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嵐の中の私~事の顛末は、語られぬ屑紙より~

これは個人的に残す私の主観で書かれた、あの日森で起きたことだ。

あの日、知らせを受けた。私が現場についたとき、なんの異状も見られなかった。

森の木々が倒されていたわけでもない、広場には幸せそうな顔で眠りにつく傷一つない制服姿の彼女とまるで凶暴な魔物にでもあったかのように顔をクシャクシャにして泣いていた。一体何があったのか問いただそうとしてもティンダロスとつぶやいてまた泣き出し、話が続かないのだ。

もしかしたら呪いの類なのかもしれない。

知り合いに聞くとティンダロスとは、ティンダロスの猟犬のことなのではないかと言われた。

その猟犬に狙われたら最後、いかなる場所へ逃げても追いかけてくるのだという。

もしかしたら弟は何らかの理由から、その猟犬に出会ってしまったのだろうか?

弟は正気に戻ったあと、あの日あったことを問い詰めた。

どうやら最悪の選択をしてしまったようだ。

盗賊ギルドに依頼をして、彼女の暗殺を依頼したそうだ。

計画はうまくいき、彼女は確かに死んだ。胸を貫かれて、回復魔法も使わずに放置すればそうなることはほとんどの人間に分かることだ。

これで終わり金を払えば終わりになるはずだった。

そのはずだったのになぜか、ギルド員の背後に黒い大きな犬がいたのだ。

目があったとき、はっきりとわかった。自分は死ぬのだと。

その大きな犬に飲み込まれてから響いた声は、ただ一言「ティンダロス」と繰り返されていた。

気がつくと、森は広い場所にいたのそうだ。

これで弟の話は終わりだった。

だが疑問は残る、彼女が無傷であることも含めてだ。

一体何者がその猟犬をけしかけ、彼女の傷を治したのか、死の淵にいた彼女を引きずり上げたのか。

私はこの疑問を後の世まで保管しておくことにした。

いつかこのメモを見たとき、答えに近づけるように。

私のつまらない文を読んで頂き感謝する。

聖王歴***年**月**日ただの王太子

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