そして鐘は鳴るのか?~鳴ったあと~
一日浴びていなかった外の光は、とても眩しくい懐かしいものに感じられた。
この日のことはなんの資料にも記されることはないだろう。
しかし真実を知るものはいつか出てくるだろう
果たして真相を知った者は、私をなんだと思うのだろうか。
いつか描かれる時その姿はどんなものなのだろうか。
そんなくだらないことを考えながら、私は騎士に連れられ城へと歩いた。
「そなたが、件の魔導師か?」
「いいえ、私はただの学生です」
「ならばこの紙を書いたのは、そなたか?」
「はい、この手紙を彼が読んでいたらば、本来の魔法を発動させるつもりでした。ですが彼は一度も開くことなくきちんと国王に渡してくれました。故に魔法ではなく文章が現れているでしょう」
「では一体どのような魔法が発動する予定だったのだ、わしに見せてくれんかね」
「いいえ、申し分かりませんがお見せすることはできません。あれはそもそも魔法ではなく、効果と限界の指定されていないただの失敗作です、お見せすれば被害は免れません。私がこの魔法を選んだのは彼の了見の浅さから、この魔法を理解できないものと考えたからです」
「ほう、そうなのか。いやそれは失礼した。最後になるが名前を聞いてもよろしいかな?」
「・・・構いません、私の名前は・・・」
告げた名前に凍りつく王、そのことなど気にもとめず、
「では、失礼いたします」
「・・・あ、ああ。もう下がって良い」
その言葉を聞いたあと少女は優雅に一礼した。
彼女がいなくなったあとの、謁見の間は紛糾していた。
知らないものは彼女の言動に憤り、また不遜だと大声を出すものや、考えのあるものはもしも実演していた時の惨事を考え、安堵の溜息を零した。
知っている者たちは、その名を聞いて未だに固まっている。
もはや収集のつかなくなっていた謁見の間に響く声があった。
「静かになさい、王の御前ですよ。国王も落ち着いてください」
王妃の声が喧騒に染み渡り、波紋のように静まり返ってゆく。
「・・・そう、だな」
正気に戻った王が解散を命じ殆どの人間が退出してゆく、残ったのはあの事件と彼女の正体を知る者のみ。
「あの子がそうなのですか?」
「ああ・・・」
ため息のように、漏らした言葉は肯定の言葉だった。




