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仕事が嫌になるお客様
「マスターってさ、仕事が嫌になることってないの?」
カウンター席でコーヒーを冷ましながら、
お客様はマスターに、ふと疑問に思ったことを尋ねられた。
すると、マスターはふふっと含みのある笑みを見せつつ、
「どうしてですか?
お客様は何か、仕事が嫌になることでもありましたか?」
と、否定も肯定もしないで、質問に質問で返した。
欲しい回答がもらえなかったお客様は、
少し不満そうにされながらも、
苦笑いで、マスターの質問に返事をすることにした。
「私はもう嫌になっちゃうね。
でも、明日っからまた仕事なんだよ。」
「そうですねえ。」
マスターは、少し考えながらも、沈黙が続かないように、
ゆっくりと会話を続けていく。
「お仕事は、大変ですよね。
ただ、私たちはいつでもここでお客様をお待ちしておりますから、
いつでも気軽にいらしてくださいね。」
「はあ。マスターってやっぱり、営業上手だねえ。」
呆れながらも、マスターの話を聞いたお客様は、
ほんの少し、心が救われたような気がしていたのでした。




