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幼い頃の私~外堀は埋まってゆく~

九歳になったリリーです。

今私は、孤児院の近くにある村はずれで戦闘訓練を行っています。

「ウラァ!!」

彼の放つ横薙ぎの一撃が魔法陣(結界)に防がれます。

はじかれた際に若干しびれたらしい手を振っています。

私はそのさなかに来た、男女合わせて七名を魔法陣も加えていなす。

「畜生!なんで他の奴らとは剣を交えてるのに俺とはしねぇんだよ!!」

彼が吠えるが無視、無論彼を警戒しているというのもあるが。

「これは私が思いついた、ほぼ実戦形式の訓練。実力のある人と直接戦うのを避けるは定石」

一対多にになりやすいであろう私が想定した訓練。

それ以前に彼は、無自覚とはいえ、私の殺害に関わっているのだ。

理性がどれほどそうじゃないと叫んでも、体が本能が拒絶するのだ。

「なんだよそれ!!てめぇの理屈じゃねぇか」

魔法陣に彼の攻撃を邪魔させながら、他の子の攻撃は魔法陣と自分の双剣で受ける。

といっても双剣で受けるのは女子が多いのだが。

下手に体格や力で押し負ける男子と打ち合おうものならば、いつかラッキーヒットが出てしまいかねない。

出るとまずいのかと言われればまずい。

私の中に眠っているのが表に出てくるのがまずい。

大人たちなら対処できるそれも、子供達では対処する間もなくお陀仏してしまう可能性がある。

なのでラッキーヒットの確率すらも極力避けているのだ。

彼の技量は、ほかの男子と比べても頭ひとつ抜きん出ている。

避ける以外の選択肢があるか、いやないに決まっているだろう。




彼らが疲れ果てた頃、やっとこの訓練は終わる。

次は座学である、しかし寝ることはできない。

寝ればその分だけ時間が加算されていくのだ。

次の朝日が登った頃にやっと寝れたということが一度だけあった。

以降座学は眠くても絶対寝ないようにしようが、私たちの間でのルールとなった。




そんな日々は長く続かなかった。思ったよりも早く別れが来たのだ。

「そうですか、王都の方へ行くんですか」

「あぁ学校があるからな。そっちの方に通えってことらしい」

彼は王都の方へ行くそうだ。

「ちなみにだが、三年後、お前も行くんだぞ」

「へ?」

「一体どんな事情があってお前を王都にいかせるのいかはわからないけど。俺は、お前を許したわけじゃない」

「それでいいと思いますよ」

「・・・」

「どうしたって、人には生きる理由が必要ですから」

「なんだよ、それ」

「それ以外に生きるための理由が今はないでしょう。ただ、私を殺す、そのつもりなら・・・・・・・・・・つもりで戦いなさい。無論その中にあなたにとって私を殺してでも敵を打ちたいものもいます」

「どう言う意味だ?」

「理解しなくていいです。理解する必要もありません。今のあなたにもそして未来永劫誰にもできないことでしょうから」

彼は無言のまま馬車に乗っていった。

馬車の車輪の立てる音を聞きながら、私は孤児院への道をもどる

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