そして私は~入学式より邂逅~
その日私は、王都の学園で入学式を迎える。
春の風が前世のことを思い出させる、その校門で何やら脅している同級生を見かけた。
脅しているというよりは怒鳴っているだろうか。
貴族風を吹かせ、俺はお前らよりも偉いんだと声高に叫んでいる。
無論この学園に階級による差別はない。
そんなことしていたら、平民なんぞ受験に来すらしない。
貴族はその思い上がりを増長させてしまうし、王族に至ってはそれがもとで国が滅びたなんて馬鹿げたことになってしまうかもしれないからだ。
これにより、ある程度はまともな貴族、領民を思いやる貴族というものがほとんどの領地に見受けられるようになった。
がそんなこともわからずわめき散らす。あの男はなんなのだろうか。
みんながほとんど無視して、というか怒鳴られている少女すら無視している。
何か言ったことが少年の逆鱗に触れたようだ。
爆炎魔法などという危険な魔法を使おうとしている。
しかも、それを制御できているのかも怪しい。
傍目から見て危険だと判断した生徒たちが校舎へと駆け出す。
それに釣られるかのように、ほかの人たちも走り出す。
そんな流れを傍目で見ながら、少年の魔法陣を食った。
魔力の流れがとぎてれているにもかかわらず、詠唱が続いている。
「ばか、全く魔力の流れも見えなくなるくらい集中してどうするの」
もう一度魔力を食おうとした、その瞬間、
「『カナリアの口は氷に閉ざされた』」
という澄んだ声と共に、少年の詠唱は強制的に中断された。
見れば少年の口は氷漬けにされていた。
何事か喚いているようだが、少年の口は氷に閉ざされてきちんとした発音になっていないようだ。
とりあえずそんな様子に目をそらし、辺りを見回す。
その中にいたのだ。
杖を持った、金髪のエルフを。
後ろ姿だから顔は見えなかったが、かなりの魔力を持っていることだけはわかった。
あとはあちらさんが何か言ってくるのかもしれないが、この学園ではそんなことは関係ないのだ。
権力は振りかざすためにあるのではない。
思ったよりも、入学式は早く感じた。
そんなことを思いながら、クラス表を見て確認後自分のクラスへと行くことにした。
教室には既に何人かいた。
そこにたのは、