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6 なぜ争いに巻き込まれなければならないのか

「グゥ……グゥ……」


 日が沈みかける頃になって、私たちはようやく果てしない森を抜け、比較的開けた場所へと出た。


「見て、あっち!」


 花が興奮気味に叫ぶ。


 私たちは彼女の指差す方向を見る。原野の上に、不自然にぽつぽつと塊のようなものが並んでいるのが見えた。


「どうやら廃棄された小さな村みたいだね。見た感じSaliveに荒らされたっぽいけど、まだ使えそうなものは少しくらい見つかるかも。」


「じゃあ急ごう。今夜は少なくとも風をしのげる場所がある。」


 花の提案で、私たちはすぐに小さな村へ向かった。私は体力が限界だったので、そのまま花に担がれて移動することになった。


 幸い、完全に日が落ちる前に目的地へ到着できた。


 まだわずかに残る明かりの中、私は周囲を見回す。壊れた人工物があちこちに散らばっていた。


「ここは前に人が暮らしていた場所。あとからSaliveに追い出されて、全部壊された。」


 蓮がいつの間にか隣に立ち、そう説明してくれる。


「おーい!この家はまだマシだぞ!今夜はここで過ごそう!」


 遠くから花の声が響く。私たちはその声を頼りに、一軒の家の前まで来た。確かに他よりはまだ形を保っている。


「ん……」


 私は足を止め、土に半分埋もれていた長方形のものを引き抜いた。


 泥を払うと、少し破損しているが、男と女、その間に立つ一人の子どもの姿がかすかに見える。


「写真だね……。うーん、ここには三人家族がいたみたい。」


 またもや気づかないうちに蓮が近づいてきて、写真をじっと見つめる。


「今も無事だといいけど……」


 蓮は写真をそっと撫でながら、そうつぶやいた。


「中を見たけど、二部屋は使えそうだ。蓮、片付け頼む。さっきあっちで水の音がしたから、ちょっと水を取ってくる。」


 花の声が家の中から聞こえる。蓮はすぐに中へ入り、片付けを始めた。私もその後をついて入る。


「Saliveって何?」


 私は部屋の隅にしゃがみ込み、片付けをしている蓮に尋ねた。


「誰にも分からない。突然現れて、私たちの生活を壊した。それだけ。理不尽そのもの。」


 蓮はそう言ってから続ける。


「今私たちを追ってるのもSalive。私たちを全滅させるまで、止まらない。」


「私たちが食べるためにリスを殺すみたいに、あいつらも私たちを食べるの?」


 もしそうなら問題ない。お腹が空くのは辛いし、満たしたいと思うのは間違ってない。


 それに、リスから見れば、私たちも生活を荒らす怪物だ。蓮はそれが自然の摂理だと言っていた。なら、誰が食べられてもおかしくない。


「違う。あいつらは人間を消すために消してるだけ。」


 蓮はそれを否定した。


 それは間違っている。蓮は、それ以外の存在には優しくするべきだと言っていた。なら、Saliveのやっていることは間違いだ。


「じゃあ、止められないの?花たちは強いんじゃないの?」


「Saliveのほうがもっと強い。それに、花たちの力もSalive由来。だから今は逃げ続けて、なんとか生き延びるしかない。」


「ん……」


 話が難しすぎて、私の考える範囲を超えていた。私は自分が何をすべきかも分からない人間だ。今の行動も全部、蓮たちの指示通り。自分がなぜ生きているのかさえ分からない。


 でも蓮は、いつか分かると言った。なら、それを待てばいいのだろう。


「運がいいな。村の近くに小川があった。水の問題は解決だ。」


 ちょうどその時、花が戻ってきた。両手には水の入った桶を持っている。


「こっちの部屋も片付いたよ。」


 蓮も手を止めた。


「じゃあ、もう一部屋やってくる。」


 花が外へ出ようとする。


「待って。この部屋で一緒に寝よう。レイアを一人にするのは危ない。」


 蓮がすぐに呼び止めた。


「そうだな……今夜はそれでいこう。」


 花は少し考えてから頷いた。


 それから私たちは、蓮が見つけた敷物の上で寄り添って休むことにした。


 私は二人に挟まれながら、腹の感覚を感じていた。花が食べ物を持って帰ってこなかったということは、今夜は空腹のままということだろう。でも仕方ない。


 いつか分かる。


 蓮が言った言葉を心の中で繰り返す。本当に待っていれば分かるのだろうか。初めてそんな疑問が浮かんだ。でも蓮が言うなら、きっとそうなのだろう。


 私に考えられることはほとんどない。だからすぐに、深い眠りへと落ちていった。


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