そして私は~確かな一歩~
そのままお昼まで少年も彼女も来ることはなかった。
昼食は食堂でとることになっているのだが、
「まさか味噌汁があるとは」
遠くの島国からわざわざ取り寄せたそうだ。
まあ食べる人が少ないから、なんだこの泥水はみたいな感じなのかもしれませんが。
ウキウキ気分で空いている席に座る。
「いただきます」
まず始めに味噌汁をすする。
懐かしさが、こみ上げるとともに何んか違和感を感じるでもない。
(さきにいれたのかな?)
微妙に気になったけどそこは思い出補正の方が優ってうまいとは思った。
そうして全てを食べ終わった頃に、なぜだか隣にいた人間に気がついてしまった。
王子と隣の大陸から来た人が私をはさんで座っていたのだ。
もう、導火線に火が付いちゃっているよね。
今すぐ逃げ出したいと思っていた私は、即座に席を外そうとして。
足元が凍りついていることに気がついた。
なんだこの針の筵にいろと言うのか、それは難易度が高すぎではないのかね。
一応私は一般市民ですよ。
そう思ったが言えるはずもなく、このおもたくて体重が1.5倍くらいになりそうな空気の中で耐えていた。
少ししてチャイムが鳴ると足元の氷が消えたので即座に教室まで走っていった。
よく頑張った私、あの空気で何か言えば二人の視界に入っていた。
そうしたら私は傍観者ではいられないだろう。
そう考えながら、教室へ一路急いだ。
もうすでに当事者になっていたとは気づかずに。
放課後、何事もなかったかのように沈んでいく日を恨めしく思いながら机に突っ伏していた。
どうやら、私が飲んでいた味噌汁のことであんなに険悪なムードになっていたようだ、なんで気がつかなかったんだろう。
しかしいつまでも沈んではいられない、即座に身の危険を感じた私は飛び起きてカバン片手に、教室から出ようとしたのだが。
「待て、お前」
呼び止められたよ、傍若無人さんに、でもお前という名前ではないので立ち止まらずに行きましょう。
「無視するなお前!!」
「私はお前って名前じゃないですよ。しかし、尋ねられたところで言う気にはなれませんが」
「な、」
言われて固まっている間に、さっさと寮へと向かいます。
「そんなこと言ってしまわれたのですか?」
優雅な口調のリップルに対して、
「私は、王族と関わるとロクなことがありませんから」
「あなたの母親がそうであったようにですか?」
「・・・どこでその話を」
冷たく鋭い刃のように目を細めながら尋ねるが彼女の返答は、
「無論あなたのお母様からです」
驚愕に満ちたものだった。
なかなかはかどらないので、翌月の更新は遅れるかもしれません。