄だと思いますし。でも危ないと感じたら直ぐに逃げて下さいね!分かりましたか?」


 リエルからの条件にエアノとライノは即座に深く頷き了承する。そして少女はリエルに問いかけた。


 「お前はどうするんだ?」


 「私は不動様の様子でも見ときますから」


 そんな会話をしている間に準備が整い出掛けようとすると、リエルは珍しく天使っぽい祈りをし出した。


 「それではエアノ様とライノ様、それと……」


 少女の名前が分からずに行き詰まると、察した少女が「“リア”だ」と名乗り。リエルは続けてその少女の名前を言って祈りをやり遂げた。


 「……リア様ご武運を」


 そうしてリエルの祈りを背にエアノたちは大きな大樹へと向かって行ったのだった。








 のこり残機《84》

因みにですが、クロバは荷台と共に村の外でお留守番してもらっていました。

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