学園に嵐来る~長い一日の始まり~
その日は朝から全校集会があった。
無論こと、特筆することのない普通の集会だった。
そう、この日彼らが学園を占拠するなどという暴挙が起きなければ。
実技場に集められた、教師を含むほぼ全員が、人質となり。
彼らに呼応するように南と西から兵士たちが来たのだ。
彼らの目的はこの国そのものだった。
歴史書に記された戦争の中で最も長くそして短い一日が始まろうとしていた。
実技場にいたのは、生徒百数十名および先生十数名と襲撃側の生徒五十名ほどである。
残りの数名の捜索は今も続き、発見と捕縛に割かれた人数は実技場を制圧した人数のほぼ同数である。
彼らの思惑道理ならば、この時点ですべてに片がつくはずであった。
しかし、その思惑は逃したたった数名によって覆される。
『こちら、一班目標を発見なれども手酷い反撃を受けています。場所は…』
『こちら、二班目標を見失った、こちらの疲労も蓄積している。他の班に応援を。繰り返します…』
……報告は、思ってほど芳しいものではない。
時間が経てば経つほど、悪い知らせが多くなってきた。
「どうしてこうなってるんだ」
知らせを受けるたびに、彼のイライラは募る。ただ単なる制圧だけで済むはずではなかったのかと。
蓋を開けてみれば、ほとんどの人質が、結界の中にこもり人質として機能せず。
ほかの孤立している者たちに至っては、一騎当千もかくやという活躍をしている。
時間が経てば経つほど有利になるはずだったのだが、
「この氷壁は一体なんなんだ」
この国を取り囲むようにして出来た氷壁を睨んでいた。
この氷壁によって、援軍は中に入ることすらできず、なぜか入れた商人たちと共に隠れて乗り込んだ者たちは、今もまだその氷壁の中に絶望の顔を晒している。
助けに入ろうとした者、強引に行こうとした者たちも皆、氷壁の一部とかしている。
もはや外からの援軍は、ないに等しかった。
時を追うごとに厚くなってゆくそれを見ながらも、国民は焦りもしない。
この学園によっていつものこととして処理されてしまうのだ。
なにせこれよりひどいこと何度も起きて、その度に対処されてきたのだから。
今回のこともそうなのだろうと思っていた。
その裏に潜んだ国家転覆計画など知りもしなかった。
そして、それを阻止しているのがただの学生だということも知らなかった。




