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接客が大変なお客様
本日のお客様は、どこか落ち着きがなく、
マスターや、他にも働いている従業員の様子を、
何度もちらちらと気にされていました。
マスターが、声を掛けようか悩んでいると、お客様の方からふいに、
「マスターも皆さんも、いつ来ても楽しそうに働かれていて、すごいですよね。」
と、おっしゃられたのでした。
「私も、接客業しているんですけど、
もう全然、やっていられなくて。
嫌なことを一方的に言ってくる人も多いし。
もうずっと、お客様方に振り回されてばっかりで。」
と、参ったような顔で話を続けられます。
お客様の話を聞いたマスターは、少しの間考えてからゆっくりと口を開きました。
「そうですね。
一口にお客様と言っても、色々な方がいらっしゃいますからね。
でも、だからこそ、一人ひとりのお客様と、
真摯に向き合うことが大切なのではないですかね。」
「一人ひとりの、お客様。」
お客様は、マスターの言葉の意味をよく理解しようと、考え始められました。
しばらく沈黙が続きましたが、最終的には、
「確かに、今まで、本当に色んなお客様がいらっしゃって、
でも私、お客様って一括りに考えすぎていたかもしれない。」
と、少し瞳に光を戻しながら、納得したようにおっしゃられたのでした。




