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そして私は~入学までの秒読みのさなか~

リリー十二歳になりました。

今から数日後に私は学園へ入学します。

だから私は伝えておこうと思う。

私のことを、私の全てを。




「どうしたんだい、リリー。僕たちを全員集めて。それもこんな夜中に」

「ほかの子達には聞かれたくなかったからです」

「それは私たちを集めて言わなければならないこと?」

「そうです。他ならぬ。母を殺した勇者さんたちに話がしたいと思いまして、そしてこんな時間に呼んだのは、こんな血なまぐさい話をあの子達は知らなくていいと私が考えました」

ここにいた四人が絶句する。

自分たちが隠せたと思っていたのだろうか。

「無論、そのこと恨んでいるわけではありません。むしろここまで育てていただき感謝しているのです」

「なら、なぜ今になってそれを伝えるの?」

「私がここを離れるからです。その時までは、伝えたって、そのあとがギクシャクしてしまいます。それは孤児院をやっている関係上避けたかったのです」

「わかったそれでどんな話がしたいんだ」

「私が知っている全て・・・ところで、生まれ変わりって知ってますか?」

「輪廻転生ってやつだろ。前の世界じゃ良くあった小説だな。アマが多いが」

「その転生前の記憶を持っているのです。私は」

「『じゃあ今、俺が話してる言葉も分かんのか?』」

「『はい、わかりますよ』とこんな感じでしょうか」

勇者しか話せなかった。異界の言葉を事も無げに話す、この少女はなんなのだろうか。

「前世は勇者と同じ国の生まれでした。死因に関しては今私の話とは関係ないので割愛させていただきます」

そう言って言葉を切る、みんなの顔が曇ってきた。これから話すことがわかったのかもしれない。

「私の一番初めの記憶は、母親の視点でした」

「お腹のなかに私がいたんだと思います。そのお腹には剣が生えていました。いいえ違いますね剣が刺さっていたんです。私を殺すために」

「その当時、私を刺した男の顔を私は母の視界から見ていました」

「その顔が誰だか知っているのか?」

あの時、戦士だった男が聞いてきた。

「その当時はまだ。次に目を開いたのは、何かの液体の中でした」

「その時はとてもうるさい声のせいで、母親ともうひとりの男が誰なのか、全くわかりませんでした」

「分かったのは、突然その声がやんだ時でした」

「今でも二人の最後の言葉を思い出せます。それだけ私には辛い出来事なのかもしれません。でも涙は出なかった、恨む気にもなれなかった」

沈黙があたりを包む。

「その男がわかったのは、謁見の間と思しき、その場所でした」

「その男の隣に豪華な衣装を着て豪華な椅子に座った男性がいました」

「ここからは私の推測です。あの日私を刺した人は騎士、そしてその隣にいたのが王様つまり私の父親にあたる人。そうでなければ私の母親が刺される理由がありません。権力争いを起こさないためならば、仕方のないことでしょう」

「そのことで、恨んだりはしなかったの?」

「はい」

「そうして、孤児院へ来た私は三歳の時、彼からのいたずらを受けていました」

「そのことを止めなかった理由は?」

「他愛もないいたずらの中に即死級のデストラップが含まれていたからです。彼が仕掛けたものにかぶせて仕掛けてありました」

「それであんな騒動を起こしてまで、止めさせたくなかった理由は?」

「彼以外が含まれると少々困ったことになってしまいますから、その除外のためです」

「じゃああの日、何があったか話してくれる?」

「それについては黙秘します」

「これで私の伝えたいことは終わりです。長々とお付き合い頂きありがとうございます。それではお休みなさい」

そう言って私は自分の部屋に入りベットに横になり寝た。


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