32/38
頭がグルグルしちゃうお客様
「お待たせいたしました、どうぞ。」
マスターが、注文された品をお客様に提供しようとすると、
お客様は、ビクともせずに固まっていた。
目が、一点だけをじっと見つめていて、
まるで抜け殻のようになっていて、
心配になったマスターは、そっと声を掛ける。
「お客様、大丈夫ですか?」
そこでやっと、声を掛けられていたことに気がついたお客様。
「え?
あ、ああ。どうもすみません。」
どこか表情が暗く見え、
「どうか、されましたか?」
マスターが再び、声を掛ける。
「いやあ、ちょっとね。
仕事のこととか、いろいろ考えているうちに、
頭の中が、勝手にグルグルしちゃって。」
そう言うお客様に、マスターは一つ話をする。
「お仕事に熱心なのは、結構ですが、
たまには深呼吸でもして、ゆっくりされてくださいね。
人は、色々と考え始めると、呼吸が浅くなりがちですから。」
お客様は、その話を聞いて、
深く深呼吸をしはじめる。
すると、少し体や頭がすっきりしたようで、
再びカフェでのんびりとした時間を過ごし始められたのでした。




