5月31日 特別研修10
中丸と石木の最終ロープレを見ることはできなかった。というのも、最後に回った営業先で受注が決まって帰ってくるのが遅くなったからだ。最終的な合否は明日連絡が来るらしい。俺が帰ってきたのは、16時30分だったということもあり、もうほとんど終わりかけで、何もすることができなかった。ロープレ担当だった麻耶や山坂も挨拶する程度で詳しくはわからない。気になったのは、二人ともあまり元気がなかったということだ。檜や花沢も、いつもより口数も少ないし、なんかあったのかと思わせる。まぁ、考えても仕方がない。切り替えて、俺は寝ることにしたのだった。
ー5月22日ー
俺 「そんな感じなんで、よろしく頼みますよ」
中村「珍しいね、伊東くんが手を差し出すなんて?」
俺 「そうですか?俺は中村さんと違って優しいですよ」
俺たちの視線は、麻耶と山坂のロープレの方に行っていた。
中村「まぁ、深山がどう言うかだな」
俺 「今度は、ちゃんと頼みますよ」
中村「助けたいのはあるけど、深山がどう言うかはわからないからな」
俺 「ホントにそう思ってるか怪しいですけどね」
中村「なんでだよ、俺もトラブルはめんどくさいんだよ」
中村は、たしかに各所トラブル対応ばかりでは大変だということはわかっていた。
俺 「じゃあ、深山さん来たら俺も一緒にいるんでよろしくお願いしますよ」
中村「ああ。わかった」
俺たちは、これまでも幾度とピンチになったらこうしてタッグを切り抜けてきたんだ。
俺 「代表はどうするんですか?」
中村「代表ねぇ。代表は、どう思ってるかわかんないって感じなんだよね」
俺 「絶対来たらめんどくさいじゃないですかぁ」
中村「それは、そうだな」
もう、みんな考えてることがバラバラすぎてなんとも言えなかった。
俺 「そういえば、あれから比良どうですか?」
中村「もう、戻ってこないだろうね」
俺 「やっぱりそうですかぁ」
中村「まぁ、仕方ないよ。いろいろあったし」
俺 「んー、まぁ、、、、、、、、、、」
俺たちは、忘れたい過去がいくつもあるけど、そう思えば思うほどそれを忘れることができなかった。なんだろうな、これってやっぱり人間の本質的なところなのだろうか?この年齢でこんなことを考える俺はなんとも不思議な気持ちだった。比良のことが頭によぎったが、再び頭の中に閉じ込めたのだ。




