物語の続きに~婚約者ではなく~
それはとある場所公の間にて、親子の会話とは程遠いものが繰り広げられていた。
「なぜ認めてくださらないのです。私はこれほどまでにやってきた、その実績がある。なのに何故に彼女との婚約を認めてくださらないのですか?!」
「妾では認めよう、だが正妻としては私はそれを認めることはできん。少なくとも貴族かその功績によって貴族と同等の扱いのものでなければならないのだ。しかしお前の言う女は、平民でかつ何ら功績を持たぬものだ。お前の親ではなく、王としてそれを認めるわけにはいかんのだ」
王の言う、貴族でなければならないのは何も身内だけではない、王妃ともなれば諸外国に赴くことにもなろう。その際王になった王太子の邪魔にならないか、そう考えたときおそらくなると考えた。
今でさえ、国庫に穴があいたかのように使い潰しているのだ、王太子が。
彼女との婚約を認める前から、この調子では婚約したあとにどういうことになろうかと今からでさえ考えただけで現王の頭が痛くなっているのだ。
現実をわきまえているのがその寵愛を受けている女の方である。
今も涙ぐましい努力を重ねて、王太子が行っているい国家の没落を彼女なりに防ごうとしているのだ。
結果は芳しくないが、それでも現王の代で国が国としての働きに致命的な支障をきたすほどではない。
しかしそれも、彼が退いたとき、終わる。そう断言できた。
今でさえ、間違いなく貴族の言いなりになっているのだ。そうでもなければいくら高級品とは言え、国庫に穴があいたような額になるはずがない。
「お前には、彼女のこと以外は何も見えていないのだ。お前がもしも一般人ならば、それでもいいだろう。だがお前はこの国の王太子なのだ、周りの貴族から聞かされたいい言葉で、国民の中に死者が出た。間接的にお前の言う彼女の責任だ」
「か、彼女には関係が」
そう言おうとした、王太子に背後から声がかけられた。
「必要なものを切り捨てたのはあなたでしょう。昨日死者が60名増えたそうですよ」
この国を行く末を決めた少女が、この国の歴史書に初めて刻んだ言葉は、このような辛辣な言葉だったとされる。
従者は一人、婚約者でもなかった少女がなにゆえ謁見の間にいたのか、多くの歴史書がその口を閉ざした。




